電池交換をしても動かない時の原因と対処
電池交換をしても腕時計の運針が不安定な場合や、まったく動かないといった場合もありえる。
この場合、単純にムーブメントが破損していることもあるが、まだオーバーホールに出せば直る段階かもしれない。原因と対処について紹介しよう。
油切れや液漏れ
ゼンマイや歯車が動力を伝え合うムーブメントには、各部品に最適な量の油が差されている。
油は経年で乾くこともあれば変質を起こすこともあり、この状態を「油切れ」という。油切れのまま動作し続けると精度不良や動作不良の原因となり、電池とは関わりなく運針が止まってしまうことがある。
あるいは、電池の「液漏れ」が原因かもしれない。電池が過放電を起こすと、爆発を防ぐためにガスを放出する。
ここで電解液も流れ出ることがあり、この液漏れがムーブメント内部に侵入して深刻なダメージを与える場合がある。
磁気帯による故障
クォーツ式時計は、永久磁石を用いたモーターを利用してムーブメントを稼働させている。
磁気をもつ電子機器やマグネットを腕時計に近付けると、永久磁石の運動を阻害し、ひどい場合には運針をストップさせてしまう。
また、強い磁気はムーブメントの各部品を磁化させ、常に磁気の影響を受ける状態を作る。これが「磁気帯び」した状態だ。
磁気帯びは、腕時計の精度を狂わせるだけでなく、ムーブメントの運動に反する力を加え続けるため深刻な故障の原因になる。
オーバーホールに出す
油切れ、液漏れ、磁気帯といった状態を修復するにはオーバーホールに出す必要がある。
これは、ムーブメントを分解して注油・清掃・調整を行うメンテナンスを指す。油ぎれには注油すればよく、液漏れは清掃、磁気帯は磁気抜きと呼ばれる調整で修繕できる。
これらは特殊な工具と精密な動作を要するため、メーカーや時計修理専門店に依頼することが必要だ。
オーバーホールは3年に一度は行うことが推奨されている。オーバーホールで対応できるのは、ムーブメントが破損する前だ。
もし上記の不具合を放置していると、ムーブメントの修理か丸ごと交換という方法しか取れなくなる。
電池交換を依頼可能な専門業者を紹介
ここまで見てきたように、電池交換は時計修理専門店かメーカーの2択、と考えるのが基本だ。
専門業者では、廃番のためにメーカーすら部品を持っていない場合でも、修繕可能ということもある。
メーカーか専門業者かという比較検討対象として、候補に挙げたい専門業者を紹介しよう。
五十君商店
「五十君商店」(いぎみしょうてん)は、創業85年の歴史をもつ時計修理工房だ。
スウォッチグループ、リシュモン、LVMHという時計業界の3大コングロマリットと取り引きしており、世界各国の代理店から部品を直接調達している。
高い技術力のスタッフと最新設備を備えており、素早く確実な電池交換が可能だ。修理実績は月間8000〜1万本にもおよぶ。
公式ホームページ:https://www.igimi.co.jp/
ゼンマイワークス
「ゼンマイワークス」は、2014年創業の若い時計修理専門店だが、前身の会社では十分な実績がある。
そのスタッフたちは、輸入代理店のサービスセンター業務においてノウハウを蓄積した、熟練の時計技師だ。
海外製の腕時計にも強く、電池交換をはじめ、クロノグラフ搭載モデルなどコンプリケーテッド・ウォッチのオーバーホールにも対応している。
公式ホームページ:https://www.zenmaiworks.jp/ Tel.03-6262-3889
時計の電池交換は専門業者かメーカーに
時計の電池交換と聞くと、新旧の電池を交換するだけというシンプルな作業に思えるかもしれない。
しかし、確かな技術がなければ裏蓋の開閉を行うこともままならず、症状の診断ができなければ修復困難な損傷を蓄積する危険もあるのだ。
腕時計の性能と資産価値を維持して電池交換を行うには、熟練の時計技師の技術と純正部品の供給が必要となる。
大切な腕時計と長く付き合っていくために、時計修理専門店かメーカーでの電池交換を心がけよう。
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