ハリー・ウィンストンの時計をチェック。歴史や人気モデルを知ろう

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2021.11.10

ハリー・ウィンストンは、古参時計メゾンに比肩する複雑機構の技術と、ジュエラーとして培った数多くの装飾技法を併せ持つブランドだ。クラシックかつ都会的、芸術的かつ革新的なハリー・ウィンストンの魅力と多彩な腕時計を紹介しよう。

ハリー・ウィンストン 時計


ハリー・ウィンストンの基礎知識

ハリー・ウィンストンの腕時計には、どのような特徴があるのだろうか。それを知るために、ブランドの歴史から見ていこう。

創業の地はニューヨーク

創始者ハリー・ウィンストン(1896-1978)は1920年、ニューヨーク5番街にプレミア・ダイヤモンド社を設立。1932年には自身の名を冠したハリー・ウィンストン社を創業する。

「ハリー・ウィンストン」は、1932年にニューヨークのマンハッタンに、ハリー・ウィンストン(1896-1978)により創業された宝飾ブランドである。

創業から一貫して、最高峰かつ革新的なジュエリーの製造に力を注いできた。

そのジュエリーは王侯貴族やハリウッド女優にも愛され、「キング・オブ・ダイヤモンド」や「スターたちのジュエラー」の異名を持つ。

1989年には、創始者ハリー・ウィンストンの情熱を引き継ぎ、時計業界にも参入。現在では高級時計ブランドとしても確固たる地位を築いている。

“キング・オブ・ダイヤモンド”

ハリー・ウィンストンは歴史的な宝石の数々を所有してきたことでも有名だ。

1935年には726カラットのダイヤモンドの原石ヨンカー、1938年には726.60カラットの原石ヴァルガスを購入するなど、創業当初からダイヤモンドに対する情熱は格別のものがあった。

1952年発行のライフ・マガジン誌では「ハリー・ウィンストンは歴史的価値のある宝石を英国ロイヤルファミリーに次いで世界で2番目に多く所有している」という記事が掲載されて、その類稀なる情熱が示されている。

1940年代に当時のジュエリーに対する認識を一変させた技術が、ハリー・ウィンストンが創案したセッティング技法「クラスター」である。

これは異なるカットが施されたダイヤモンドを極細のプラチナワイヤーを使い立体的にセッティングする画期的な技法。地金の使用を極力減らすことでダイヤモンドはあらゆる角度から光を捉え、その輝きが最大限に引き出されるのだ。

以来、クラスターはハリー・ウィンストンのデザインの基本となり、その技術は高級時計の装飾にも活かされている。

時計づくりは1989年から

時計業界には、スイスに本拠地を構える創業100年を超える老舗時計メゾンが名を連ねている。

優れた時計の製作には、高い技術とノウハウが不可欠であり、老舗時計メゾンは長年の経験により、一日の長がある。時計製造の新興であったハリー・ウィンストンは、その独創性と確信性で、この難題をクリアした。

1989年に初めてのタイムピースコレクション「HW プルミエール」と「シグネチャー」を発表。その後、瞬く間に時計の業界を席巻していくことになる。

特に、デビューからレトログラード式の表示機構を多用しており、今やハリー・ウィンストンのお家芸といえるほど洗練させている。

ジュエラーとしての技術、美的感覚と相まって、その複雑かつ優美な高級時計は一流時計メゾンの風格を漂わせる。


ハリー・ウィンストンの時計を知る

時計を貴石で装飾することは珍しくはないが、ハリー・ウィンストンのダイヤモンドは、最高峰の宝飾ブランドゆえに到達しうる抜群の価値がある。ハリー・ウィンストンの時計の特徴を知っておこう。

厳選されたジュエリーによる豪華な装飾

ハリー・ウィンストンの高度なセッティング技術が詰まったハイジュエリー・タイムピース「エメラルド・クラスター」。バゲットカット、ラウンド・ブリリアント・カット、ペアシェイプ、マーキースカットといった異なるシェイプの計約73.68カラットのダイヤモンドをあしらっている。クォーツ(HW1051)。プラチナ(縦22×横24mm)。3気圧防水。サロン限定販売。

ハリー・ウィンストンのジュエリーウォッチには、熟練の宝石鑑定士により厳選された最上級のダイヤモンドだけが使用される。

完璧なカッティングにより最大限の輝きを放つダイヤモンドは、さまざまなセッティング技法を組み合わせてケースやブレスレット、ダイアルなどに留められる。

宝石店ならではのデザインコード

ニューヨーク5番街718番のハリー・ウィンストン本店。ハリー・ウィンストンの時計のケースにあしらわれている3つのアーチは本店のファサードをモチーフにしたデザイン。

ハリー・ウィンストンには、宝飾ブランドとしての歴史から生まれたいくつかのデザインコードがある。

ひとつは、1960年にニューヨーク5番街718番地に移転したハリー・ウィンストン本店のファサードをイメージした「3つのアーチ」だ。

「HW プルミエール」と「HW アヴェニュー」には12時位置と6時位置、「HW ミッドナイト」と「HW オーシャン」「プロジェクト Z」には3時位置に、このアーチから誕生したモチーフがあしらわれている。

また、時計のケースに八角形を採用した「HW エメラルド」は、創始者ハリー・ウィンストンが好んだ“エメラルドカット”をイメージしたものであり、このフォルムはブランドロゴや店内を飾るディスプレイケースにも採用されている。

高度な時計製造技術

2009年に新たなトゥールビヨンの可能性を探る目的でスタートした「イストワール・ドゥ・トゥールビヨン」シリーズ。その第9作目となるのが“3軸トゥールビヨン”を搭載した「イストワール・ドゥ・トゥールビヨン 9」である。トゥールビヨン機構は6時位置に搭載される。第1キャリッジは300秒で1回転し、その中に収まる第2キャリッジは75秒で1回転する。そして可変慣性テンプを備えるの第3キャリッジは45秒で1回転するという構造を持つ。2時位置にレトログラード式の分表示、11時位置にレトログラード式ジャンピングアワー表示を装備。手巻き(Cal.HW4504)。18KWG(直径46.5mm)。パワーリザーブ約50時間。3気圧防水。世界限定10本。6950万円(税別)。

ハリー・ウィンストンは時計業界への参入当時から、パーペチュアルカレンダーとバイレトログラード表示機構を採用し、ここから複雑時計の旗手として認知されてきた。

その名声をさらに高めるきっかけになったのは、2009年にファーストモデルが発表された「イストワール・ドゥ・トゥールビヨン」である。

トゥールビヨンは重力の影響によってムーブメントにかかる力学的な力を相殺し、精度を高めるための機構だ。懐中時計の時代に開発された古典的なトゥールビヨンではタテ方向にかかる重力の影響には効果があったが、腕時計のような3次元的な動きには適応しない。

そこでトゥールビヨンの回転軸を複数備える“多軸トゥールビヨン”が登場する。そして、その頂点として2018年に発表されたのが3軸トゥールビヨン「イストワール・ドゥ・トゥールビヨン 9」である。3つのキャリッジが異なるスピードで1回転することで、精度を高める機構であり、最高峰の複雑機構として激賞された。

芸術性を追求した手仕事

ハリー・ウィンストンのジュエリー時計は、フランス語で「芸術的な手仕事」を意味する“メティエ・ダール”をテーマにした作品が多く発表されていることも特徴のひとつだ。

HW プルミエール・プレシャスマルケトリ

マザー・オブ・パールをベースにダイヤモンドと11個のペアシェイプ・サファイア・カボションなどを美しく配した「HW プルミエール・プレシャスマルケトリ 36mm」。クォーツ(Cal.HW1042)。18KWG(直径36mm)。3気圧防水。

“メティエ・ダール”のひとつに「マルケトリ」がある。17世紀に流行した寄木細工の技法で、この技法を使って作られるのが「HW プルミエール・プレシャスマルケトリ 36mm」だ。

その文字盤は、ホワイトゴールドのベースプレートにマザー・オブ・パール、エナメル、ペアシェイプ・サファイア・カボションなどが緻密に配される。

キジ(パープル)とクジャク(ターコイズ)の羽根を文字盤に使った「HW プルミエール・フェザー」。クォーツ(Cal.HW1042)。18KWG(直径36mm)。3気圧防水。

「羽根細工」を採用した「HW プルミエール・フェザー」では、従来の文字盤では見られない躍動感のある美しさが生まれている。

また日本古来の「螺鈿」から派生した「螺鈿織」を用いた「HW プルミエール・プレシャス ウィービング オートマテック 36mm」など、東西の芸術を文字盤に収めたモデルも見ごたえも十分だ。

マザー・オブ・パールをシルクに織り込んだ生地をダイアルに採用した「HW プルミエール・プレシャス ウィービング オートマテック 36mm」。自動巻き(HW2008)。18KRG(直径36mm)。3気圧防水。世界限定30本。