宇宙は魅力的だ。その広大な世界を探求したいという気持ちは、ムーンフェイズやメテオライトの文字盤、星空の表現となって表れる。アストロノミカル・ウォッチの時計の数々をお届けする。
Text by Alexander Krupp
2019年12月掲載記事
パテック フィリップ
「5726/1A ノーチラス 年次カレンダー」
パテック フィリップが2019年に発表したムーンフェイズ付き年次カレンダー搭載のノーチラスは、水平方向にエンボス加工された象徴的なモチーフのブルーダイアルが採用され、中央の明るいブルー、ブラック・グラデーションが縁にかけて黒みを深めるさりげないグラデーション効果をもたらしている。年次カレンダー機構は、1996年にパテック フィリップが発明し、特許を取得したものだ。曜日と月が12時位置にあるふたつの窓で表示される。6時位置には、調整が122年に一度のみしか必要ない高精度ムーンフェイズが配され、その外周を24時間インジケーターが囲む。バトン状の針は18Kホワイトゴールド製で、蓄光塗料処理がなされている。
ロレックス
「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」
文字盤にメテオライトを採用したモデル。ホワイトゴールド製ケースに3連のオイスターブレスレットが合わせられ、2019年に発表された。個性的なパターンの文字盤は、時分秒針や第2時間帯を表示するレッドの針とも好相性で優れた視認性をもたらす。ブルーとレッドのベゼルは両方向回転式で、第3時間帯を表示することができる。
エルメス
「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」
エルメスの「アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ」は、ふたつのマザー・オブ・パールとアヴェンチュリンの文字盤を組み合わせている。マザー・オブ・パールのうち、ひとつが時間表示のサブダイアル、もうひとつがデイト表示のサブダイアルであり、どちらも常にアヴェンチュリンダイアルの中心を軸として回転する。ふたつの月はサブダイアルの動きで少しずつ覆われていき、見える部分が北半球と南半球の月の満ち欠けを表しているのである。なお文字盤の12時位置に示されるのが、南半球の月齢を表すムーンフェイズだ。
ボヴェ
「リサイタル 26 ブレインストーム チャプター ワン」
ボヴェは新しい時計作りの高みをリサイタル 26 ブレインストーム チャプター ワンで目指そうとしている。6時位置に向かって低くなる傾斜のついたサファイアクリスタルケースと、一連の複雑機構を組み合わせたタイムピースだ。ボヴェの特許取得済みのダブルフェイスフライングトゥールビヨンは、6時位置の大きな開口部を占め、秒表示の役割を果たしている。時分表示は、12時寄りのオフセンター文字盤にゴールドの針で表示されている。その上部には、文字盤の湾曲に沿って立体で半球型のムーンフェイズ表示が設けられた。月を表すドームの表面にはエングレービングが施され、彫り込んだ面にはスーパールミノバ®を塗布。ふたつの丸い開口部とアベンチュリンガラスプレートによって、リアルな星空のムーンフェイズ表示となっている。8時位置のリング内には、ビッグデイト表示が設けられた。10日間を誇るパワーリザーブ表示は、4時位置に配されている。
ジャガー・ルクルト
「ランデヴー・セレスティアル」“ノーザンライツ”エディション
「ランデヴー・セレスティアル」“ノーザンライツ”エディションでは、マザー・オブ・パールと多色使いのサファイアクリスタルが配され、そこにジャガー・ルクルトの高技術によるジェムセッティングとハンドペインティングが施されている。ランデブー・コレクションの特徴である、文字盤にあしらわれたフローラル数字は曲線を伴って大きさを変えながらグラデーションを成し、手作業でペイントされた星図、星座のシンボル、そして各月の名前を包み込むようにローズゴールドで縁取りされている。ジャガー・ルクルトの拠点であるジュウ渓谷の上に広がる夜空を示すこの星図では、星座の移り変わりをリアルタイムで見ることができる。自動巻き機械式ムーブメント、ジャガー・ルクルトのキャリバー809/1が、反時計回りにディスクを星の運行に合わせて23時間56分4秒をかけて静かに回転させているのだ。