クォーツ式腕時計の電池が切れてしまったとき、電池をどのように交換すればいいのかをご存じだろうか？ 方法によっては腕時計の持つ資産価値を大きく下げてしまうこともあるので、くれぐれもご注意していただきたい。電池交換の有効な方法について紹介しよう。
時計の電池交換の方法
時計愛好家たちは、お気に入りの腕時計を長きにわたって愛用し続けるものだ。その間、彼らが怠らないのが各種のメンテナンス。電池交換もそのひとつである。
電池交換の方法にはいくつかの種類がある。まずは、どのような方法があるのかを紹介しよう。
メーカーに依頼
電池交換といっても、実際には電池を交換するだけの作業ではない。時計の裏蓋と防水用パッキンを取り外し、必要であればパッキンを交換。正しい電池を選びセッティングし、そのうち電池電圧の確認や精度の測定といった行程が行われる。
これらをモデルに合わせた最適な方法で行うのがメーカーだ。技術力の高い時計技師も在籍し、自社の時計について確かな知識を持ち合わせている。時計の電池交換は、時計のメーカーに依頼するのが安心かつ確実だろう。
時計修理専門業者に依頼
メーカーの次に選択肢として考えたいのは、時計修理の専門業者だ。老舗の時計修理専門店では、メーカーと同等の技術を有す時計技師が在籍していることもある。
メーカーに依頼するより廉価でサービスが受けられることも多い。メーカーとは違い、基本的には即日で作業完了することも魅力的なポイントだ。
ただし、専門店といってもすべてのメーカーやモデルに対応しているわけではない。例えば特殊な構造の裏蓋を用いたモデル、正規の部品が入手できない場合は、引き受けられないこともある。
時計用の電池は50種類以上あるといわれ、パッキンは特定モデル専用のものも少なくない。裏蓋の開閉を傷付けずに行えるかどうかという点も、専門店により基準が異なる。
ホームセンターや量販店などで依頼
ホームセンターや量販店には、時計の電池交換ができるコーナーを設けていることがある。
このタイプの店舗では、最低限の道具と技術を持ったスタッフが、マニュアルに従って電池交換をすることが一般的だ。買い物等の他の用事を済ませている数十分の間に作業が完了するスピーディーさが特徴だ。
ただ担当者の技術レベルや使用する部品が正規品でない場合もある。また、高級時計については対応不可である店舗も多いので、利用するのであればあらかじめ確認が必要だ。
自分で交換
より安価な方法を求めて、自分で電池交換を試みることもあるかもしれない。これは、素人にはまったくおすすめできない方法だ。
トライするにしても、第一関門となるのが裏蓋だ。時に高級腕時計の場合、専門工具でなければ開けられないことも多い。またネジ留めにしても細かい作業となり、結果的に腕時計をキズだらけにしてしまうことも。
また防水性能を備えた腕時計の場合、パッキンの交換もしたいところだ、個人では正規部品はまず入手できない。
電池の扱いを間違えれば最悪の場合、ショートを起こしてムーブメントが破損する危険すらある。素人が安全に電池交換をできる方法はない。メーカーや時計修理専門店に依頼する方が安全で確実だ。
電池交換にかかる値段の目安
電池交換の依頼先を考えるにあたっては、サービスの内容や値段も判断材料のひとつだ。メーカー、専門業者、量販店の「値段」にフォーカスして比較検討してみよう。
メーカーの目安
メーカーに電池交換を依頼する場合、電池交換のほか、さまざまな調整や検査も行うケースが一般的だ。
電池交換にとどまらず、パッキンの交換やムーブメントの確認、防水機能検査や電気特性検査など精度や動作の確認、また外装のクリーニングといった総合的なチェックが実施される。腕時計の信頼性のためには最適だが、かかる費用は高額となる。
メーカーやモデルによって料金は異なるため一概にはいえないが、送料と点検込みで数千円、オーバーホールなども行うと1万円以上かかるケースもあることは覚えておきたい。
多くの場合、見積もりを経ての作業になるので、相談したい。
専門業者の目安
時計修理専門店では、パッキン交換や防水テストなどを行わない電池交換だけを依頼することができる。
この場合、モデルによって差はあるものの、国産であれば1000〜2000円程度で電池交換可能だ。
プラチナ製のケースやガラス製の裏蓋を使用しているモデル、スイス高級ブランドの腕時計などは5000円程度になる場合もある。
パッキン交換や防水テストを込みで依頼する場合は、オプション価格で1000円から2000円が追加される。
量販店などの目安
ホームセンターや量販店では、電池代と手間賃だけのシンプルな計算だ。価格は1000〜2000円程度が一般的だが、店舗によっては1000円を下回ることもある。
価格だけで判断するならベストに見えるかもしれないが、純正電池の交換は期待できないし、電気特性の検査まで行えるかは疑問だ。むしろ調子が悪くなってしまうこともあるだろう。
どちらかといえば、時計修理専門店に依頼したほうが安心といえる。重ねていうが、高級時計の預け先としては考えないでおこう。
