ライバル不在を示した新型Apple Watch。ライフスタイルを変える存在に近付く

ウェルネス、ヘルスケアからメディカルへ、道具からファッションアイテムへ。着実に歩みを進める
Apple Watch Series 5

テクノロジーの分野で知らぬ人はいないほどのジャーナリストが、本田雅一氏だ。その本田氏が、ウェアラブルデバイスについて執筆する本連載。今回は日本時間の9月11日に行われたアップルの新作発表会にてデビューしたばかりのApple Watch series 5の速報を、現地からお送りする。

※追記 【Apple Watch 5】 詳報および使用感レビュー
https://www.webchronos.net/features/36164/

Apple Watch series 5

本田雅一:文
Text by Masakazu Honda

 最初のApple Watchが登場したとき、18Kゴールドケースを採用した極小のコンピューターを魅力的に思ったひとは少なかっただろう。しかし世代を重ね、パートナーを増やし、パートナーとの間で新たな研究開発や用途開発を行った結果、Apple Watchは同社が想像もしていなかった領域に踏み込もうとしている。

 アップルは米カリフォルニア州クパチーノにある本社で、一連の新製品を発表。その中にはスマートウォッチ市場で圧倒的な存在になっているApple Watchの最新版、series 5もあった。

 新シリーズではディスプレイ表示が常時オンで利用可能になるほか、久々に「EDITION」と呼ばれるケース素材にアルミ、もしくはSS以外を用いた高級モデルが用意される。EDITIONは「発売記念モデルとして用意した」とアナウンスされ、初代は18Kゴールド、2代目と3代目にはセラミックスを用いたモデルが用意されていたが、series 4ではラインナップから外れていた。

 復活したseries 5のEDITIONには、セラミックス(ホワイトのみで、series 3にあったスペースグレーの採用は見送られている)と初のチタンケースの2種類が用意されている。

Apple Watch series 5

 価格は最も低廉なアルミケース(4万2800円〜)に対し、42mmケースの場合でSSケースは3万円アップ、チタンケースは4万円、そしてセラミックスモデルは9万1800円アップだ。なおチタンケースにはヘアライン加工が施される。製品トータルの価格は、組み合わせるバンドごとに違いがあるため、アップルのウェブサイトでチェックしてほしい。

Apple Watch series 5

 アップルのウェブサイトからの購入、あるいは9月20日以降のアップルストアでは「Apple Watch Studio」と題して、好みの本体ケース、カラーと、現行バンドを自由に組み合わせた上でパッケージし、販売する新しい取り組みが始まる。

 一方で、Apple Watch series 5は「性能」という面では大きく踏み込んではいない。あらたに電子コンパスが組み込まされたが、処理性能はseries 4と同じだ。

 しかし、大きな進歩を遂げたseries 4のあと、アップルはさまざまな医療機関や大学医学部と連携し、このデバイスを“医療レベル”で活用する手段を模索していたようだ。

 この点については後述するが、見た目の造形には大きな変化が見られないApple Watchではあるものの、ハードウェアに関しても大胆な選択をした上で新たな提案をしている。