『ゴッドファーザー』『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』の名優、アル・パチーノが選ぶ腕時計は?

一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのプライベートなワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は『ゴッドファーザー』『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』などで知られる名優アル・パチーノが選ぶ腕時計を紹介しよう!

アル・パチーノ

アル・パチーノ

Photograph by Ian Gavan/Getty Images

 1940年、ニューヨークでイタリア系アメリカ人の両親の元に生まれたアル・パチーノ。幼少期はスラム街で暮らし、学業はおざなりに、早くから酒とタバコに手を出す日々であった。しかし、高校の授業で演劇を体験したことから俳優を志すことになる。高校を退学して働き、軍資金を貯めたのち、19歳でニューヨークの演劇学校へ、26歳で俳優養成所へ進む。才能はその後まもなく日の目を見ることに。1969年に出演したブロードウェイ『Does a Tiger Wear a Necktie?』(原作/フィリップ・ロス)での姿が映画監督フランシス・フォード・コッポラの目に留まり『ゴッドファーザー』のマイケル・コルレオーネ役を獲得、これにより大きな躍進を遂げることとなった。
 これ以降、現在までほぼ毎年コンスタントに映画へ出演し、数多くの賞を受賞している。

 今回ピックアップした1枚は、2014年にヴェネツィア国際映画祭に出品された『ザ・ハンブリング』で記者会見に応じる彼の姿だ。その手元を見てみよう、写っている時計はジャガー・ルクルトのダイバーズウォッチ「ジャガー・ルクルト ディープシー・ヴィンテージ・クロノグラフ」だ。

ディープシー・ヴィンテージ・クロノグラフ


ジャガー・ルクルト
「ジャガー・ルクルト ディープシー・ヴィンテージ・クロノグラフ」

「ジャガー・ルクルト ディープシー・ヴィンテージ・クロノグラフ」は、1959年に発表された初のアラーム付きダイバーズウォッチ「メモボックス・ディープシー」の復刻版のひとつである。2011年の復刻第1弾「メモボックス トリビュート トゥ ディープシー」の好評を受けて、レギュラーモデルとして続いたモデルだ。その名の通りクロノグラフ機能を備えるほか、インデックスと針にオレンジのスーパールミノヴァを塗布し、風防もサファイヤではなくあえてプレキシガラスを採用することでヴィンテージ感を演出している。同モデルはすでに販売終了しているが、搭載するキャリバー751Gは、タングステンローターを使用し、シースルーケースバックを採用する改良版キャリバー751Hを積んだ「ジャガー・ルクルト ポラリス・クロノグラフ」へと受け継がれている。

 なお、アル・パチーノは1996年より監督業も開始している。2011年の作品『ワイルド・サロメ』では、ヴェネツィア国際映画祭の「監督・ばんざい!」賞を受賞した。同賞をサポートするのがジャガー・ルクルトであり、受賞者には同社のアイコンモデル「レベルソ」が贈呈される。これ以降、公に姿を見せるアル・パチーノの腕には「ジャガー・ルクルト ディープシー・ヴィンテージ・クロノグラフ」のほか、自社独自の「マスター1000時間コントロール」規格にちなんで生み出されたマスターシリーズのスポーツウォッチ「マスター・コンプレッサー」などを着用する姿が確認され、長年にわたりアル・パチーノとジャガー・ルクルトに親交があることがうかがえる。
 余談だが「監督・ばんざい!」賞のコミカルな名称は、第1回受賞者の北野武の監督作品『監督・ばんざい!』(2007年)にちなむものだ。

ジャガー・ルクルト
「ジャガー・ルクルト ディープシー・ヴィンテージ・クロノグラフ」

ディープシー・ヴィンテージ・クロノグラフ

「ジャガー・ルクルト ディープシー・ヴィンテージ・クロノグラフ」。Ref.Q207 85 7J。センターに時・分針とクロノグラフ秒針を備え、3時位置に30分積算計の分カウンター、9時位置に12時間積算計の時カウンターを備える。2012年発表。自動巻き(Cal.751G)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。SSケース(直径40.5mm)。10気圧防水。アリゲーターストラップ。販売終了。

後継機の「ジャガー・ルクルト ポラリス・クロノグラフ」

ジャガー・ルクルト ポラリス・クロノグラフ

自動巻き(Cal.751H)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ65時間。SSケース(直径42mm)。10気圧防水。104万円(税別)。

 アル・パチーノの話題を追っているうち、最近のニュースに「36歳年下の彼女にフラれた」という見出しを見つけた。理由は"彼が老人で、ケチだからだ"というから心が痛い(参照/フロントロウ)。
 これは筆者個人の感覚だが、ジャガー・ルクルトをまとう男性には色気があると感じるし、アル・パチーノのような渋さがある人ならばなおさらだ。加えて、少年時代と変わらぬ映画愛を貫き、真摯に出演作へ取り組む姿勢も魅力的だ。80歳を目前とした2019年も『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(監督/クエンティン・タランティーノ)、『アイリッシュマン』(監督/マーティン・スコセッシ)に出演。両作ともアカデミー賞作品賞にノミネートされており、またアル・パチーノは『アイリッシュマン』において助演男優賞に男優賞にノミネートされている。
 まだまだこれからも、格好良い大人の男性像で老若男女を魅了してほしい。

高井智世