ぜひ手に取りたい近作モデルを紹介
2019年発売モデルの中で、時計メゾンとしてのブルガリの最先端を色濃く反映しているものを3本紹介しよう。
ブルガリ・ブルガリ (1029)
「ブルガリ・ブルガリ (10229)」は、コレクションの中でも「黒」を強調したモデルである。
ケースとラグには耐摩耗性を誇るDLC(ダイヤモンドライクカーボン)を施し、精悍な印象に仕上げられている。針、インデックス、リュウズをブロンズ製にすることで視認性を確保すると同時に上品な反射光を楽しめる。
ムーブメントは最薄ではないが3.60mmと非常に薄く、機械式時計としては申し分ない薄型モデルだ。薄くて軽い上に、カーフスキンのストラップは快適な装着感を与える。
ムーブメントは自社開発の「BVL 191 ソロテンポ キャリバー」を搭載。
またストラップには、ブルガリ・ブルガリのオリジナルモデルに敬意を表し、当初のブレスレットを最先端のラバー製ストラップで再現している。
オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT オートマチック (BGO42C14TTXTCHGMT)
「オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT オートマチック」は、ブルガリの技術を結集して作られた極薄高級スポーツ時計だ。
2019年に発表されたこのモデルに搭載される自動巻きクロノグラフムーブメント「cai.BVL 318」は厚さわずかに3.30mm。機械式クロノグラフで世界最薄を実現した。
チタン製ケースは6.90mmと極めて薄型であり、幅の広いチタン製ブレスレットもケース同様に薄く仕上げられ、抜群の使用感が得られる。
一見すると3カウンタークロノグラフのようだが、3時位置のインカウンターは24時間表示のGMTとなっている。
ジェラルド ジェンタ ウォッチ (103191)
「ジェラルド ジェンタ ウォッチ (103191)」は、ジェラルド・ジェンタのブランド立ち上げ50周年を記念して彼の代表作である「アリーナ バイ レトロ」をベースに作られたモデルである。
全体に丸みを帯びたフォルム、12時位置のジャンピングアワーとふたつのレトログラードなど、初期モデルを踏襲したデザインだ。ただし単なる復刻にとどまらず、オリジナリティーが加えられている点に注目だ。
たとえば、初期モデルではレトログラードはふたつとも180度仕様だが、本モデルでは日付表示は180度だが分表示は210度としている。
レトログラード針は直線的になり、秒針を排することで初期モデルよりすっきりとしたフェイスに仕上がっている。
ブルガリの時計の選び方
ブルガリのメンズ時計は、コレクション → シリーズ → モデルという3段階で見ていくことが重要だ。
たとえば、オクトというコレクションの中にオクト フィニッシモやオクト ローマといったシリーズがあり、それぞれに複数バリエーションのモデルがある、といった具合である。
それぞれのモデルの個性を把握する
ブルガリの過去モデルには、ケースに特殊なブリッジが設けられているものや際立ったドーム状のものもあった。
しかし、現行コレクションではこれらのモデルは姿を消している。いまは薄型軽量で、光をデザインすることで立体感を創出しているモデルを多数ラインナップする。より実用的なコレクションにシフトしているといえるだろう。
ブルガリの時計は、コレクションの中でさらにシリーズ分けされ、素材やカラーリングによって想定される装着シーンが変わってくる。
たとえば、オクトでは「オクト フィニッシモ」が主張を抑えたスポーツ時計、「オクト ローマ」がラグジュアリーなドレス時計といった具合だ。
ベゼルのデザインに注目
現行ラインのベゼルの形状は、大きく2種類に分けられる。ひとつはブルガリ・ブルガリのラウンド型、もうひとつはオクト型だ。
どちらも極めて薄型だが、オクト型はケース径によってはかなり大ぶりに感じるかもしれない。同じケース径なら、オクト型の方が主張が強い形だ。
ラウンド型なら、「BVLGARI」の刻字があるか、貴石をセッティングしたものかで大きく印象が異なる。
ベゼルのカラーによっても刻字の視認性が変わるため、控えめなものを求めるならブラックかシルバーがよいだろう。
ケースやベルトの素材を吟味
ケースの一般的な素材はステンレススティールだ。同じシルバーに見えても、より耐久性の高いチタンや、ラグジュアリーなプラチナとは異なる。より軽くて耐摩耗性に優れたカーボン製は実用性が高い。
ストラップやブレスレットでいえば、ドレス時計ならレザーストラップ、ビジネス時計ならブレスレット、スポーツやリゾートシーンならラバーストラップといった適性がある。
これらは同シリーズの中でバリエーションとして選択できるため、まずはコレクション、次にシリーズの特徴を掴んで素材やカラーを吟味しよう。
アフターサービスを受けるには
ブルガリのアフターサービスは、保守点検か修繕かという違いで2種類用意されている。これらは定期メンテナンスだが、まずはブルガリが推奨するブルガリ時計の扱い方を一読しておきたい。
なお、ブルガリに統合される前のジェラルド・ジェンタかダニエル・ロートブランドの時計も、ブルガリのサービス対象である。
まずは推奨事項を一読
ブルガリ公式サイトの「推奨事項」では、機械式時計としての特性に起因する故障の原因などが確認できる。
たとえば、午後9時から午前3時の間は日付の調整を行わないこと、などだ。これは、直感的に理解しにくい内容かもしれない。
日付は「日送り車」のツメがディスクを回転させることで表示されるが、リュウズで操作するのは「早送り車」のツメである。
夜間帯は日送り車のツメがディスクに引っかかるため、このときに早送り車で力を加えると、連動する機構が損傷したり、最悪ツメが折れたりといった危険があるのだ。
基本的なメンテナンスサービスはふたつ
ブルガリ時計の購入後に受けられるメンテナンスサービスには、「ベーシックサービス」と「コンプリートサービス」の2種類がある。
ベーシックサービスは、ムーブメントの動作確認や防水機能を維持するガスケットの交換など、基本的な保守点検サービスを行う。これは2年ごとに行うことが推奨されている。
コンプリートサービスは、以上の内容に加え、ムーブメントの分解と注油やケースのポリッシュなどを含めた修繕サービスだ。これは3〜4年に一度行うことが推奨されている。
特定のモデルは持ち込み先に注意
サービスを依頼する場合は、時計と保証書をブルガリショップに持っていくこと。
所有する時計が「ブルガリ」ブランドではなく、「ジェラルド・ジェンタ」か「ダニエル・ロート」ブランドの場合は、持ち込み可能な窓口が限定されるので注意しよう。対応ショップは公式サイトから確認可能だ。
ブルガリで自分らしさを演出
ブルガリは、一般的なスイス時計メゾンとは異なり、「イタリア二ティ」を特徴とするブランドだ。これはイタリアらしさを意味し、この追求がブルガリに独自の魅力をもたらした。
ローマの伝統を重んじるデザインは唯一無二の魅力を持ち、スイス時計の文脈には収まらない革新性があるのだ。
ブルガリの歴史、それはローマの歴史の一部でもある。ブルガリの時計を選び、ローマの伝統を身につけてみてはいかがだろうか。
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