品格に磨きをかけたブルゾンの王様
トラッドファッションを愛する男なら、一着は持っておきたい英国クラシックの代表格、バラクータのG9。人気再燃中のここ数年、素材バリエーションが増加中だが、今シーズンはウールのモデルが狙いめだ。
吉江正倫:写真 Photograph by Masanori Yoshie
表地にしなやかなメランジウールが、裏地にしなやかなフリースがボンディングされたオリジナル素材のテックウールが使用されたG9。フランネルを思わせる上品な起毛感やドレープに加え、独特のハリ感によってシルエットがすっきりして見える。また、裏地のフリースのおかげで保温性も向上。真冬のアウターとしても使用できる。シルエットは程よいゆとりが確保されたオーセンティックフィット。6万6000円。
フランス人は10着しか服を持たない』というベストセラー本があるが、もし、筆者が10着しか服を所有できないとなれば、迷わずバラクータのG9をワードローブに残す。理由は明快、これほど大人の男にとって役立つブルゾンはないから。1937年に英国陸軍の軍用ジャンパーをベースに開発されたショート丈のブルゾンは、あまたのブランドに模倣され、世界一有名なブルゾンとなった。
そしてG9を語るとき、欠かせないのがスティーブ・マックイーンの存在だ。今なおスタイルアイコンとして輝きを放つ名優は1960年代に公開された『華麗なる賭け』の作品中でも着用。プライベートな姿が収められた当時の写真集でも普段着として愛用していたことがわかる。ちなみにスティーブ・マックイーンを敬愛していた故 高倉 健氏も愛用者として知られ、多数のG9を所有し、映画でもたびたび着用していた。
愛される理由は所有するとはっきりわかる。ブルゾンの手本というべきベーシックなデザインは卓越した汎用性を持つ。インナーはスウェットでもニットでも、シャツでもいい。パンツもジーンズから、チノ、カーゴパンツ、スラックスまであらゆる定番パンツにマッチする。それでいてドッグイヤーと呼ばれる衿や背中のアンブレラカットといったディテールが、着こなしのアクセントになるのだ。ジャケットを着るにはいささか堅苦しい。かといって上着は羽織って出かけたい。そんなときにG9は打ってつけの一着となる。
そんなG9に、この冬、大人の食指をくすぐる新バージョンが仲間入りした。高密度コットンの素材がテックウールにチェンジされたモデルである。表地にウールがボンディングされたテックウールによって持ち前の上品なイメージが一段と強まり、さらに裏地のフリースによって保温性も高められているのだ。 冬の休日、クローゼットの前で着る服に悩んだら、このテックウールモデルを羽織れば間違いない。抜群の汎用性をそのままに、品格が高められたG9は大人の男にとって至高のアウターとなることだろう。
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