高級時計としての地位を確固たるものとしているブランド「ウブロ」は、その独創的なデザインで唯一のポジションを獲得している。中でも独創性を牽引するコレクションが「ビッグ・バン」だろう。その特徴や魅力について掘り下げていく。
ウブロについて知ろう
オリジナリティー溢れるデザインに、特性をまったく異にした素材をマッチングさせる。そのことで常に最新鋭のセンスを備えることに成功しているブランドが「ウブロ」だ。
近年、世界のスポーツ界をはじめ、経済界や政界など、各界で活躍する著名人の多くが身に着けていることで注目を集めている。それゆえ「サクセスの象徴」とも称されている。
ウブロの概要
ウブロのデビューは、他に類を見ないデザインで画期的だった。それまでの高級時計の常識を打ち破る先進性と、高級品が持つオーセンティックなテイストの融和を実現し見る者を大いに驚かせた。
一般的な高級腕時計のデザインをイメージしてみて欲しい。恐らく、金属製のケースに対して、革ベルトか金属製ブレスレットという組み合わせを思い浮かべるのではないだろうか。少なくともウブロがデビューした1980年は、そのスタイルが一般的だった。
そして、このスタイルを打ち破るべくウブロが提唱した「金属製、特にゴールドとラバーバンド」のマッチングは、世界に衝撃を与えたのである。
この組み合わせは、高級という概念に対する挑戦である一方で、確信に満ちた戦略だった。当初の評価は“異端”であったが、革新的なデザインによりイタリアで人気に火がつき、その名は世界に知られていく。
ウブロの沿革
1980年、スイスのニヨンにおいて、イタリア人の時計職人カルロ・クロッコが創業したブランド、それがウブロ(HUBLOT)だ。フランス語で船の採光・通風用の小窓を指す「舷窓」(げんそう)を意味する。
同年、スイスのバーゼルで開催される、世界最大の腕時計見本市でデビューを果たす。斬新さをまとったブランドとして、スイスの時計ファンに大きな衝撃を与えることとなった。
しかしブランドの経営は、苦しい時代にも直面した。その先進性は時に異端視され、トラディショナルな時計愛好家からは敬遠される一面もあったからだ。
そこで2004年、今や時計業界の重鎮となったジャン-クロード・ビバー氏をCEOに迎え、これを機にウブロは躍進。ビバー氏が唱えたコンセプト「アート・オブ・フュージョン」(異なる素材やアイデアの融合)により誕生した時計は、瞬く間に世界の時計ファンを魅了することとなった。
ウブロの特徴と魅力
各国の成功者を虜にしてやまないウブロの価値は、主軸に据えたブランドコンセプト「アート・オブ・フュージョン」の精神によって生み出されている。新しい価値の創造に挑戦し続ける姿勢が、現在のポジションを築いてきたのである。
ウブロが世界のセレブリティーに愛用される理由はそれだけではない。デザインの先進性にのみ頼ることなく、細心の配慮をもって時計そのもののクオリティを維持しているからだ。
そのウブロの特徴と魅力をここで再確認してみたい。
高い評価を得るムーブメント「ウニコ」
その斬新なビジュアルにばかり目が奪われがちなウブロだが、時計としての品質へのこだわりもトップクラスだ。近年では、自社ムーブメントの開発にも果敢に取り組んでいる。
その中でも専門家や好事家から高い評価を得たムーブメントが「ウニコ」だ。実に330のパーツからなり、伝統的な技術に加えて、最新のテクノロジーを駆使して製造されている。
ウニコのみならず、すべてのシリーズに最適なムーブメントを搭載すべく、デザインの構想時から製造まですべてを一貫して自社でまかなう。マニュファクチュールであることで、ウブロはトータライズされた高い価値を創出しているのである。
多くの著名人が愛用
「成功者のための時計」とも称されるウブロは、ヨーロッパ各国の王室関係者からの信頼も厚い。その事実からも本物を知る人々が手にする、最高の逸品といえるだろう。
ビバー氏は、マーケティング戦略においても優れた才能を発揮した。セレブ層からの評価をファン以外の層にも広く認知させるため、幅広いジャンルの公式タイムキーパーに積極的に名乗りを上げていった。
2010年のフェラーリを皮切りに、2014年にFIFAワールドカップ、2015年にはWBSCプレミア12のオフィシャルスポンサーとなり、スポーツの世界でその知名度を高めていった。
その結果、一流アスリートにもウブロの名は浸透した。果たしてウブロは、世界のスポーツ界から政財界、社交界、エンターテイメントの世界まで、あらゆる一流人が手にするブランドへと飛躍したのである。
ウブロの腕時計の主なコレクション
世界のトップを魅了し続ける高級腕時計ブランド「ウブロ」には、現在4つのコレクションがある。そして各コレクションには実に、さまざまなモデルが用意されているのである。
各モデルはウブロの精神を体現した素晴らしい完成度を誇り、そのクオリティはファンのみならず専門家をも唸らせる。そのコレクションについて、主なものを見ていこう。
ビッグ・バン
「ビッグ・バン スチールセラミック」自動巻き(Cal.HUB4100)。パワーリザーブ約42時間。ステンレス(ケース径44mm)。ラバーストラップ。10気圧防水。144万円(税別)。
ウブロの成功に最も貢献したモデルといえば「ビッグ・バン」だろう。ウブロの代名詞ともいえる代表的なコレクションだ。
2005年、新たなコレクションとしてお目見えした「ビッグ・バン」は、デビューと同時に大ヒットモデルとなった。光を放つヘッドフレームの艶やかさと洗練されたカーボンプリントの文字盤の組み合わせが特徴だ。
セラミックベゼル、グラスファイバー、ステンレススチール、そしてラバーと、ブランドコンセプトであるアート・オブ・フュージョンを実現し、一大センセーションを巻き起こした。
ファーストモデルはいまなおライナップに並び、ロングセラーモデルとして君臨している。
クラシック・フュージョン
ウブロでは、常にデザインの可能性を追求し、革新的な挑戦を続けている。一方で、本来の時計が備えるべき価値についても忘れることはない。
その姿勢が最も反映されているコレクションが「クラシック・フュージョン」だろう。ウブロのファーストコレクションである「クラシック」を再解釈したコレクションで、過去と未来を見事に一本の線でつないでいる。
ウブロらしさを素直に表現し、自信に満ちた雰囲気が漂っている。
ウブロの特徴のひとつとして厚みのある、デザインが挙げられ、その点も魅力となっているが、「クラシック・フュージョン」では、その厚みをグッと抑えている。これによりスマートかつエレガントなテイストを醸し出し幅広い層から人気を獲得する理由となっている。
スピリット オブ ビッグ・バン
円形のケースを使用してきたウブロのフラッグシップモデル「ビッグ・バン」に、初めて樽型ケースを採用したモデルとして話題となったのが「スピリット オブ ビッグ・バン」だ。
ケースの形状変更以外にも、3針モデルほか約10日間パワーリザーブ、クロノグラフ、トゥールビヨン、ムーンフェイズなどの多彩な機構を搭載したモデルがラインナップする。ムーブメントでは自社開発ムーブメント「ウニコ」「トゥールビヨン」や、エル・プリメロの後継とされる「HUB4700」などが搭載され、その多くをスケルトンダイアルから見ることができる。ファンとしてはうれしい限りだ。
ウブロの真骨頂であるストラップにはラバーほか、表面にレザー、裏面にラバーを使用したタイプもなどの種類が豊富なのも特徴だ。
MPコレクション
革新性はウブロの時計作りに横たわる重要なスピリットである。中でもひときわ革新的なデザインでモデル展開しているシリーズが「MP(マスターピース)」コレクションだ。
「傑作」の意を持つマスターピースをコレクション名としているとあって、同シリーズのラインナップにはトゥールビヨンを取り揃える。ケース素材やデザインは強烈な個性を発揮し、機構とデザイン両面でのウブロの自信が色濃く感じられる。
ファーストモデルの発表は2011年とまだ歴史は浅い。が、時計愛好家に強く印象を残すモデルが発表されてきた。
ここで培ったノウハウが他のコレクションで生かされ、これからのウブロを牽引することは間違いない。ウブロの歴史に残るコレクションとなるだろう。
ビッグ・バンの特徴
1980年に産声を上げたウブロにとって、最大の転機となった年が2004年であることは疑いようがない。その理由は、時計界きっての異端児ジャン-クロード・ビバー氏がCEOに就任にしたからである。
宇宙の誕生を引き起こしたビッグ・バン。その現象の名を冠したウブロを代表するコレクション「ビッグ・バン」の誕生も、ビバー氏の存在なくしてはあり得なかったであろう。
時計界の革命児がかなえた大躍進
ジャン-クロード・ビバー氏の貢献は、ウブロというブランドの成長においてのみならず、時計界を新たなフェーズへ導いたとすら評されるほどだ。
その手腕は「スイス時計界のカリスマ」とも呼ばれる。まさに、時計界の革命児なのである。
高級時計ブランド「オーデマ ピゲ」で実力を蓄えたビバー氏は、1970年代後半に「オメガ」のプロダクトマネージャーに就任する。1982年には長らく休眠状態だった「ブランパン」の名義を買い取り、見事に再興させている。
再度オメガに戻ったビバー氏は、新製品の開発を手掛けるとともに、マーケティングにも参画。F1ドライバーのミハエル・シューマッハなどを広告塔に起用し、オメガ復活の立役者となったのだ。
コンセプトを体現するモデル
ビバー氏がCEOに着任した2004年までは、独創的なデザインに定評はあったが、高級品としての評価は思うように高まらなかった。
小規模ブランドに甘んじていたウブロを飛躍させたのは、ビバー氏が打ち出した「アート・オブ・フュージョン」というコンセプトである。ビバー氏は、ウブロが持っていたさまざまな価値や魅力を次々と融合させ、新たな価値を創出していくことになる。
CEO就任後、わずか1年で完成させたコレクション「ビッグ・バン」は、そんなビバー氏の理念を最も具現化したモデルといえるだろう。融合のコンセプトが見事に体現されている。
ステンレススティールやゴールド、セラミックスやチタンという、時計の素材としてはベクトルがいわば正反対に向く素材を組み合わせたケースの「ビッグ・バン」は、瞬時に世界のセレブを虜にしていった。
ビッグ・バンの価格帯
「ビッグ・バン」の価格帯は、130万円くらいから、ラグジュアリーなモデルだと800万円超と幅広い。
ウブロのコレクションの中でも、新たに開発された素材が続々と投入され、毎年新作が発表される「ビッグ・バン」。「スピリット オブ ビッグ・バン」とともに新作にも注目いただきたい。
ビッグ・バンの魅力
成功の象徴としてのポジションを確立したウブロにあって、ブランドを代表するコレクションが「ビッグ・バン」だ。その魅力の根源に迫ってみたい。
優れたデザイン性
その最大の魅力は優れたデザイン性にあるだろう。革新的かつ創造的なデザインは、腕時計界に衝撃をもたらしたほどだ。
フランス語で「舷窓」を意味するウブロは、その名の通り、船の側面の小窓が発想の原点にある。「ビッグ・バン」においても、その息吹が十分に感じられる。
3時と9時位置にあるベゼルラグ、H型のビスで丸型ベゼルを留めるスタイルは、1980年に発表された「クラシック」から続くデザインの根幹だ。独創的でありつつ奇をてらった感じを与えない。時計全体に溶け込み、気品の高さすら滲み出しているそのセンスには脱帽だ。
バリエーションが多い
コレクションの中のバリエーションが多彩であることも「ビッグ・バン」の魅力だ。ケース素材にはチタン、キングゴールド、マジックゴールド、サファイアクリスタル、セラミックス、カーボンと、ウブロがこれまで開発し発展させてきた素材がズラリ。ウブロのデザインコンセプトは守りながらも、さまざまなフュージョンが楽しめる。
あるモデルはウブロ特有のラバーストラップを採用し、またあるモデルは金属ブレスレットでオーソドックスなスタイルをまとう。あらゆるニーズにマッチした数多いバリエーションから、必ずお気に入りのモデルが見つかるだろう。