多様な“ウォータースポーツウォッチ”の世界に飛び込んでみよう。今回はモデルごとに、技術的なアピールポイントや仕様について紹介をする。またリストアップしたモデルは主に、クロノグラフのような複雑機構を搭載していないダイバーズウォッチである。ねじ込み式リュウズや回転ベゼルについてはダイバーズウォッチの標準的な装備のため、あえてその部分には触れていない。
Text by Alexander Krupp
IWC 「アクアタイマー・オートマティック2000」
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IWCはプロフェッショナル向けダイバーズウォッチに鮮やかなイエローのアクセントを付け加えた。46mm径チタン製ケースは2000m防水を誇り、ラバーストラップにはエクステンションピースが付属する。ダイビングスケールは逆回転防止機能付きのベゼルでセットする。
ジン 「U2 S」
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潜水艦に採用されるスティールへの硬化処理をケースに施した重厚な圧巻の1本。このハードコーティングにより時計は海水からの腐食に耐え、2000mの防水性に寄与する。これ以外にも防水システムについて記すと、U2シリーズではケース内部にセットされたジン独自のドライカプセルが、ケース内部に入り込む湿気をも吸着してしまうのだ。44mm径のこの時計は、検査機器でのテストによると、-45℃~+80℃の極限環境でも問題なく作動する。ブレスレットとケースはいずれもアンチスクラッチ仕様となっており、ブレスレットにはダイバー用にエクステンション機構が組み込まれている。自動巻きキャリバーETA2893-2により、時間と日付表示に加え、第2時間帯表示も備える。価格は49万5000円と適正だ。
セイコー 「プロスペックス ダイバースキューバ SBDY015」
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セイコーのプロスペックスは、高価格帯のダイバーズウォッチだけでなく、質の良いエントリーレベルまで幅広く備えている。その中でも人気は、1976年にオリジナルが発売され、ファンから「タートル」の愛称で親しまれるモデルを、現代的にリメイクされたものだ。ケースサイズは直径45.0mm、防水性は200mを誇る。風防にサファイアクリスタルではなく硬化処理を施したミネラルガラスを採用した点が、この価格を実現できることにもつながっている。ムーブメントには自社製の自動巻きキャリバー4R36を搭載。ウレタンストラップを波形に成型することで、ダイビングスーツ着用時にもなめらかに装着できる。セイコーが開発したルミブライトという蓄光素材を塗布し、暗所での視認性にも優れる。
ロンジン 「ハイドロコンクエスト」
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堅牢な作りで知られるETAのベストセラームーブメントを搭載したダイバーズウォッチ。ステンレススティール製ブレスレットは、ダイバーズスーツでも装着しやすいエクステンションを組み合わせた仕様だ。価格は19万円で、好ましいプライスパフォーマンスと言えるだろう。直径41mmのステンレススティール製ケースを好むユーザーには、セラミックス製ベゼルが装備されることも忘れず伝えたい。ケースの防水性は300mである。
ロレックス 「オイスター パーペチュアル シードゥエラー」
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ロレックスが展開するダイバーズウォッチ。そのひとつに、ケースの厚さ12.5mmの「サブマリーナー」が挙げられる。ここではよりプロフェッショナル向けの仕様を備えた、ケースの厚さ約15mmの「オイスター パーペチュアル シードゥエラー」と、更に厚いディープシーを紹介する。「オイスター パーペチュアル シードゥエラー」の防水性は1220mで、「ロレックス ディープシー」はなんと3900mを誇る。並外れたこれら43mm径と44mm径のモデルは、海水による腐食に高い耐性を示すロレックスの特別なステンレススティール合金904L系(オイスタースチール)を採用。自社開発のセラミックス製ベゼルも耐傷性に優れる。ケースにはヘリウムエスケープバルブを備え、ダイバー用エクステンション機構を含むフォールディングバックルが組み合わせられている。
オリス 「アクイス デプスゲージ」
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頑丈な作りで知られるオリスの「アクイス」シリーズ。この「アクイス デプスゲージ」も、ケースは500m防水を誇り、ベゼルは耐傷性に優れる。特筆すべき技術的な特徴は、水深計を備える点だ。この機構は時計が入水した際に、水がサファイアクリスタル製風防のへりに沿って設けられた導水管に入り込み、その中にある空気を圧縮することで水深を示すものである。潜水深度は、文字盤外周部にめぐらされた空気と水との明暗の境目部分から読み取る。ムーブメントにはセリタの自動巻きキャリバーSW200を搭載。ステンレススティール製のケースにはイエローラバーストラップが組み合わされる。購入時には専用ボックスにブラックラバーストラップが付属することも魅力だ。ストラップにはいずれもダイバー向けに長さ調節が可能なフォールディングバックルが付いている。
オーデマ ピゲ 「ロイヤル オーク オフショア・ダイバー」
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オーデマ ピゲは2018年に「ロイヤル オーク オフショア・ダイバー」コレクションにカラフルな展開を加えた。カラーバリエーションには他にターコイズブルー、グリーン、ベージュ、パープルがある。ケースサイズは42mm径で、300m防水の防水性を持つ。リュウズで操作するインナーベゼルは両方向回転式だ。約60時間のパワーリザーブを持つ自社製キャリバー3120は耐磁性を持つ軟鉄性のインナーケースに収まる。ダイバーたちにはラバーストラップの長さ調整ができない点を購入の際に踏まえてほしい。
ベル&ロス 「BR 03-92 ダイバー」
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ベル&ロスが角型ケースのダイバーズウォッチを発表したのは2017年のことだ。現在では定番モデルのひとつとして定着しつつある。人間工学にのっとった角型ケースはサテンとポリッシュ仕上げのステンレススティール製で、直径は42mmである。防水性は300m、ムーブメントにはセリタSW300をベースにした自動巻きBR-CAL.302を内蔵する。