スケルトンダイアルを採用した4本の時計

FEATUREWatchTime
2021.01.09

今や、世界中の多くのコレクターの手にその姿を見かけるようになったスケルトンダイアルの腕時計。スケルトン加工は、文字盤とその他の主要でない部分から素材を削ぎ落として作られるもので、現代の時計製造におけるトレンドの1つでもある。毎年、多くのブランドがスケルトン加工を施したモデルを発表しているが、その表現方法は実に多彩だ。ここでは現在、美しい仕上げを堪能できる4本のタイムピースを紹介する。

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ベル&ロス

BR05 スケルトン

ベル&ロス「BR05 スケルトン」
自動巻き(BR-CAL.322)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。SS(直径40mm)。100m防水。SSブレスレット。75万円(税別)。問ベル&ロス ジャパン℡03-5977-7759

 2019年の初秋、ベル&ロスは「アーバンラグジュアリー」をコンセプトとした新たな旗艦コレクションを発表した。カラーやケース素材、文字盤の仕上げなど、いくつかのバリエーションが展開されているが、その中に、実験的なタイムピース以外では珍しく、スケルトン加工をムーブメントに施したモデルが登場した。世界限定500本となる「BR05 スケルトン」はセリタSW300をベースとするBR-CAL.322ムーブメントを搭載。歯車を想起させるオープンワークローターが、ムーブメントの横幅いっぱいに回転する様が壮観だ。ベル&ロスでは、「BR-X2 トゥールビヨン」など、一部のハイエンドモデルに限定されていたスケルトン加工だけに、珍しい試みと言えるだろう。


ユリス・ナルダン

エグゼクティブ フリーホイール

ユリス・ナルダン「エグゼクティブ フリーホイール」
手巻き(Cal.UN-176)。23石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約7日間。18KWG(直径44mm)。30m防水。アリゲーターストラップ。問ソーウインド ジャパン℡03-5211-1791

 直径44mmのケースを持つ「エグゼクティブ フリーホイール」の魅力を決定づけるのは、完全自社開発による革新的なムーブメントである。輪列やブリッジがあたかも文字盤上に浮かんでいるように見えるのみならず、7日間のパワーリザーブを実現し、これを4時位置のインジケーターに表示。また手巻きキャリバーUN-176には、コンスタント・エスケープメントが付いたアンカーフライング・トゥールビヨンが搭載されているのも特筆すべき点だろう。「エグゼクティブ フリーホイール」には、希少で最も密度が高い元素オスミウムをはじめ、アベンチュリン、ストロー・マルケトリ(藁象嵌)、CARBONIUMゴールドをそれぞれダイアルに採用した4種類の限定モデルが用意され、それぞれブラックまたはブルーのアリゲーターストラップが付属している。


モーリス・ラクロア

アイコン マーキュリー

モーリス・ラクロア「アイコン マーキュリー」
自動巻き(Cal.ML225)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ38時間。SS(直径44mm)。100m防水。カーフレザーストラップ。88万8000円(税別)。問DKSHジャパン℡03-5441-4515

 スポーティな「アイコン」ファミリーに加わった、この規格外なタイムピースの哲学は「時間の素早い流動性」(そのため、名前は「マーキュリー」という)で、これまでにない「フリーハンド」システムを採用している。というのも、普通に装着しているときは時針と分針が正しい時刻を示さずにぶら下がっている状態だが、着用者が時間を見るポジションに手首を傾けると、即座に針が正しい時間を示す位置に戻るのだ。この独特な表示方法には3年の開発期間を要したと言われ、オープンワーク・ダイアルの裏側には時針用と分針用に1つずつ、合計2つのスネイルカム・メカニズムを搭載し、重力を利用して針を動かす仕組みになっている。


クロノスイス

フライング・グランドレギュレーター スケルトン

クロノスイス「フライング・グランドレギュレーター スケルトン」
手巻き(Cal.C.677S)。17石。1万8000振動/時。パワーリザーブ46時間。SS(直径44mm)。3気圧防水。クロコダイルストラップ。問栄光時計℡03-3837-0783

 クロノスイスは、同社が展開するレギュレーターのデザインと同様、それに合わせるための大胆な配色にも全く躊躇がない。そのため、2019年も衝撃的なバリエーションを展開しており、その中にはアプリコットオレンジの針にベイビーブルーのアクセントを組み合わせた「フライング・グランドレギュレーター スケルトン」の限定モデルがラインナップされている。今回の新作は世界30本の限定で、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを施した直径44mmのステンレススティール製ケースを採用。クロノスイスのアイコンでもあるコインエッジとヴィンテージの雰囲気を感じさせるオニオン型リュウズによってケースに特徴を与え、シルバーカラーのオープンワーク・ダイアルからはメカニズムを眺めることも可能だ。搭載されるのは手巻きキャリバーC.677Sで、地板、ブリッジ、歯車が丁寧にスケルトン加工されている。文字盤は時刻を表示するすり鉢状のサブダイアルを含む数層構造になっており、ポワール・スチュアートの針がメインダイアルとサブダイアルでそれぞれ、時・分、秒を表示する。