ユリス・ナルダンは1905年にアメリカ海軍の公式サプライヤーとなったことを記念し、この歴史的背景にインスパイアされた「マリーン トルピユール」をはじめとした海軍関係の時計を多く世に送り出してきた。そしてこのたび、アメリカ海軍特殊部隊NAVY SEALs、そしてそのOBメンバーによって創立されたチャリティー団体「ワンモアウェイブ(One More Wave)」との特別なつながりを持つ新作がベールを脱いだ。1000mもの防水性を誇る、タフなダイバーズウォッチだ。今回は、その「ダイバー ディープ ダイブ」を紹介する。
Text by Mark Bernardo
ユリス・ナルダン「ダイバー ディープ ダイブ」
ワンモアウェイブとは
「ワンモアウェイブ」はサンディエゴに拠点を置く非営利チャリティー団体だ。2015年にアメリカ海軍特殊部隊NAVY SEALsのサーフィン好きな退役軍人のグループによって設立された。傷痍軍人の「オーシャンセラピー」を目的とし、負傷や心的外傷、四肢の切断などを抱えた退役軍人のためにカスタマイズされたサーフボードや装備を供給することにより、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やその他のストレスを和らげる海という環境の中で、それらに打ち勝つためのサポートを行っている。
ユリス・ナルダン アメリカ社長のフランソワ-グザヴィエ・オティエは、コロラドのNAVY SEALsのトレーニングキャンプを訪れた際にワンモアウェイブ代表のカイル・バケットと面会し、その中で新作のアイデアを得たという。「ワンモアウェイブのプログラムに参加中の退役軍人たちを目にするという、忘れがたい体験をしました」とオティエは語る。「献身的で、勇気があり、友情にあふれた姿に啓発され、この重要な意味を持つ活動をもっと知ってもらいたいと思いました」。
アメリカ限定モデルの「ダイバー ディープ ダイブ」
「ダイバー ディープ ダイブ」の新作には、直径46mm、凹凸のついたブラックDLCコーティングが施されたケースに、同素材の12段階式逆回転防止機能付きベゼルが付属している。ケースにはプロフェッショナルダイバー向けの特徴がいくつか見られ、2時位置には着脱可能なリュウズプロテクター、長時間の潜水や再圧タンクを使用した飽和潜水などで用いられるねじ込み式ヘリウムエスケープバルブなどがある。その他の革新的な要素はラバーストラップに見られ、潜水中に圧縮クロロプレンゴム製ダイビングスーツの手首のサイズを調整する必要が生じたときのためのエクステンションが内蔵されている。もちろんケースも1000mという並外れた防水性を誇り、大きな波を乗りこなす1日がかりのサーフィンにも十分な仕様だ。
反射防止加工が施されたサファイアクリスタル風防の下には、イエローカラーのアクセント、蛍光塗料が施された針とアワーマーカー、3時位置の丸いデイト表示を備えたブラック文字盤が個性を放つ。スモールセコンドは5時位置に配され、イエローの秒針と同じく鮮やかなイエローのアラビア数字とインデックスの組み合わせとなっている。クローズドのケースバックには、ワンモアウェイブのロゴである三又の鉾があしらわれる。ムーブメントは自動巻きキャリバーUN-320が搭載され、特許取得のシリコン製ガンギ車とアンクルから成る脱進機、同じくシリコン製のヒゲゼンマイなど、ユリス・ナルダンの特徴的な機構を備えている。ムーブメントの日付調整機能は早送り・巻き戻しの両方が可能で、完全に巻き上げた状態で約48時間のパワーリザーブを保持する。ユリス・ナルダンのダイバー ディープ ダイブはアメリカ限定として、1万3500USドルで販売された。