年次カレンダーとは新しい支持層を得た機構であるだろう。今回ご紹介する2018年発表の年次カレンダーは、これまでこの機構に否定的だった人をも引きつけるものではなかろうか。前後編に分けてお届けする。
Text by Logan R.Baker
パテック フィリップ
「Ref.5205G 年次カレンダー」
パテック フィリップは23年前の1996年にブランド初の年次カレンダーを発表し、その機構に特許を取得している。デイト表示を備える時計と、高価なパーペチュアルカレンダーウォッチとの間に位置する年次カレンダーは、資金的な壁を低くしながらも、1年に1度の修正で済む使い勝手の良さを備え、時計愛好家の新境地を切り開いたかに見えた。この機構がパテック フィリップのポートフォリオに入ってから、年次カレンダーモデルには多くの仕様違いが投入されてきたが、2018年のバーゼルワールドで発表された最新のものが、これまでの中で最も魅力的なものであると筆者は考える。「Ref.5205G 年次カレンダー」は5205シリーズに特徴的な文字盤上部に配された曜日・日付・月表示のレイアウトを持ち、オープンワークを施したラグを伴う18Kホワイトゴールドケースに合わせられた、グラデーションカラーのブルー・ブラックの文字盤を備えている。年次カレンダー機構の他に、6時位置にムーンフェイズと24時間表示も搭載されている。これらすべてを司るのが、約45時間のパワーリザーブを持つ自動巻きキャリバー324 S QA LU 24H/206だ。
ロンジン
「ロンジン マスターコレクション」
マスターコレクションは2005年に発表されて以来、現代におけるロンジンの旗艦コレクションとして位置付けられてきた。過去には、このコレクションからクロノグラフやレトログラード、パーペチュアルカレンダー、そしてムーンフェイズなどが世に送り出されている。ロンジンがその187年に及ぶ歴史の中でアニュアルカレンダーを投入したのは、この「ロンジン マスターコレクション」が初となる。40mm径のステンレススティール製ケースを備えた時計は、型押しのバーリーコーン文字盤と3時位置の日付と月の表示が特徴的だ。このモデルの展開は、シルバー文字盤にアラビア数字またはダイヤモンドインデックスのモデル、ブラック文字盤にローマ数字インデックス、サンレイブルー文字盤にバーインデックスの4種類である。針は青焼きまたはロジウムメッキだ。搭載されているムーブメントはL897.2(ETA A31.L81ベース)で約64時間のパワーリザーブを持ち、シースルーケースバックから眺めることができる。ステンレススティール製ブレスレットまたはブラック、ブラウン、ブルーアリゲーターストラップが組み合わされ、トリプルセーフティーフォールディングクラスプが付属している。
ブランパン
「フィフティ ファゾムス バチスカーフ アニュアルカレンダー」
ブランパン「フィフティ ファゾムス」は現代のダイバーズウォッチの青図とも呼べるものを確立してきた伝説的モデルで、ブランパンをスイスの主要時計ブランドとして認知させることに貢献した時計でもある。レトロな外観の「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」は1956年に日常生活に適したサイズの一般用として発表され、2013年にオリジナルを想起させる新しい魅力を備えたバチスカーフとして再登場。サブコレクションを育てて、いくつものリファレンスを生み出してきた。その延長線上に本作「フィフティ ファゾムス バチスカーフ アニュアルカレンダー」は誕生した。このモデルは「フィフティ ファゾムス」では初となるアニュアルカレンダーで、約72時間のパワーリザーブを保持するキャリバー6054.Pを搭載している。ブランパンのポートフォリオにある他のアニュアルカレンダー同様、独特な配置のカレンダー機構を採用しており、曜日・日付・月表示が上から下へとレイアウトされている。ストラップにはセイルキャンバスストラップの他にNATOストラップ、またはステンレススティール製ブレスレットが組み合わされる。
(続く)