インサイト マイクロローターの誕生
その結果として発表されたのが、ローマン・ゴティエの最新作だ。2017年に誕生した「インサイト マイクロローター」は、翌年のSIHHにはブランド初のレディースウォッチとして、そしてブラックチタンとナチュラルチタンモデルとして生まれ変わった。
「インサイト マイクロローター」は独創的な時間表示を行うものでありながら、親しみやすさと高い装着性を誇る。チタンモデルの発表は想定内のことだったかもしれないが、これこそまさにローマン・ゴティエの現在の在り方がどのようなものであるかを雄弁に物語っている。
「インサイト マイクロローター」は、複雑な機械式構造を搭載しながら日常使いに適したサイズにまとまっている。装着感の良さと独自性のある時計作りの両方を兼ね備えるということは、あらゆるウォッチブランドが目標とすべきものだろう。ここではそれが成し遂げられいるのだ。
ローマン・ゴティエの今までのどのモデルに比べても、軽やかな動きを促す軽量なチタンは、自動巻きムーブメントを内蔵するインサイト マイクロローターの理想的なパートナーと言えよう。ローマン・ゴティエの特徴である22Kゴールド製両方向回転マイクロローターは、文字盤とケースバックのどちらからも鑑賞できる。ふたつのブリッジの間に配されたローターはルビーベアリングによって滑らかに回転し、ふたつの香箱の主ゼンマイを巻き上げ、約80時間のパワーリザーブを生み出す。ふたつの香箱は直結され、安定したエネルギーを伝達していく。
時間表示は重なり合ったオフセンターのサブダイアルで行われる。12時位置は時分表示、中央はスモールセコンドである。6時位置にはテンプが配される、振動数は毎時2万8800回だ。ムーブメントの地板から丸く切り抜かれた部分にはマイクロローターと、他方にゴールドプレーティングが施されたエングレービングによるブランドロゴ「RG」が見て取れる。これらの要素が、面取りとポリッシュ仕上げが施された曲線を持つブリッジなどに取り囲まれるように配され、12時方向にかけて丸みを帯びたサファイアクリスタル製の風防に覆われている。
逆転歯車が両方向回転式のメカニズムを司る、輪列につながったマイクロローターを見ることのできるケースバックもまたダイナミックだ。手作業による面取りおよびポリッシュ、サンバーストやヘアラインもしくは同心円状のヘアライン仕上げが施されたムーブメントは見ごたえ十分である。それぞれのパーツは、ローマン・ゴティエのシグネーチャーであるS字スクリューで留め付けられた。
また、ナチュラルチタン、ブラックチタンのケースにはそれぞれにコントラストの効いた仕上げが施される点も特徴である。
ナチュラルチタンでは、ケース側面とベゼルに鏡面仕上げ、ラグとケースバックにはサテン仕上げが施されている。地板にはブラックNAC処理が施され、パラジウム仕上げのブリッジが視覚的に浮き上がって見える。文字盤横のブリッジは、ヘアライン仕上げと手仕上げのフロスト加工が施された地板と対をなしている。焼成されたエナメルの艶やかな仕上げも特徴的だ。
「インサイト マイクロローター ナチュラルチタン」
一方のブラックチタンでは、ケース側面とベゼルに鏡面仕上げ、ラグとADLCチタンのケースバックはサテン仕上げが施されている。ブリッジ、地板ともにブラックNAC処理が施されているが、ヘアライン仕上げのブリッジが、手仕上げのフロスト加工を施した地板を背景に際立っている。同じ手仕上げのフロスト加工は焼成されたエナメル文字盤にも施され、魅力的なマット調に仕上がっている。
「インサイト マイクロローター ブラックチタン」
ローマン・ゴティエという存在
ゴティエ氏は続ける。「既成概念を覆す私の決意が証明されてきました。思い立った時、皆で協力しあいその実現を目指すのです。オートオルロジュリ(高級時計)であり、美しい仕上げが施され、どこからでもよく見えるムーブメントをチタンケースに収めるということを」。
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