アメリカの文化に根差した長い歴史をもつハミルトンは、現在ではスイスに拠点を移し、ムーブメントの自社開発も行なっている。デザイン性の高いミリタリーウォッチや、都会的でスタイリッシュな腕時計が手に入るハミルトンの魅力を紹介しよう。
ハミルトンとは
アメリカで創業したハミルトンは、20世紀のアメリカの文化や歴史の中で、時計の精度やデザイン性において確固たる地位を確立してきた。
1974年には、現スウォッチ グループの前身であるSSIHの傘下に入り、2003年にはスイスのビエンヌに本社と生産拠点を移している。
現在ではスウォッチ・グループのミドルレンジの一角を担うハミルトンがブランドを確立した歴史を見ていこう。
鉄道時計としての歴史
1892年、ハミルトンはアメリカのペンシルバニア州ランカスターで創業した。他の時計メーカーの資産をもとに設立されたハミルトンは、創業当初から懐中時計の高い技術力を武器に名声を高めていく。
ハミルトンの知名度が高まったのは、アメリカにおける鉄道草創期であった。
当時、鉄道会社は正確な時刻を計測する術を持たず、事故が頻発するという問題を抱えていた。
ハミルトンの正確な懐中時計は鉄道事故を減少させることに大きく貢献し、1912年には「The Watch of Railroad Accuracy(鉄道公式時計)」の称号を獲得している。
軍用時計としての歴史
1914年、第一次世界大戦が勃発すると、軍隊の移動時間を正確に測れる鉄道時計が求められた。
すでに鉄道時計として地位を確立していたハミルトンの懐中時計は、アメリカ軍総司令官により軍用時計として採用される。
戦地では早く正確に時間を計測できる時計の需要が高まり、1917年にはハミルトン初となる腕時計「KHAKI(カーキ)」の原型が誕生した。
第二次世界大戦が転換期を迎える1942年には、アメリカ政府の要請により一般時計の生産を中止し、軍用として1945年までに100万個以上の時計を納品する。
ハミルトンは大戦後も各国の軍や士官学校とパートナーシップを結び、軍のフィードバックを受けカーキコレクションの進化に反映させてきた。
ハミルトンの魅力とは
ハミルトンは、1918年にワシントンD.C.とニューヨーク間を結ぶ定期航空郵便の公式時計に採用された歴史を持つ。
さらに、1932年以降の500本以上の映画に時計が登場するなど、アメリカの文化と切り離せない代表的な時計ブランドである。
ここでは、ハミルトンの深い歴史から生まれたコレクションの多彩さやデザインの多様性について解説しよう。
コレクションが多彩
ハミルトンは、アメリカの文化と歴史に深く関わってきた経歴から、記念碑的なコレクションを取りそろえている。
1917年に誕生したカーキは、陸海空軍のそれぞれに向けた「カーキ フィールド」「カーキ ネイビー」「カーキ アビエーション」として発展を続けた。
1957年に発表した電池式時計をルーツとする「ベンチュラ」、アメリカで生まれたジャズへのオマージュである「ジャズマスター」、ハミルトンの歴史を凝縮した「アメリカン クラシック」の3種も重要なコレクションだ。
これらに2016年から加わった「ブロードウェイ」を合わせて、現在ではそれぞれに異なる特徴をもった7つのコレクションを展開している。
デザインも多様
ハミルトンの腕時計は映画産業とのつながりもあることから、洗練されたデザイン性と見栄えのするビジュアルが基本となっている。
ベンチュラはファッション業界からの要請で特別モデルが作られることもあり、ジャズマスターもファッション要素を強く持ち合わせている。
カーキ フィールドは一見して武骨だが、耐久性に優れたNATOストラップや上質なレザーストラップを簡単に付け替えられ、気分に合わせスタイルを変えられる仕様だ。