グラスヒュッテ・オリジナルが2019年に発表したSeaQ(シーキュー)は、グラスヒュッテ生まれの伝統的なダイバーズウォッチの再上陸といえよう。なぜなら同モデルの発売から50年前に当たる1969年、その原型となる「Spezimatic RP TS 200」が旧GUBより登場しているからだ。今回はこのクラシカルなダイバーズウォッチを観察しつつ、オリジナルモデルをどこまで再現しているかにも触れていこう。
自動巻き(Cal.39-11)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(直径39.5mm)。200m防水。112万円(税別)。
(右)グラスヒュッテ・オリジナル「SeaQ パノラマデイト」
自動巻き(Cal.36-13)。41石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約100時間。SS(直径43.2mm)。300m防水。131万円(税別)。
グラスヒュッテ・オリジナル「SeaQ」
グラスヒュッテ生まれのタイムピースは入念な仕上げやタイムレスな優雅さ、そして時にはハイクオリティな機構によって、世界中でその価値が認められてきた。また19世紀以来、グラスヒュッテ製のタイムピースは航海や飛行中に自身の現在位置を教えてくれるクロノメーターとして信頼を勝ち取っている。
この豊かな経験値と歴史的遺産を背景にした新コレクション、「スペシャリスト」をグラスヒュッテ・オリジナルは2019年に追加した。そしてブランドとして5つ目のコレクションであるスペシャリストの記念すべき初作として選ばれたのがダイバーズウォッチのSeaQだ。この時計は何事も恐れない探求心に富んだ、自身の人生を積極的に作り上げる意志を持った男性をターゲットにしている。
歴史にインスパイアされた腕時計
レトロなルックスが示すように、SeaQにはオリジナルモデルが存在する。それが1969年に発表された「Spezimatic RP TS 200」だ。同作はスポーツダイバーの為に開発された、当時最先端のダイバーズウォッチであった。
2019年に発売されたSeaQのブラック文字盤モデルにはアラビア数字と針・インデックスにラジウムが焼けたような色合いの塗料が施されている。裏蓋には海のシンボルである三又の鉾が200m防水を意味する20本の波線とともにエングレービングされる。
またSeaQには大型カレンダーを備える「SeaQパノラマデイト」も同時にラインナップされている。こちらはケースサイズが直径43.2mmとSeaQの直径39.5mmよりもひと回り大きい分、300m防水に防水性能が向上している。そのため、プロフェッショナルダイバーの使用にはより好ましいモデルだと言えるだろう。
両者ともにダイバーズウォッチをうたっているだけあり、ケースは防水性能を確保すべくねじ込み式リュウズなどいくつものディテールで強化されている。SeaQは前述の通り、エングレービングが施された裏蓋を持つが、SeaQパノラマデイトではねじ込み式サファイアクリスタル製ケースバックが採用されている。
安全なダイビング
ダイビング中、ダイバーの命は休むことなく稼働する自身の腕時計に委ねられている。そのためグラスヒュッテ・オリジナルのエンジニアと時計師達は、SeaQを開発するにあたり、高い信頼性を確保することを念頭においた。
DINとISO基準にのっとったダイバーズウォッチは、最も厳格なドイツと国際品質規格に適合した防水性能と視認性、耐衝撃性能、そして海水に対する耐腐食性などを含めた数々の要求を満たしているのである。
他のダイバーズウォッチに同じくダイビングの経過時間は、三角形のマークを有する逆回転防止ベゼルを用いることで容易に計測できる。またベゼルリングは耐傷性の高いセラミックスのため、潜水中でもキズが付きづらい。
水面下では、採光が充分ではない環境下で時間を確認する必要がある場合が多い。そのような状況でもSeaQは、高い視認性を提供してくれる。水中においてはアプライドインデックスとプリントされたミニッツスケールが時分秒針と共にスーパールミノバで浮かび上がってくるのだ。また、反射防止加工が施されたサファイアクリスタル製風防も視認性の向上に一役買っており、視界の悪い水中においても最適な視認性と安全なダイビングを担保してくれる。
キャリバー36の新たな挑戦
SeaQパノラマデイトを語る際、大型のデイト表示に触れない訳にはいかないだろう。グラスヒュッテ・オリジナルの典型的特徴のひとつであるビッグデイトは4時位置にほどよいバランスで収まっている。またサンレイ仕上げのブラックまたはブルーの文字盤には、それぞれの文字盤カラーにあったアプライドのアラビア数字とインデックスがグリーンまたはホワイトで配されている。
SeaQとの違いは、外観的ディテール以外の部分にもある。非常に困難な状況が予想される水面下での時刻表示に対応するため、グラスヒュッテの時計師達は2016年に発表したCal.36を改良することに成功。36-13バージョンでは、43.2mm径のステンレススティール製ケースに搭載され、精度・安定性・時間表示・外観の4点を考慮しながら最適な状態で調整されている。またバヨネットマウントによりムーブメントはしっかりとケース内に固定されているため、耐衝撃性に優れている。これまでのCal.36と同じく、シリコン製ヒゲゼンマイを採用し、パワーリザーブは約100時間と長い。そして水中でも水上でも信頼できる高精度を実現している。
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