ロレックスのアイコニックなトラベラーズウォッチ「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」。2018年には、ジュビリーブレスレット仕様にレッドとブルーのベゼルをまとった新作が注目を浴びた。2019年には、ブルーとブラックのベゼルを備える新モデルが送り出されている。今回は、ロレックスの2019年新作のハイライトとも呼べる、このモデルの詳細を見ていきたい。
Text by Mark Bernardo
ロレックス
「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」
まずは「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」のケースから見てみよう。直径40mmのケースには、ロレックスがオイスタースチールと呼ぶ耐食性に優れた904Lステンレススティールが採用されている。ソリッドスティール製の縁に刻みのついたケースバックは、ロレックスの専用工具を使ってねじ込まれることで密封性を担保し、防水性は100mを保持する。三重密閉構造の防水システムが搭載されたトリプロックリュウズは、「オイスター」と名付けられた堅牢なケースにしっかりとねじ込まれ、ケース一体型のリュウズガードで保護されている。
両方向回転ベゼルの色合いは、深みのあるブルーとブラックの2色で構成される。24時間を示す目盛りと数字は凹型にかたどられ、PVD加工によってプラチナでコーティングされている。ベゼルに使用されるのはセラクロムと呼ばれるロレックスが独自開発したセラミック素材で、耐食性と耐傷性に優れるだけでなく、紫外線の影響を受けにくいため、経年変化を起こしにくいという特徴がある。ベゼルの24時間表示は、先端が三角形になっているGMT針と同期し、素早くそして簡単に第2時間帯の時刻を視認することができる。時分針と日付表示はローカルタイムとして連動する。傷防止が施されたサファイアクリスタル製風防には、3時位置の日付表示部を拡大するサイクロップレンズが備えられている。
ムーブメントには、2018年のオイスター パーペチュアル GMTマスターⅡで初めて採用された新しいキャリバー3285を引き続き搭載する。キャリバー3285は現在、数件の特許を申請中だ。申請中の一例としてクロナジーエスケープメントが挙げられる。これは高い耐磁性を誇るニッケルとリンの合金製のものであり、ガンギ車の一部をくり抜いて軽量化しているためムーブメントのエネルギー効率が向上したものである。ヘアスプリングにはロレックス独自の常磁性合金、ブルーパラクロムが採用され、あらゆる姿勢において等時性を保つ。またブルー パラクロム・ヘアスプリングにはオーバーコイルが備わり、ロレックスによれば、これにより従来より10倍もの耐衝撃性を実現するのだという。これらの新しい要素によって、自動巻きムーブメントのパワーリザーブは完全に巻き上げた状態から約70時間まで延長された。
本機は2015年以降のロレックスウォッチと同様にロレックス高精度クロノメーターの基準をクリアしている。その証しが記されたブラック文字盤に、ホワイトゴールド製の針と、視認性の高いアプライドアワーマーカーが合わせられている。
前作同様、ブレスレットには(3つのリンクで構成される一般的なオイスターブレスレットではなく)5連リンクのジュビリーブレスレットが組み合わされた。ジュビリーブレスレットは1945年にオイスター パーペチュアル デイトジャストの発売に合わせて開発されたものであり、しなやかで着け心地に優れる。ブレスレットとケースの接続部はつなぎ目を見せず一体感を生むコンシールドアタッチメントシステムを採用。また偶発的に誤って着脱システムが開かぬよう、クラスプには特許を取得したセーフティキャッチが備えられる。ロレックスが過去に特許を取得した、長さを容易に約5mm調節することができるイージーリンク(エクステンションリンク)もこのブレスレットの特徴だ。