一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのプライベートなワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は映画俳優ジョニー・デップが選ぶ腕時計を紹介しよう!
ジョニー・デップ
1980年代にデビューを果たしてから、数々の当たり役をものにし、ハリウッドを代表する俳優となったジョニー・デップ。彼の名を世界に知らしめた初期の代表作『シザー・ハンズ』(1990年)では、ハサミの手をもつ純真無垢な人造人間を見事に演じ、知的障がいのある弟を持つ少年役を務めたヒューマンドラマ『ギルバート・グレイプ』(1993年)ではレオナルド・ディカプリオとともに好演を見せた。ジャック・スパロウ役でその地位を一気に押し上げた『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ(2003年~)も彼を語る上で欠かせない。特異な役どころだけではない、幅広い演技力が魅力だ。
今回ピックアップした1枚は、補聴器メーカー「スターキー」が実施するチャリティーイベントでの彼の姿である。老紳士の耳に補聴器を添えるその手元を見てみよう、シルバーのブレスレットなど多くのアクセサリーと重ね着けされているのはカルティエ「ロンド ルイ カルティエ」だ。
ゴールドのラウンドケースにローマンインデックス、そしてミニッツトラック内のアラビックインデックスやブレゲ針を備えるロンド ルイ カルティエ。
ジョニー・デップはカルティエ愛好家として知られる。ロンド ルイ カルティエ以外に所有する時計は、ケース内にリュウズを収める「バロン ブルー」や、スクエアケースにふたつの時間表示を備える「タンク ア・ヴィス 2タイムゾーン」などだ。これら個性的で瀟洒な時計を、ロックテイストの装いに取り込んだ姿がしばしば目撃されている。
カルティエ 「ロンド ルイ カルティエ」
順風満帆にキャリアを築いたかに見えたジョニー・デップだが、2010年代からは主演作の興行成績が低迷し、苦境に立たされている。2016年から続く女優アンバー・ハードとのドロ沼の離婚劇など、ネガティブな報道による人気凋落も痛手となった。
しかし、近日公開を控えた彼の出演作に、日本の観客として非常に気になるものがある。公害病「水俣病」の実態を追ったアメリカ人フォトジャーナリスト、ユージン・スミスを演じる映画『Minamata』(原題)だ。共演には美波、真田広之、浅野忠信、加瀬亮、國村隼といった実力派俳優たちが名を連ねる。実在した勇敢な人物を演じることで、現在56歳のジョニー・デップの円熟した才能に新たな光が当てられるだろう。
破天荒なようで、彼の幅広い役どころは揺るがぬ実力があってこそ。今回取り上げた1枚のように、高級時計の風防やケースへの傷など気にせぬという大胆な着け方はいかにも彼らしい。しかしあえてこう着けることは、彼の自己演出のひとつでもあるのだろう。