LVMHグループの時計フェア「LVMH ウォッチ ウィーク ドバイ 2020」〜ゼニス編〜

FEATUREその他
2020.02.25

2020年1月13〜15日、LVMHグループ傘下のブルガリ、ウブロ、ゼニスの時計フェアがドバイで開催された。題して「LVMH ウォッチ ウィーク ドバイ 2020」。その会場で発表された、ゼニスの新作腕時計情報をお届けする。

広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)


2020年ゼニスの新作

 ブルガリ同様、女性用モデルに注力したのがゼニスである。女性用の「デファイ ミッドナイト」は、開口部の大きなデファイのデザインを生かして、カラフルな文字盤を与えた新作である。もっとも、それ以前の女性用とは異なり、文字盤外周の「見返し」を深く取ることで視認性を高めている。また、このモデルには凝ったインターチェンジャブルブレスレットが備わった。交換式には見えないが、1コマ目の裏の突起を押すと、ブレスレットが外れて、ストラップに交換可能である。ブレスレットの出来はかなり良い。また、時計愛好家向けに、エル・プリメロ A384にブレスレットモデルが加わった。本作のブレスレットは、1969年当時のオリジナルをほぼ忠実に模したものである。


エル・プリメロ A384 リバイバル

エル・プリメロ A384 リバイバル

自動巻き(Cal.400)。36石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径37mm、厚さ12.6mm)。5気圧防水。予価88万円。

 時計愛好家好みのエル・プリメロA384に加わったエクステンション。「当時の“ラダー”ブレスレットを完全に再現した」とゼニスの関係者が豪語する通り、いささか頼りない感触も、往年のゲイ・フレアー製のブレスレットそのままだ。弓管は削り出しではなく、昔懐かしいプレス成型。バックルも同様である。ただ、サファイアクリスタルの採用によってヘッドが重くなったためか、支えるバックルのプレートはわずかに厚くなった。装着感は悪そうに見えるが、時計全体が軽いため、腕馴染みは意外に悪くない。好事家好みの1本。

ゲイ・フレアー製の“ラダー”ブレスレットを忠実に再現したリバイバルモデルのブレスレット。非常に軽いが、カチャカチャ音がしないのは、隙間を設けた構造のためか。

昔との大きな違いは、バックルを支えるプレート。プレス成型で剛性を持たせるために、2本のリブを加える設計は同じ。しかし、プレート自体の厚みが増した結果、見た目からは想像できないほどの剛性を持つ。


デファイ ミッドナイト

デファイ ミッドナイト

自動巻き(Cal. 670)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径36mm、厚さ10.35mm)。予価115万円。

 女性用の新モデル。直径36mmの小ぶりなケースに、星空を描いたグラデーション文字盤を備えている。ブレスレットに注力するLVMHグループらしく、ブレスレットが標準装備されるほか、3本のストラップが付属する。一般的に、ブレスレットにインターチェンジャブル機構を加えるのは難しいとされる。しかし、ゼニスはあえてこの難しい試みに挑戦した。噛み合わせ部分に剛性を持たせたため、ガタは感じられない。文字盤には、グレー、ブルー、マザー・オブ・パールがあるほか、ベゼルもダイヤモンドのありなしが選べる。

インターチェンジャブルブレスレット/ストラップ

新しく採用されたインターチェンジャブルブレスレット/ストラップ。写真が示す通り、嵌合部はかなり頑丈に作られている。長期間の使用でもガタは出にくいだろう。

女性用に注力するゼニスを象徴するのが、デファイ ミッドナイトのベゼルにあしらわれたダイヤモンド。ベゼルには44個、文字盤には11個のダイヤモンド(計最大1.48カラット)が埋め込まれる。ダイヤモンドの密なセッティングに注目。