ライアン・ゴズリング
日本でも2019年2月から上映されている『ファースト・マン』は、1969年に成し遂げられた月面着陸という人類初の偉業を描いた作品だ。
時計好きであれば、アポロ11号と聞けばオメガのスピードマスターを連想する人が多いだろう。1965年以降からオメガがNASAの有人宇宙飛行計画に時計を供給していることは知られた話である。『ファースト・マン』の制作に際してもオメガが「スピードマスター」をはじめ当時と同じウォッチを提供したというから、映画の見ごたえはいっそうのものだ。
今回ピックアップする人物は、『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督と再びタッグを組んで『ファースト・マン』の主演を務めた俳優のライアン・ゴズリングだ。写真は2014年にカンヌ映画祭において撮影されたもので、自身が監督デビューを果たした『ロスト・リバー』のフォトコールに応える姿である。
その手元に注目してみよう。程よく焼けた文字盤にはブランドロゴとともに、6時位置に「Constellation」のモデル名と星印、くさび型インデックス、そしてヴィンテージ感たっぷりの7連ブレスレットが写っている。これはオメガ「コンステレーション」で、おそらく1950年後半に作られたCal.501を搭載するRef.2852だろう。
オメガ
「コンステレーション」
この撮影から2年後に公開された『ラ・ラ・ランド』でも、スクリーンのライアンがオメガの別のヴィンテージウォッチを着用していることが話題になった。映画『ファースト・マン』の公式サイトを見ながら最も驚いたことは、実はこの『ラ・ラ・ランド』よりも前から『ファースト・マン』が企画されていたということだ。
以前から70年代風ファッションの着こなし方に定評があったライアン。彼が初めてオメガを手にした時期は定かではなく、ヴィンテージファッションへの関心からコンステレーションを購入したのかどうかは分からない。しかし、もしかしたら“ニール・アームストロング”を演じるにあたり、彼の中でオメガの存在感が大きくなり、この時計とともに覚悟を重ねてきたのかもしれない。ゴールデングローブ賞やアカデミー賞に何度もノミネートされてきた実力派俳優のライアンが、『ファースト・マン』に並々ならぬ情熱を注いでいたことがこの写真からうかがえる。