ウブロの腕時計にはどんな特徴がある?魅力や人気モデルを紹介

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2020.07.28

ウブロの時計は、スポーツ選手やミュージシャンが身につけるものというイメージが強いかもしれない。確かに「ビッグ・バン」のスタイルは印象的だが、デザインだけではなく技術的な側面にも目を向けてみたい。ウブロのコレクションの魅力や人気モデルを紹介する。


ウブロの基礎知識

ウブロという時計メゾンはいつどのようにして現れたのだろうか。彗星のごとく現れたような印象だが、創業は1980年。その後、世界的な人気を博したウブロの歴史を見ていこう。

ウブロとは

ウブロ本社

2009年、ウブロはジュネーブのニヨンに本社マニュファクチュールを完成させた。以来、ムーブメントの開発、金属やセラミックなどの素材開発の拠点として、新たな価値を創出し続けている。2015年には第二社屋も完成し、マニュファクチュールとしての足場を固めている。

スイス・ニヨンに本社を置くウブロは、1980年にイタリア人のカルロ・クロッコにより創業された。彼はイタリア屈指の時計宝飾グループ「ビンダ」の創業家一族である。

創業40年を超えた同社だが、それでもスイス時計産業の歴史からすれば比較的若い時計メゾンである。にもかかわらず、すでに高級時計メゾンの一角として確かな地位を築いている。

ウブロが創業した当時は、クォーツショックの影響でスイス時計産業が回復しきっていない時期。そんななかウブロはデビューし、成功を収めた。その背景には、ウブロの時計作りに関する入念な準備と投資があったのだ。

ウブロの歴史

ウブロは創業の1980年にバーゼルフェア(現バーゼルワールド)でデビューを果たした。ここで発表したのが、現行コレクションの原点となるデザインを備えた「クラシック」である。

「クラシック」は、ゴールドケースにラバーストラップを合わせたクォーツ式時計であった。ムーブメントはETA製を求めたが、ケースやストラップといった部品はすべて自社製である。

この時計は成功を収めたものの、機械式時計をラインナップせず「クラシック」に強くこだわったことで業績は伸び悩んだ。

そこで2004年にジャン-クロード・ビバーをCEOに迎え、翌年にはアート・オブ・フュージョン(異なる素材やアイデアの融合)をブランドコンセプトに据えて、新コレクション「ビッグ・バン」を発表する。

ジャン-クロード・ビバー

ウブロの快進撃の立役者、ジャン-クロード・ビバー氏。2004年にウブロのCEOに就任すると、ブランドコンセプトをフュージョンに定め、さまざまな融合により時計に新しい価値を創出し、ウブロのみならず、時計界に変革をもたらした。現在は第一線を退き、チェアマンとしてウブロの時計づくりに関わっている。

唯一無二の存在「ビッグ・バン」

2005年登場の「ビッグ・バン」ファーストモデル。ベゼルにセラミック、ラグとケースサイドにスチールを採用し“フュージョン(融合)”を具現。いまなおラインナップに並ぶロングセラーモデル。自動巻き(Cal.HUB4100)。パワーリザーブ約42時間。SS×ブラック セラミック(直径44mm)。10気圧防水。144万円(税別)。

「ビッグ・バン」は、「クラシック」を踏襲しながらも現代的で個性的なデザインを持つ。創業当初、ウブロはヨーロッパの王族を顧客としていたが「ビッグ・バン」によりスポーツ選手やミュージシャンからも好評を得た。

それまでも高級時計としての評価は得ていたが、メディアでの露出が増えることで一気に知名度が上昇する。

現在は「ウブロといえばビッグ・バン」といわれるほどに、時計愛好家のみならず広く大衆に認知されているコレクションに成長している。


ウブロの特徴

ウブロは創業時からケースなどへのこだわりが強く、マニュファクチュールとしての道を目指していたのではないかと想像させる。部品のひとつひとつにかける情熱や精緻な設計と製造は、まさに一流時計メゾンのそれと遜色がない。

またそのとおりに2010年に自社開発・製造ムーブメント「ウニコ」を発表する。ついにマニュファクチュールとしての歩みをスタートするのである。

ここでは、ウブロの時計の特徴として、ビス打ちのベゼルと自社製ムーブメントについて紹介する。

船窓をイメージしたベゼル

右は2008年に登場した「クラシック・フュージョン」のファーストモデル。ケースを45mmにし、ビスの数を6本に減らし、またビスに「HUBLOT」の頭文字“H”を採用するなど、アップデートが加えられた。左は1980年に登場した「クラシック」のファーストモデル。ベゼルのビス留めや左右に張り出したケースサイド、ケースからつながるビス留め付きの長方形のラグなど、いまに続くウブロのデザインの基本がすでに取り入れられている。

ウブロの時計を特徴づけるもののひとつは、ビス打ちされたベゼルだ。ウブロ(HUBLOT)はフランス語で「舷窓」を意味する。

舷窓をイメージしたベゼルは、どのような装飾が施されていても、ウブロの時計であることが一目で判別できるほどにアイコニックだ。

このベゼルは1980年にリリースされた初代クラシックから続くウブロの伝統である。なお、現在採用されているビス頭はウブロの頭文字をとってH型となっている。

ビッグ・バンの登場前は12ヵ所にビスを使っていたが、現行コレクションでは6つにリデザインされている。ベゼルの左右に伸びる「耳」や、ケース上下のビス打ちされたラグも、ウブロの時計の伝統的な意匠である。

自社開発ムーブメント

右がウニコ2(Cal.HUB1280)、左がウニコ(Cal.HUB1242)。このふたつは、ともにダブルクラッチとダイアル側にコラムホイールを装備する自動巻きフライバック・クロノグラフだ。変更点はCal.HUB1242で採用された脱進機モジュールの代わりにフラットな自動巻きシステムを採用したこと。これによりムーブメント厚が8.05mmから6.75mmに1.3mm薄くなった。このほか総部品数が330個から354個に、石数は38個から43個となっている。

ウブロが創業当時からこだわり続けてきた精密な設計と鋳造の技術は、現行コレクションにも活かされている。

ムーブメント製造へも力を入れ、2年以上の研究・開発期間を経て、2010年、自社製ムーブメント「ウニコ」を完成させる。ウニコはフライバック機構を搭載したクロノグラフムーブメントで、パワーリザーブは約72時間にも及ぶ。

2018年、小型モデル用に新たに設計・製造されたムーブメントが「ウニコ2」だ。

ほかにも10時間のパワーリザーブ機能を備える「メカ-10」、約5日間のパワーリザーブを誇る「トゥールビヨン」、約14日間という驚異のパワーリザーブを擁する「MP-11」など、独創性はムーブメントも例外ではない。


ウブロ腕時計の魅力

ウブロの時計は創業時に発表されたクラシックを基礎に、独創的な発想で昇華させた豊かなデザインも特徴のひとつだ。

「ビッグ・バン」で世界的な知名度を得てからは、デザインの多彩さにも注目が集まる。ウブロの魅力をさらに詳しく見ていこう。

独創的なデザイン

ダイアルとストラップにジーンズ素材を採用した革新的なモデル。「クラシック・フュージョン クロノグラフ ジーンズ」。自動巻き(Cal.HUB1143)。パワーリザーブ約42時間。Ti(直径45mm)。5気圧防水。138万円(税別)。

ウブロの時計は、ベゼルやラグの基本デザインを守りながらも、レパートリーは非常に多彩だ。

チタンやゴールド、あるいはセラミックを組み合わせたケースを鍛造し、ストラップとダイアルに同じ素材を使ってデザインを統一させることもある。

時計の既成概念にとらわれないケース形状はウブロの独壇場だ。またサファイアクリスタルのケース製造においてもパイオニアとしての地位を確立している。

複雑機構を搭載したモデルでは、トランスペアレント(透ける)ダイアルからムーブメントが鑑賞でき、マニア心をくすぐる。

時計の伝統にとらわれない独自のデザインセンスは、ウブロ最大の魅力といえるだろう。

著名人も多く愛用

ビッグ・バン ウニコ ウサイン・ボルト

「稲妻」の異名を持つ人類最速のスプリンター、ウサイン・ボルトをイメージした「ビッグ・バン ウニコ ウサイン・ボルト イエローゴールド」。6時位置の積算計には母国ジャマイカの国旗をイメージしたグリーンを採用する。

ウブロは、スポーツ業界にフォーカスした戦略的なマーケティングを行っている。2008年のUEFA欧州選手権をはじめ、F1やFIFAワールドカップなどの公式タイムキーパーを務めた。

アイルトン・セナ、ウサイン・ボルト、ディエゴ・マラドーナなどとのコラボレーションモデルもリリースしている。

こうして世界的な認知度を高めたウブロの時計は、ネイマール、メイウェザーなど、数多くのセレブリティが愛用することで幅広い層への魅力の浸透に成功した。

2010年の第19回南アフリカ大会からオフィシャルタイムキーパーを務めるウブロ。またそれに先立つ2008年からはIEFA(欧州サッカーリーグ)のオフィシャルタイムキーパーも担当する。