天才時計師アブラアン-ルイ・ブレゲがトゥールビヨンの特許を取得したのは1801年6月26日のことである。それから218年、創業者が生み出したトゥールビヨンを、ブレゲは厚さわずか3mmのスケルトン仕様自動巻きムーブメントに収めた。
2019年のブレゲの新作の中で、最も魅力的なリリースは本モデル「クラシック トゥールビヨン エクストラフラット スケルトン 5395」であったろう。その詳細をお伝えする。
Text by Logan R. Baker
ブレゲ
「クラシック トゥールビヨン エクストラフラット スケルトン 5395」
「クラシック トゥールビヨン エクストラフラット スケルトン 5395」は、2018年に発表された前作「クラシック トゥールビヨン エクストラフラット オートマティック 5367」をスケルトンに改めたモデルである。搭載するムーブメントは前作のキャリバー581をベースにしたものであり、本モデルでスケルトン仕様とするためにムーブメント素材の50%近くが削ぎ落とされた。手仕上げで美しくスケルトナイズすることに注力した結果、本作のビジュアルはとても魅力的に仕上がっている。
ゴールド製の地板と受けには透かし彫りがなされ、ムーブメントの機構があらわになった。くり抜かれた地板の残り部分の表面には、クル・ド・パリのギヨシェ彫りがダイヤモンド粒子を使った手動旋盤を使って刻まれている。鋭角のエッジについては、ヤスリを使った手仕上げで、45°の角度の面が平滑に成形されるまで入念に磨き上げられた。パーツの面取りやネジ穴、ネジ溝も手作業で仕上げられ、最後にエングレービングでブレゲのブランド名が刻まれている。なおインデックスは青色のゴールド製アプライドだ。
厚さわずか3mmの自動巻きキャリバー581 SQには、ムーブメントのスケルトン仕様を優美に見せる妨げとならぬように、ムーブメント外周を回転するペリフェラルローターが採用された。香箱から供給されるエネルギーは、4Hzの高振動を刻みながら約80時間のパワーリザーブを保持する。トゥールビヨンは、Ref.5367で採用されたものがリデザインされ、チタン製キャリッジから中間車を噛ませずに輪列に直結している。そしてシリコン製ヒゲゼンマイを採用したテンプとアンクルを介して連結するガンギ車は独特の角のついた形状になっており、脱進機の軽量化に貢献している。
「クラシック トゥールビヨン エクストラフラット スケルトン 5395」は、グレー仕上げのゴールド製ムーブメントをローズゴールドのケースに搭載したモデルと、ローズゴールド仕上げのゴールド製ムーブメントをプラチナのケースに搭載したモデルの2種類で展開される。