本年8月、世界の一流時計が一堂に課した国内最大級規模の「三越ワールドウォッチフェア」が開催されました。今回は特別イベントとして、会場内に独立時計師のカリ・ヴティライネン氏を招き、Chronos日本版編集長、広田雅将氏との特別対談を行いました。当日の対談の様子をご紹介いたします。
produced by MITSUKOSHI WORLD WATCH GALLERY
独立時計師 ヴティライネン 「傑作腕時計への道」
比類なき完成度を実現する、年間製作本数50本
クロノス日本版編集長 広田雅将
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独立時計師 ヴティライネン
第2回「精巧な技術と美学がつくり出した、本当に美しい時計がここにある」
広田:ムーブメントだけでなく、ヴティライネンさんは文字盤やケースも自作しています。とくに文字盤はコンブレマインという専用会社を傘下に持つほどですが、それはどんな理由から?
ヴティライネン:私たちは年間50本しか生産していませんので、専用の文字盤をサプライヤーから調達するにはロットが少なすぎ、しかも独自のデザインで製造してもらうのは不可能だったんです。そこで自分たちが求める文字盤は自分たちで作るしかなかった。でも自分たちで製造することによってオリジナリティが生まれ、品質も自分たちで管理することができます。
広田:それだけに文字盤も素晴らしい。ギヨシェ彫りもプレスではなく、手作業によるものです。どのくらいかかるんですか。
ヴティライネン:文字盤自体は0.8mmのゴールド素材を使い、まったく何もない状態から、昔ながらの機械を使って職人が一つひとつ彫っていきます。完成までには4日間かかり、伝統的な機械を使うため、経験豊かな職人しかできません。私の工房では25年以上の経験のある女性が2名、専属で担当しています。
広田:それにしてもヴティライネンさんの時計の面白さは、どんどんレベルアップしていくところだと思います。文字盤にしてもギョシェを彫った上にエナメルで仕上げ、さらに脚穴をあけてインデックスを取り付けるなんて、昔はありましたが、いまはあり得ないです。どうしてやろうと思ったんですか。
詳細は 三越WORLD WATCH GALLERY にて掲載中