日本が世界に誇る時計ブランドのひとつがシチズン時計だ。そして、同社が自信を持って世に送り出したモデルが「カンパノラ」である。独自の世界観をたたえ、斬新なデザインで見る者に衝撃を与えるカンパノラの魅力を探っていこう。
シチズン時計 カンパノラについて知ろう
日本の大手時計ブランドである「シチズン時計」は、多くの市民に親しまれることを目指して名付けられた。社名に込められた思いは現実となり、今や世界中の人々から高い評価を受けている。
そんなシチズン時計が2000年に発表した「カンパノラ」は、その強い独自性で世の時計愛好家を瞬く間に魅了することとなった。
「時を愉しむ、日常を愉しむ、個性を愉しむ」をコンセプトに据え、機能・デザインともに優れた完成度を持つカンパノラとは、どのような時計なのだろうか。
教会の鐘が由来
シチズン時計に対し、実用性を重視したモデルをラインナップしているイメージを抱く人も多いだろう。対して、カンパノラは遊び心を大いに取り入れた時計といえる。
時や日常、そして個性を楽しむことをコンセプトにデビューしたカンパノラの名は、南イタリアのカンパニア地方のエピソードに端を発するという。
その地方に古くから成立するノラという都市には、紀元前5世紀の時点で時を知らせるための鐘が教会にあったという。町中に時を告げていた鐘に敬意を表し、シチズン時計が自社のモデル名に採用したのである。
カンパノラのコンセプト
遊び心と匠の技術が詰め込まれたカンパノラは、高性能であることに加えて、極めて美しいビジュアルを備え、高い評価を集めている。
時計愛好家を魅了するカンパノラのコンセプトやディテールについて掘り下げてみよう。
宇宙をイメージしたデザイン
「宙空の美」、それこそがカンパノラのデザインコンセプトである。ラウンドフォルムのサファイアクリスタル風防に覆われた文字盤の上に無限の宇宙を閉じこめている。
文字盤は円形の五徳リングをはじめとする、いくつものパーツを組み合わせた、多層構造による立体的な表情が魅力だ。
美麗な文字盤の上を、優雅さをたたえつつ、正確に針が時を刻む。そこには、小宇宙を思わせる荘厳さが漂っている。
ムーブメント
カンパノラの「メカニカル コレクション」には、スイスのラ・ショー・ド・フォンにあるラ・ジュー・ペレ製ムーブメントを搭載する。
熟練の職人によって組み上げられたムーブメントには、美しく寄せる波のようなコート・ド・ジュネーブ装飾が施され、カンパノラのロゴが誇らしく鎮座する。
クォーツムーブメントは、シチズン時計による自社製のもので、筋目装飾が施される。カンパノラの心臓部は、宝飾品に迫る美しさをもって仕上げられている。
ケースやダイアル
初めて装着した時ですら、愛用し続けてきた時計であるかのようにフィットする、それがカンパノラのケースの魅力だ。そこにも、シチズン時計の最新技術が盛り込まれている。
ケースの角度や面の構成にきめ細やかな配慮を行き渡らせ、手首に沿うラウンド形状にしたのだ。優雅なカーブと宝石のような輝きを同居させる熟練の職人技が光る。
時計の顔である文字盤は、高い精度を必要とする電気鋳造により、1ミクロン(1000分の1mm)以下の凹凸まで繊細に表現している。
また、日本の伝統工芸である漆塗りを施した文字盤も特徴だ。何層にも漆を塗り、きめ細かく研ぐことで生まれる艶は、手首の上で独特の魅力を放つ。
カンパノラの魅力
独特の世界観で熱烈なファンを生んだカンパノラの魅力について、より詳しく解説していこう。
技術と品質
カンパノラの革新性は、クォーツの拡張性を高めたことにもある。クォーツは機械式に比べトルクが小さく、複雑な機構を搭載することが難しいといわれてきた。
しかし、カンパノラは、いくつもの機構を融合させることに成功したのである。ミニッツリピーターやパーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズなどのコンプリケーションとの融合は、シチズン時計の技術力があってこそ可能だったのだ。
デザイン性
ケースフォルム・文字盤デザイン・仕上げ・装飾技法など、瞬時に見る人の心を奪う美しさも、カンパノラの魅力だ。
中でも「コスモサイン」は、カンパノラのコンセプトを強く打ち出したコレクションだ。きらめく数多の星座が躍るような美しさである。文字盤がゆっくり回転し、天空の星の動きや月の満ち欠けをリアルタイムで再現している。あたかもケース内の空間に、無限の宇宙を閉じ込めたようだ。