タグ・ホイヤーは2019年7月10日に、アイコニックピース「モナコ」の誕生50年を記念した限定モデル第3弾「モナコ 1989–1999 リミテッドモデル」を、その数日後に「FIA フォーミュラE選手権」第12戦を控えた地、ニューヨークで発表した。
前2作の「10年単位」のテーマに続き、第3弾は1990年代の様式的な影響とデザインコードを組み合わせて作られた。その詳細をお伝えしよう。
Text by Mark Bernardo
タグ・ホイヤー 「モナコ 1989–1999 リミテッドモデル」
記念モデルの1作目にあった1970年代のアースカラーと、2作目の80年代のゴーゴースタイルに続く今回の新作は、90年代のハイテクブームとグランジ・ミュージックを背景として生まれた、スティールを多用したインダストリアルデザインの流れを汲むものである。グレーのグレイン仕上げの文字盤にはロジウムコーティングが施され、ブルースケールが配された特徴的なサンドブラスト仕上げのサブダイアルを備えている。レッドで示されているセンターのクロノグラフ秒針や時分針の先端、アワーインデックスが深みとコントラストを添えている。それ以外のすべての特徴を、角型防水ケースで初の自動巻きクロノグラフを搭載して世界を驚かせた1969年のオリジナルモデルから変わらずに見ることができる。例えば39mmのステンレススティール製スクエアケース、6時位置のデイト表示、9時位置に配されたリュウズ(左)と3時側のクロノグラフプッシャー(右)、12時位置の歴史的な「HEUER」のロゴ(当時のブランド名)などである。
特徴的なスクエアケースの中には、1969年のオリジナルモデルに搭載されていた型破りなムーブメントの後継機である、タグ・ホイヤーのキャリバー11が内蔵されている。日付早送り機構や、約40時間のパワーリザーブを備えた自動巻きクロノグラフ機構搭載ムーブメントは、直線と円を描くヘアライン仕上げが施されたソリッドケースバックによって密封され、そのケースバック上には他の記念モデル同様「1989-1999 SPECIAL EDITION」「ONE OF 169」のエングレービングが施されている。
1970年代モデルの第1弾発表はモナコ・グランプリで、1980年代モデルの第2弾はスティーブ・マックイーン主演の映画『栄光のル・マン』の舞台であるフランスのル・マンで発表された。モータースポーツをテーマにした周年記念の発表は1990年代モデルの今回の第3弾にも受け継がれ、ブルックリンのレッド・フックで7月13日から14日にかけて行われたフォーミュラEの幕開けに合わせるように行われた。