エドワード・ホイヤーによって1860年に創業されたホイヤーは、1985年のタグ社の資本参加およびタグ・ホイヤーへの社名変更や99年のLVMHグループ傘下への参入などを経て、2020年に160周年を迎えた。そしてこのアニバーサリーイヤーを祝福すべく同社のアイコン「カレラ」より、1963年発売のRef.2447Sを復刻した「タグ・ホイヤー カレラ160周年 シルバー 限定エディション」が1月に発表された。創業年にちなんで1860本が6月に発売される予定だ。
タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ160周年 シルバー 限定エディション」
「道、レース、キャリア、コース」の意味を持つスペイン語「Carrera」がクロノグラフモデルに採用されたきっかけは諸説ある。有名なのが世界で最も過酷なロードレースとして知られた「カレラ パンアメリカーナ・メヒコ」からとったというもの。そしてもうひとつが、当時のCEOであるジャック・ホイヤーの自伝で記載されている「セブリング・インターナショナル・レースウェイで聞いた“カレラ”というセクシーな響きと、そこに秘められた言葉の意味を気に入った」というものだ。
そんな逸話を持つカレラは63年にファーストモデルがデビュー。同時代にホイヤーが展開していた他のモデルと同じように一度は表舞台から消えてしまったが、96年に復活を遂げ、今やタグ・ホイヤーのアイコンと呼べるまでになった。タグ・ホイヤーの創業160年周年を祝う限定モデルとしてカレラが選ばれたことは当然と言えるだろう。
1月に発表された「タグ・ホイヤー カレラ160周年 シルバー 限定エディション」は63年に発売されたRef.2447Sにデザインの範を取るモデルだ。ボックス型の風防や長く細いラグなど、基本的なディテールは見事に再現されている。デザイン上での違いとして分かりやすいのは、ケース直径がオリジナルの36mmから39mmに拡大されている点や、9時位置にあったスモールセコンド6時位置に移動されている点だろう。この2点に関しては2447Sに搭載されていたムーブメント、ヴァルジュー72とタグ・ホイヤー カレラ160周年 シルバー 限定エディションが搭載するホイヤー02ムーブメントの構造上の違いが大きく影響している。
上記以外でオリジナルと異なる点は、時分針の形状がファセット仕上げになった点、そしてそこに塗布される夜光塗料がトリチウムからベージュのスーパールミノバに変更された点だ。当然ながら、ドーム型風防もサファイアクリスタル製に変わっている。
現代的なエンジン
前述の通り、オリジナルは手巻きのバルジュー72だったが、本作では自社開発ムーブメントのホイヤー02を搭載している。同ムーブメントは169のパーツから構成される自動巻きのクロノグラフムーブメントであり、クロノグラフの制御はコラムホイールが司る。また、4番車とクロノグラフの連結に垂直クラッチが使用されている。パワーリザーブは約80時間あるため、金曜日の帰宅後に時計を腕から外し、土日の間着用しなかったとしても、月曜日に再び装着する際には動き続けている。
そんな「タグ・ホイヤー カレラ160周年 シルバー 限定エディション」は2020年6月に全世界で販売予定だ。発売の際にはスペシャルボックスが用意されるとのこと。
自動巻き(Cal.ホイヤー02)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SS(直径39mm)。100m防水。世界限定1860本。
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