ポラールのフラッグシップモデル。高精度の心拍計やパワー計測、連携アプリの機能充実など、アスリート向けウェアラブルデバイスとして最高峰のスペックを誇る。320mAhリチウムポリマーバッテリー。トレーニングモード(GPSと手首型心拍計)で約40時間のバッテリー持続。SS(直径46mm、厚さ13mm)。66g。シリコン製ストラップ。30m防水。6万9800円(税別)。
コンセプトを一新したVantageシリーズ
現行のポラール製品で、圧倒的な存在感を示しているのが昨年発表、発売された「Vantage V」だ。Vantageシリーズの核となるのは、新たに設計された高精度の心拍計である。
一般的に、腕時計型デバイスに装備されている心拍計では、血液の補色である緑色のLEDの光を手首へ照射し、その透過光もしくは反射光を撮像。血管の収縮を検出することで心拍を検出している。
しかしこれだけでは正確な心拍を、手首が激しく動いている中では検出できない場合もある。例えば4世代目(心拍計を装備してからは3世代目)となるApple Watchだが、ランニング時などに異常値(あきらかに実際とは異なる心拍数)が記録されることも少なくない。
ポラールはこの問題を解決するため、5個の緑色LEDだけではなく、4個の赤色LEDも搭載した。色が異なるLEDを用いるのは、計測する血管の深さを変えるためだ。ことさら周囲の気温が低い場合などに効果的だという。
また5カ所に分散したLEDライトから検出する映像と内蔵Gセンサーからの情報を組み合わせ、手首の上で腕時計のセンサー部が常に動くような状況でも、読み取り間違いをしないよう特別なアルゴリズムを組み込んだ。仮に異常値を検出していたとしても、クラウド側でGセンサーの履歴と照らし合わせながら削除する。
さらにVantage Vにはスマートフォンからの情報通知機能や、内蔵Gセンサーなどから加速度を読み取り、ランニング時のパワー(ランナーが出しているエネルギー)を推測する機能もある。通常、パワー計測にはシューズに装着するセンサーなどが必要だが、腕時計単体で計測できるところがミソだ。
実際に表したワット数への信頼性は高くないかもしれないが、相対的なパワーの比較はできる。パワー計測と高度計を組み合わせることで、上り区間、下り区間、それぞれでのパワーを比較可能になるからだ。一般的に走力のあるランナーほど、下り区間でもしっかりとパワーを出してタイムを稼ぐ。
全体のペース配分も含め、自分の弱点をしっかりと見極められるアスリート向けのスポーツウォッチと言えるだろう。
加えて、内蔵されているGセンサーの性能も高まっているのか、自動的に睡眠モードに入る精度なども高くなっていた。