年次カレンダーとは新しい支持層を得た機構であるだろう。今回ご紹介する2018年発表の年次カレンダーは、これまでこの機構に否定的だった人をも引きつけるものではなかろうか。後編をお届けする。
●「2018年に発表された気になる年次カレンダーウォッチ(前編)」を見る
Text by Logan R.Baker
オックス&ジュニア
「年次カレンダー」
オックス&ジュニアは、ルツェルンにある小さな時計ブランドだ。年間約130本のペースで、革新的かつミニマルなデザインの腕時計を生産し続けている。この「年次カレンダー」の魅力は典型的な複雑機構に新たな表示手法をもたらしたことだ。同ブランドの「年次カレンダー」の初期モデルは2012年に発表され、それ以降、何度かの仕様変更を重ねてきた。現在のデザインではカレンダー機構は数字によって表示されるのではなく、点とそれによって構成されるリングの組み合わせによって表されている。月は文字盤の12時側にある12個の点によって表示され、曜日は6時位置にある7つの点によって確認することができる。日付は文字盤の周囲に配された、31個の点でつくられる大きなリングによって読み取ることができる。分表示は、日付の穴がちょうど2分間隔で開いていることを利用して読み取ることができる。オックス&ジュニアの年次カレンダーには、ETA2824-2にモジュールを加えたものが搭載され、直径36mm、39mm、42mmケースが素材と仕上げ違いで何種類も用意されている。オックス&ジュニアのウェブサイトからは、カスタマイズのオーダーも可能だ。
IWC
「ビッグ・パイロット・ウォッチ・アニュアル・カレンダー “150 イヤーズ”」
IWCは2018年に創業150周年を祝い、新しいコレクションを導入。それは長い間、スイスのシャフハウゼンに拠点を置くブランドの精神を表す、原点に立ち返ったようなデザインだった。そのひとつとして発表されたのが「ビッグ・パイロット・ウォッチ・アニュアル・カレンダー “150 イヤーズ”」であり、IWCの伝統的なパイロットウォッチスタイルと、文字盤にバランス良く配したアニュアルカレンダーを融合させたものであった。IWCは2015年にポルトギーゼコレクションでアニュアルカレンダーを発表しており、その流れを「プチ・プランス」などのような限定品で継承し続けてきた。「ビッグ・パイロット・ウォッチ・アニュアル・カレンダー “150 イヤーズ”」はこれまでのアニュアルカレンダーと同じキャリバー52850を搭載しており、文字盤上部に月・日付・曜日が配置されている。ムーブメントには、IWCのトレードマークであるペラトン巻き上げ方式が採用され、約7日間のパワーリザーブを持つ。直径46.2mmのステンレススティール製モデルはブルー文字盤が組み合わされ、世界限定150本で販売された。
ローラン フェリエ「ガレ アニュアルカレンダー スクールピース」
2018年の「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ」(GPHG)のメンズ複雑時計賞に輝いた「ガレ アニュアルカレンダー スクールピース」。これは、かつてパテック フィリップのテクニカルディレクターを務めていた現在70歳代のローラン・フェリエ氏が自身の時計学校の卒業制作で手掛けた懐中時計にインスパイアされてデザインしたものである。ローラン フェリエが5つ目に開発した手巻きの自社製キャリバーLF.126.01を搭載し、時計作りにおけるいくつかの伝統的な様式を採用している。日付・月・曜日が表示され、文字盤に何色かをあしらいつつも派手さは抑えられている。日付表示は明るいレッドカラーの針で示され、月と曜日は12時位置のふたつの小窓に配されている。曜日は、ケースの10時位置にあるプッシャーを押すだけで調整が可能だ。他のすべての調整はリュウズを引き出して回すことで行う。ケースの直径は40mm。シルバートーンまたはスレートグレーの文字盤があり、いずれもインデックスはライトブルーで配されている。トランスパレントバックからは約80時間分のパワーリザーブ表示を備える。ケース素材にはステンレススティールの他に、18Kローズゴールドモデル(728万円)と、そして初めて採用されたペイルゴールドモデル(728万円)がある。