現在、市場には今までにないほどグリーンの時計が多く見られる。ここ数年、ブルー文字盤が市場を席捲してきたが、グリーン文字盤も台頭してきたのだ。ブルーカラーは大きな成功を収め、多くのブランドでブルー文字盤とブルーストラップが標準装備の一部となるほどであった。しかし市場は常に新しいものを求め、結果としていくつかのブランドが新作をグリーンで投入してきた。では、グリーンはブルーのような成功を収められるだろうか?
その答えは「ノー」だろう。グリーンの時計が喚起するものは、ブルーのそれとはまったくその趣を異にする。ブルーはさまざまな人に受け入れられ易いが、グリーンの時計は物議を醸しだす。ファッション的見地からすると、ブルーはクラシックな「無色」(ブラック、グレーやホワイト)と、レッド、イエロー、オレンジ、グリーンのような「カラー」の中間に位置する。ダークブルーのビジネススーツやパステルブルーのドレスシャツ、ブルーデニムのジーンズはよく目にするものであり、それ自体に色があるという認識が薄くなることもある。しかしグリーンのシャツやジャケット、パンツは人目を引く上に、グリーンの装いがふさわしくない場面も時にある。
グリーンは自然や若々しさなど多くのポジティブなものを想起させ、また「自分は自由で、好きなことをする」という宣言ともなる。自信と生きる喜びを表すためにグリーンの時計を身に着けることは、注目を集め、自分の好きな色を手首にまとう喜びをもたらすこととなる。グリーン文字盤のモデル14本を紹介する。
Text by Ruediger Bucher
1.H.モーザー
「スイス アルプ ウォッチ コンセプト コズミックグリーン」
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ブラックとグリーンの見事な橋渡しとなっているフュメダイアルは、H.モーザーのトレードマークだ。ここではコズミックグリーンが、挑戦的にスマートウォッチのデザインを取り入れたケースデザインのアルプ ウォッチを美しく飾っている。
2.オーデマ ピゲ
「ロイヤル オーク オフショア・ダイバー」
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オーデマ ピゲは、300m防水を誇るこのダイバーズウォッチの幅広いカラー展開に自信を持っている。2018年に発表されたのはグリーンの他に、ターコイズブルー、ベージュ、パープル(国内未発売)というラインナップだ。
3.ウブロ
「クラシック・フュージョン チタニウム グリーン」
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ウブロが送り出してきた豊富なカラーバリエーションを考えれば、グリーンがラインナップから外れているわけがないだろう。オリーブグリーンのクラシック・フュージョンを、ウブロは33mm径から45mm径までの4つのケースサイズで展開している。
4.オメガ
「シーマスター 300 マスター クロノメーター マラカイト」
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南アフリカ産のマラカイト製文字盤が気品あるオーラをシーマスターに与えている。文字盤のグリーンの天然石と、プラチナのケース、ブレスレットはオメガには珍しい組み合わせに思える。イエローゴールドケースのモデル(377万円)も美しい。
5.ラドー
「トゥルー シン ライン ネイチャー」
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その色合いにも関わらず、グリーンカラーの時計が新緑の葉を想起させることはまずない。しかしこのラドーの時計は例外であろう。マザー・オブ・パール上に掘られた葉の模様が、ハイテクな印象を受けるセラミックス製のケースとブレスレットを備えた「トゥルー シン ライン ネイチャー」の外観を特徴的なものとしている。このデザインはラドーとイタリアの団体「グランディ・ジャルディーニ・イタリアーニ」とのパートナーシップから生まれたものである。
6.ブルガリ
「オクト フィニッシモ」
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超薄型ケースの「オクト フィニッシモ」は、その厚みがわずか5.15㎜である。内包するのは2.23㎜のスリムなプラチナ製マイクロローター搭載の自社製キャリバーBLV138だ。グリーンバージョンは世界限定10本限定となり、ロンドンのハロッズのみで入手できる。
7.MB&F
「HM7アクアポッド」
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前作のブルーカラーの「アクアポッド」に続き、クラゲのようなグリーンのモデルからも目を離すことができない。時計師の技術の粋をコンセプトに掲げるMB&Fは、同コレクションにフライングトゥールビヨンを搭載している。その奇抜な形状の時計はクラフツマンシップを芸術の域にまで高めている。