充電の必要がなく、正確に時を刻む電波ソーラー腕時計。さまざまなモデルが存在する中で、“高級”電波ソーラー腕時計を購入したいと思った時、セイコーのアストロン、シチズンのアテッサ、カシオ計算機のオシアナスが候補に挙がってくるのではないだろうか。この3ブランドを比較しながら、それぞれの魅力を紹介する。
電波ソーラー腕時計の魅力と選び方
電波ソーラー腕時計のメリットは大きくふたつある。ひとつはどこにいても、常に正確な時間を教えてくれること。そしてもうひとつが、通常の腕時計の3~4倍と言われる長い電池寿命である。
この2点について詳述しながら、電波ソーラー腕時計の魅力と選び方のポイントを解説しよう。
電波ソーラーの魅力
正確な時間を常に示すことは、腕時計にとって重要なポイントだ。同時に、安定して作動し続けることも求めたい。文字盤に視線をやった時に、針が動いていなければ腕時計としての機能が果たせない。
こうした“腕時計に求めたい”性能を備えたもののひとつに電波ソーラー時計がある。
電波時計とは、送信局から発信される「標準電波」を受信し、時刻コードを時刻情報に変換。この情報を針を駆動するモーターに送り、時刻を自動的に修正する機能を搭載した時計のことだ。この電波時計に、太陽光や蛍光灯などの光エネルギーを利用して駆動する機能を併せ持つのが電波ソーラー時計である。
つまり、長期間にわたる電池寿命を備え、電波を受信できる地域であれば正確な時刻を常に把握できる。これこそが電波ソーラー腕時計の魅力だ。
比較のポイント
電波ソーラー腕時計には、多様なモデルがある。なにを重視してどのモデルをチョイスするかは、ユーザーの好みに委ねられることになる。
素材もひとつの判断基準だ。電波ソーラー腕時計のケースやブレスレットの素材には、主にチタン製とステンレススティール製がある。
チタンは、高い耐久性を持ちながらも軽量な点が特徴だ。他方、ステンレススティールの利点は高硬度で見た目に高級感を得やすいことだろう。
防水性のレベルもモデルによって多岐にわたる。20気圧防水を施し、素潜りにも対応できるタイプから水辺のレジャーに対応できる10気圧防水、水仕事に耐える5気圧防水、さらには日常生活レベルの2~3気圧防水まで、ユーザーのライフスタイルに適したものを選べる。
セイコー アストロンの特徴や機能
「クオーツ アストロン」のデザインに現代的な解釈を加え、立体的なフォルムに仕上げたモデル。ケースとブレスレットに用いたチタンには独自の表面加工技術ダイヤシールドが施され、小傷を付きにくくしている。GPSソーラームーブメント(Cal.5X53)。フル充電時約2年稼働(パワーセーブ時)。Tiケース(直径42.8mm、厚さ14.7mm)。20気圧防水。28万6000円(税別)。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012
“アストロン”は、腕時計の世界に起きた精度革命のイメージを伴う。この革命は2度起きた。1度目は1969年。そして2度目は2012年、本記事で紹介するGPS機能搭載腕時計「セイコー アストロン」である。その特徴や機能について迫ってみたい。
アストロンの概要
「クオーツ アストロン」と名付けられた世界初のクォーツ時計が誕生したのは1969年のことだ。以降、腕時計の精度は飛躍的に向上し、正確な時を刻む時計作りの技術は大いに発展した。
そして2012年、「アストロン」の名を冠した腕時計の誕生により、時計の精度には再び革命が起きたと言える。この12年に登場したアストロンは、世界初のGPSソーラー腕時計であったためだ。
本記事のメインで紹介している電波時計は、標準電波の時刻コードを受信することで正確な時刻を表示させる。しかし、標準電波を発信する基地局は日本を含む世界で5カ国となっており、電波が届かない地域では通常のクォーツ腕時計として機能することとなる。一方でGPS機能を搭載したセイコー アストロンは、GPS衛星からの信号を受信し、正確な位置情報を獲得することで現在地の時刻を表示させる。世界の全39のタイムゾーンに対応しており、標準電波のない地域に移動しても、その土地との時差が判断できなくとも、ひとつのボタン操作で正確な時を教えてくれるのである。
セイコー アストロンの登場は、不可能とされた小型GPSアンテナを搭載し、既存の腕時計の概念を覆したことで、腕時計の新たな歴史を飾ったブランドと言えるだろう。
タイムゾーン修正やスマートセンサー
電波時計の主要機能であるタイムゾーン修正だが、そのために必要なGPS衛星の捕捉状況表示は、セイコー独自の機能である。
時・分・秒の3軸独立運針と高速モーターを搭載することで、時刻修正時の高速運針を実現している。
GPS衛星からの自動時刻受信を1日に最大2回実行するスーパースマートセンサーも、アストロンだけが有する機能だ。太陽光がダイアルに当たると受信タイミングを自動で調整し、GPS衛星から電波受信を開始する。
衛星からの時刻情報に対し、例えわずかでもズレが生じていれば、即座に正確な時刻へと修正してくれる。
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