オメガ 「シーマスター ダイバー300M マスター クロノメーター ブラックセラミック&チタン」
5月中旬にスイスで開催されたスウォッチ グループのプレステージ&ラグジュアリー レンジの6ブランドの展示会「TIME TO MOVE 2019」において披露された新作で、個人的に「これは!」と思ったモデルを紹介する連載企画。第4回はオメガの新作パート3をお届けする。
休むことのない「進化」に感心!
「TIME TO MOVE 2019」オメガ編パート1の「ムーンウォッチ」のように「またか」と言われるかもしれないが、オメガ編パート3となる今回は、あえて昨年完全リニューアルされたばかりの「シーマスター ダイバー300M マスター クロノメーター」に追加された、今年の新作を紹介したい。
2018年のバーゼルワールドで発表された「シーマスター ダイバー300M マスター クロノメーター」の魅力は、Chronosの読者には改めて解説するまでもないだろう。ケタ違いの精度と耐久性に加え、超耐磁性能まで備えた「マスター クロノメーター」ムーブメントを、同社が特許を取得した円錐型のヘリウムエスケープバルブ付きのシースルーバック仕様のケースに搭載。それで税別で50万円台前半の価格を実現した。そのプライスパフォーマンスにはとにかく驚いてしまい「本当にこの価格ですか?」と確認の質問をしてしまったくらいだ。
そして今年はこのコレクションに初のセラミックケースモデル「シーマスター ダイバー300M マスター クロノメーター ブラックセラミック&チタン」が新たに加わった。ケースはポリッシュとサンドブラスト仕上げを使い分けたファインセラミックス製。強靭さと美しさでSSの上を行く。シースルーバック化するためなのだろう、ケースバックはグレード5のチタン製。ケースサイズは昨年発表のSSモデルの直径42mmより少し大きな直径43.5mmだが、取材ノートを読み返すと「素材のおかげでたぶんSSよりかなり軽い印象」とある。実際にも軽いはずだ。
「見えない進化」も怠らない
また、セラミックケースとチタン製ケースバックの組み合わせに「ナイアードロックシステム」という、こちらも特許のシステムを採用。ケースとケースバックがきちんと設計通りの位置に来るようになっている。これも画期的な進化だ。
そして、セラミックス製のダイアルも新しい。おなじみの波パターンがレーザーエングレービング技術を使って立体的に描かれているのだが、なんと波の部分が浮き彫りになっているのだ。前回紹介した「ワールドタイマー」もそうだが、技術力で躊躇なく前に進むオメガの姿勢がここにも表れている。
傷が付きにくいセラミックス製回転ベゼルのダイビングスケールも、従来のリキッドメタルから、より鮮明で視認性に優れたホワイトエナメルに替えている。
このように、一見しただけでは分からなくても、その実、未来に向かって休むことなく進化を続ける。それが時計に限らず、超一流ブランドの条件であり矜持だと思う。オメガはその意味でまさに超一流だ。この認識がもっと共有されてほしい。お世辞ではなく、そう思う。
ところで、シーマスター ダイバー300Mには実は、とても気になる話題がある。それは引き続き映画『007』で秘密兵器のままであり続けるのか、ということだ。現在撮影中の作品でダニエル・クレイグは引退し、007のコードネームはラシャーナ・リンチが演じる女性が引き継ぐという設定になるという驚きの発表があったからだ。もっとも「ジェームズ・ボンド」役は男性が演じるわけで、たぶん新007とチームを組んで活躍するというストーリーになるのだろう。
その新ジェームズ・ボンドは、引き続きシーマスター ダイバー300Mを着けるのだろうが、一方、ラシャーナ・リンチが演じる新007はどんな腕時計を着けるのか? 男勝りのキャラクターだからメンズモデルなのか、それともレディスモデルなのか。想像するだけでも楽しい。