クロノグラフの種類別の使い方
ひとことでクロノグラフといっても、計測できるデータは違う。積算機能とダイアルやベゼルに表記される目盛りとの組み合わせにより、目的に応じた計測・計算が可能になる。代表的なメーターを見ていこう。
距離を測るテレメーター
戦時中に活躍した機能が「テレメーター(Telemeter)」だ。敵地との距離を測るために使用された。
大砲発砲の光で計測を開始し、発砲の音が聞こえたら止める。光の速さと音の伝わる速さとの時間差を利用して、敵陣や戦車、軍艦までの距離などを測ることができる。
速度を測るタキメーター
「タキメーター(Tachymeter)」を装備したモデルでは文字盤の外周、もしくはベゼルに数字と目盛りが刻まれている。その目盛りとクロノグラフ針を使って、平均速度を割り出すことができる。
例えば、自動車の平均速度を知りたい場合、走りはじめにストップウォッチを始動させ、1km走行した地点で停止させる。
その時点で、ストップウォッチ針が示すタキメーター上の目盛りが、平均時速となる。500m走行した地点で停止させれば目盛りの数値の2分の1が、250m走行した地点で停止させれば目盛りの数値の4分の1が、平均速度となる。
自動車、バイク、また自動車などの軽車両でも簡単に速度を測定できる。
脈拍を測るパルスメーター
脈拍数を測定する目盛り「パルスメーター(Pulsemeter)」を備えたモデルもある。これにより十数秒で脈拍をカウントすることが可能だ。モデルには「15脈拍用」「30脈拍用」がある。15もしくは30を基準数として、この数を打った時点の時間で、心拍数を割り出す。
使用方法は通常の操作と同じで、開始・停止のみ。始動と同時に、脈を測り始めよう。
記された基準数を打ったところで停止させる。このときに、クロノグラフ針が指している数字が、1分間の脈拍数となる仕組みだ。
正しく使うために覚えておきたいポイント
スポーティなデザインのクロノグラフは、タフな印象を与える。頑丈なイメージを持たれるかもしれないが、計測機器であるがゆえ精密な機械であり、非常に繊細だ。正しい使用方法をぜひ知っておこう。
針ズレの調整方法
クロノグラフ秒針は、電池交換時やリュウズ操作時などにズレが生じることがある。その場合、スタートボタンを数秒長押しし、停止させた上でリセットボタンを押してみよう。
この方法でも問題が解消しないなら、ストップウォッチ針の帰零位置そのものがズレている可能性がある。0位置への修正方法はモデルによって異なるため、取扱説明書に記載された方法で正しく行って欲しい。またはメーカーに修理を依頼しよう。
使用時の注意点
大切な時計を長く使い続けるには、いくつかのポイントを押さえておきたい。まず、クロノグラフは、必要なときに最低頻度で使用するように心掛けよう。
クロノグラフはゼンマイによる動力を活用するため、関連部品の劣化を早めることにつながってしまう。電池の消耗にも大きく影響するだろう。
操作時は、正しい順序でボタンを押すことも大切だ。誤った操作により部品の破損をきたすことがある。
強い衝撃や磁力は、故障を誘発する最大の要因ともいえる。長く愛用するためにも、3年を目安に専門店での定期的な点検やメンテナンスをこまめに行っておこう。
クロノグラフを正しく使おう
ビジネスの現場においても、社交の場においても、そしてアクティブなレジャーシーンにおいても、クロノグラフはあらゆる場にマッチするオールマイティーな腕時計だ。
高い性能と優れたビジュアルで時計愛好家の心を掴むクロノグラフを正しく使って、スマートに身に着けて欲しい。
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