オリス「アクイス クロノグラフ」の着用レビュー

FEATUREWatchTime
2019.08.21

2017年発表のサメの保護プロジェクトをサポートする「ハンマーヘッド」モデルなど、海洋環境維持と保護につながるリミテッドエディションを展開してきたオリスの「アクイス」コレクション。スモールセコンドウォッチのようなシンプルなものからビッグデイトや革新的な水深計搭載機まで、プロフェッショナル向けのダイバーズウォッチとしてさまざまなモデルを擁する同コレクションは、2018年にクロノグラフを追加した。ひと目見た時からこのモデルを記事にする日を望んできた筆者の熱のこもったレビューをお届けする。

Originally published on watchtime.com
Text by Mark Bernardo


オリス 「アクイス クロノグラフ」

アクイス クロノグラフ

オリス「アクイス クロノグラフ」。自動巻き(Cal.Oris 774/SW500ベース)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SS(直径45.5mm)。500m防水。ラバーストラップ。39万円(税別)。

ファーストインプレッション

 第一印象として、直径45.5mmの大きなケースサイズからはすぐにダイバーズウォッチであろうという察しが付くとともに、まず気になるのがその重さであろう。実際に、手首に着用した際の存在感は大きい。しかし、私の持っているシャツのどのカフにも引っかかるということはなく、かつ腕が重いという感じもしない。おそらくその理由に、ラバーストラップの快適さが挙げられるだろう。加えて、カーブしたケースバックが自然に手首になじむからではないかと思う。

アクイス クロノグラフ

直径45.5mmのステンレススティール製ケース。

 潜水時間をはじめとしたあらゆる時間設定において、逆回転防止機能付きベゼルのラチェット(歯止め)は滑らかに動き、明快な音によっても確認がしやすく、また握りやすい。まだ私は試してはいないが、ダイビンググローブやその他の厚手のグローブをはめていても、その操作性は変わらないだろう。ダイバーズインレーのトップリングはブラックセラミックス製で、きらりと輝くポリッシュ仕上げになっており、まるでサファイアクリスタル製風防の延長となっているのではないかと思わせる。光の加減によっては文字盤のダークブルーがそのままつながっているように見えるほどだ。15分までのインデックス、10分単位でのアラビア数字インデックス、5分単位でのバーインデックスはすべてホワイトで刻まれている。暗い深海では、スーパールミノバが塗布された12時位置のトライアングルとその中央にあるドットがベゼル位置を示す。このレビューを書きながら、おそらくベゼルはマット仕上げの方が好ましく、ダイバーたちにとっても使いやすいのでは? という考えも出てきたのだが、しかしながらやはりポリッシュ仕上げが与えるラグジュアリーな雰囲気は良いものである。

アクイス クロノグラフ

逆回転防止機能付きベゼルの外周には刻みが入れられてつかみやすく、操作性が良い。

文字盤

 深い海を思わせるブルー文字盤は、複雑なレイアウトをうまく整えており、視認性を確保するのに貢献している。大きな楔型の時針、長くテーパーを利かせた剣状の分針、そしてアプライドのアワーマーカーはすべてスーパールミノバが施されている。ダークブルーの文字盤とのコントラストは明確だ。ご存じのように、ダイバーズウォッチの最も重要な点は視認性にある。

アクイス クロノグラフ

大きな針とインデックスにはスーパールミノバが塗布され、非常に視認性が高い。

 若干くぼみが付けられたサブダイアルは、文字盤よりも落ち着いたブルーが採用され、かつ同心円の細かい溝が採用されている。12時位置は30分積算計、9時は特殊な両端を持った針のスモールセコンド、6時位置は12時間積算計だ。12時間積算計のサブダイアルには、細い長方形の日付表示が組み込まれている。

アクイス クロノグラフ

サブダイアルの装飾には同心円状の模様が施されている。

操作性

 クロノグラフの操作は、感触的な楽しみを伴う。丸く仕上げられたプッシャーは、ソフトでありながら程よい操作感を指先に感じさせてくれる。センターのクロノグラフ秒針の先端もスーパールミノバが施されているため、文字盤上を動く際には暗闇でも視認性が高い。500mの防水性を担保するねじ込み式リュウズは2段階の引き出しを設けられている。1段階目では日付の早送り調整、2段階目では時分針の調整を行うことができる。リュウズにはオリスのロゴがトップに配され、操作しやすいように外周には溝が刻まれている。

アクイス クロノグラフ

刻みの付いたリュウズにはオリスのロゴが配されている。

ケースバック

 ねじ込み式のステンレススティール製ケースバックには、オリスのクラシカルな紋章や、メートルとフィートの換算表が刻まれている。搭載されるキャリバーOris 774はセリタSW500をベースにしたものであり、レッドカラーのローターなどオリス独自の仕上げが施されている。この自動巻きムーブメントは、25石、毎時2万8800振動、約48時間のパワーリザーブを保持する。特別仕様のソリッドケースバックゆえ、それを見ることはできないが。

アクイス クロノグラフ

ケースバックにはメートルとフィートの換算表が刻まれている。

ストラップ

 ストラップはスポーティーなブラックラバー製であり、ラグにネジ留めされている。バックルはステンレススティール製フォールディングバックルで、ダイバー用エクステンションを備え、0.5インチの長さを調節できるようになっている。筆者は今回初めてエクステンション付随の時計を一定期間着用してみたが、装着感は非常に良かった。おそらくこの時計は私よりも太い手首の人に合うものであるらしく、まずバックルの穴を最も細い位置で留めた上に、エクステンションも一番短い位置に調節をした。このような調節により、不具合を感じることは皆無だった。この時計は、特定の着用者に合うように作られたというより、実際手首にはめてみて、数日間を共に過ごすことにより着用者に合うようになる時計と言うことができる。

アクイス クロノグラフ

バックルにはダイバー用エクステンションが内蔵されている。

アクイス クロノグラフ

「アクイス クロノグラフ」には5つの仕様が用意されている。

 ブルーダイアルにはラバーストラップの他にカーフレザーストラップ、ステンレススティールブレスレット仕様のモデルがある。またブラックダイアルモデルも用意され、そちらはラバーと、ステンレススティールブレスレット仕様となっている。5つの仕様が用意された「アクイス クロノグラフ」だが、私の好みは断然このブルーダイアルのラバーストラップモデルである。税別価格は39万円だ。これより求めやすい価格の時計は他にもあるが、私たちが求めているのはオリスのような価値あるモデルである。


Contact info: オリスジャパン Tel.03-6260-6876