スウォッチ グループの傘下に収まって以降、ハリー・ウィンストンはそれまで以上にウォッチコレクションの充実を図っている。現在、同社がフォーカスするのは今まで以上に凝った文字盤。今年は、20周年を迎えた「アヴェニュー」コレクションに高精度ムーンフェイズを追加したほか、プロジェクトZシリーズの文字盤をさらに立体的に改め、中屋万年筆とのコラボレーションモデル「ヨゾラ」も加えた。CEOを務めるナイラ・ハイエックは、文字盤へのフォーカスをこう説明する。「2年ほど前から、一部のモデルは文字盤の表面にクリアを吹くのをやめました。その結果、文字盤でいろいろなことができるようになった」。加えて、ハリー・ウィンストンは、ベーシックな「エメラルド」コレクションに、大ぶりな33mmモデルを追加。これは、時計愛好家にも響くであろうモデルだ。
エメラルド・オートマティック 33mm
エメラルドカットのシルエットに範を取ったエメラルドコレクション。2019年は、大ぶりな33mmモデルが追加された。搭載するムーブメントは自動巻きとクォーツ。前者のケース厚は7.59mm、後者は6.72mmしかないため、装着感はかなり優れている。また、文字盤に凝るハリー・ウィンストンらしく、クォーツと自動巻きでは文字盤の造形自体も異なる。一見シンプルながら、切削で削り出した文字盤は独特の緊張感を持つ。写真の自動巻きモデルは片方向巻き上げ式のため、女性の使用にも向くだろう。ただパワーリザーブはやや短い。
プロジェクトZ13
ケースにザリウム™を使用するプロジェクトZシリーズの最新作。ムーンフェイズにレトログラード式の日付表示という構成は従来に同じ。しかし文字盤のオープンワークが強調されたほか、文字盤にブラックポリッシュしたスティールやカーボンファイバーをあしらって、いっそう立体感を強めている。パッケージングに関して言うと、このモデルは歴代Zシリーズの中で最良だろう。
アヴェニュー・クラシック ムーンフェイズ
アヴェニューに加わった高精度ムーンフェイズ搭載機。ベースとなったのは既存のクォーツムーブメント。しかし、ムーンフェイズの輪列に中間車を噛ませることで、表示誤差は4.38年に1日となった。また、時計の動きを示すべく、スモールセコンドも追加された。文字盤はマザー・オブ・パール仕上げだが、塗装ではなく、染色技法でカラーリングするという独自のテクニックが採用されている。なお、このモデルもハリー・ウィンストンの高級ラインにならって、文字盤の表面には透明のラッカーが施されていない。なお、ほかにも168個のラウンド・ブリリアントカット・ダイヤモンド(約6.22カラット)に108 個のラウンド・ブリリアントカット・ブルーサファイア (約 1.18カラット)と108 個のラウンド・ブリリアントカット・パープルサファイア (約 1.18カラット)をあしらった限定版(20本限定)がある。