現在まで受け継がれるロングセラーモデル。その誕生時の意匠を再現した時計が生まれると、愛好家はそこにデザインの歴史を「捉える」ことができる。今回は、過去への情熱を呼び覚ます歴史的な6モデルを見ていこう。
Text by Alexander Krupp
2020年3月掲載記事
ロレックス
「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」
24時間表示の針とそれに対応する回転ベゼルによって、オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡはトラベラーズウォッチの典型と呼べるだろう。ロレックスは1983年になって「GMTマスター」を一段と使いやすく改良した「GMTマスターⅡ」を発表した。1955年発売の初代「GMTマスター」との違いは、リュウズ操作によりメインの時針のみを素早く前後に動かせるようになった点である。それまで2本の時針は連動しており、もし第二時間帯を表示したければ回転式ベゼルを回して調整するしかなかった。初代を彷彿とさせるブルーとレッドのベゼルを備えた人気のステンレススティールモデルは2018年にカムバックを果たした。
ブライトリング
「ナビタイマー B01 クロノグラフ 46」
パイロットのみならず、地上にいる愛好家からも不動の支持を誇るナビタイマー。1952年のこの時計の誕生は、当時が航空業界の黎明期にあったことも大きく結び付く。その後、タグ・ホイヤーらと共同開発したクロノマティックの搭載機や、100mの防水仕様、LCDモデルやストップウォッチ機能のない3針モデルなど多様なバリエーションを手掛けてきた。しかし「ナビタイマー B01 クロノグラフ 46」のように、往年の姿を留めるモデルは依然として健在である。オリジナルと異なる点はサイズが大きめであるということと、サブダイアルの色合いにコントラストが与えられたことだ。
IWC
「ポルトギーゼ・クロノグラフ」
ビッグウォッチの祖として名高いIWCの「ポルトギーゼ」。初代ポルトギーゼは、マリンクロノメーター級の精度を持つ航海用腕時計を求めていたふたりのポルトガル人時計商の要望に応えるため、高精度な懐中時計ムーブメントを直径41.5mmのステンレススティールケースに収めて仕立てられた。視認性の良いアラビックインデックスや、「ポルトギーゼ・クロノグラフ」に見られるスリムなベゼルのステンレススティールケースは1939年のファーストモデルを想起させる。
セイコー
「プロスペックス」セイコーダイバー55周年記念限定モデル
国産初のダイバーズウォッチは、セイコーが1965年に発表した150mの防水性を持つ自動巻きウォッチだった。その3年後の68年に、同社は防水性を300mに高めた10振動の高振動ダイバーズウォッチを発表している。2020年、国産ダイバーズウォッチ誕生55周年を記念して、セイコーはタイムピースにオマージュを捧げるデザイン復刻三部作を発表した。そのうちのひとつが1968年製のダイバーズウォッチをリメイクしたRef.SBEX011だ。オリジナル同様、毎時3万6000振動の自社製キャリバーを搭載する本作は、ケースに腐食性に優れた「エバーブリリアントスチール」を採用し、デザインはオリジナルモデルを踏襲しながらブルーグレーのカラーリングを取り込みモダンテイストを加えている。
ジャガー・ルクルト
「ジャガー・ルクルト ポラリス・メモボックス」
エレガントな佇まいに、スポーツシーンでも頼れる防水性能を備える「ジャガー・ルクルト ポラリス」は、ビーチでの着用にうってつけであるほか、大切な約束をすっぽかさぬようリマインドしてくれる頼もしい時計だ。ジャガー・ルクルトが1968年に発表した初代ポラリスの「メモボックス・ポラリス」は、水中でもアラーム機能が駆動する。このファーストモデルをインスピレーションの源として、2018年に復刻版として発表された。
チューダー
「ぺラゴス」
プロフェッショナルダイバー向けの「ペラゴス」の意匠は、その源を1969年製のオイスタープリンス サブマリナーに辿ることができる。時針を分針と見間違えないための「スノーフレーク」針をチューダーが初めて採用したのもこのモデルであった。蓄光塗料を施した四角い先端の秒針も、暗い深海でダイバーに自分の時計がきちんと動いているという安心感を与えてくれる。ヘリウムエスケープバルブ搭載のぺラゴスの防水性能は500mだ。ラバーストラップとチタニウムブレスレットの選択肢がある。
https://www.webchronos.net/features/53862/
https://www.webchronos.net/features/52701/
https://www.webchronos.net/features/51599/