一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのプライベートなワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は、台湾(中華民国)の総統、蔡英文が選ぶ腕時計を紹介しよう!
蔡英文
2016年に女性として初めて台湾総統に就任した蔡英文。1956年生まれ、国際経済法を専門とする法学者である。常に冷静で論理的な発言に定評がありながら、飾らない温かな人物像にも支持が高い。ツイッターを利用して世界の人とコミュニケーションを取ることでも知られ、日本へもたびたび日本語のメッセージを届けている。2020年1月には800万票を超える総統選での過去最多得票を記録し、再選を果たした。
写真は、2018年に高雄市市長選挙の応援演説に現れた彼女の姿である。その手元を見てみよう。蔡総督の腕時計は、ロンジンの「ラ グラン クラシック ドゥ ロンジン」だ。
ロンジン
「ラ グラン クラシック ドゥ ロンジン」
「ラ グラン クラシック ドゥ ロンジン」は、ロンジンが1992年から展開する女性向けのシリーズだ。現行モデルは直径24mmから37mmの間で幅広いサイズ設定を備える。ムーブメントは直径36mm、厚さ7.05mmの自動巻きモデルもあるものの、基本的にはクォーツ式でいずれもケースの厚さを4.4mmに抑える薄型機だ。主な特徴はシンプルな文字盤のデザインとケース形状にある。文字盤は基本的にバー、ローマン、もしくは12粒ダイヤモンドのインデックスと、12時位置のロゴマーク、そして時・分の2針という組み合わせ。ケースは薄型で、12・6時位置に真っ直ぐ水平なラグを採用する。裏蓋と一体型のこのラグの形状は、前身モデル「アガシ」のDNAを正統に継ぐものだ。
1982年に誕生したアガシは、ラ グラン クラシック ドゥ ロンジン同様にすっきりとしたデザインと薄型ケースを特徴とした。女性が実用時計を求め始めた時代において、そのポテンシャルを見込んでロンジンが投入したシリーズである。ロンジンはアガシ発表3年前の1979年に、厚さわずか1.98mmのクォーツウォッチを完成させており、すでに薄型クォーツウォッチ製造の実力を示していた。その技術とデザイン力の粋を融合させ、女性のニーズに応えるべく作ったのがアガシなのだ。
ケース素材を18Kゴールドで統一したアガシに対して、ラ グラン クラシック ドゥ ロンジンはすべてをステンレススティールで展開する。つまり、一定の支持を得ていたアガシのデザインコードを継ぎながら、より多くの人が手軽にその魅力を味わえるようにと生み出されたのがラ グラン クラシック ドゥ ロンジンなのだ。
デザインコードは述べた通りであるが、文字盤のカラーや素材、PVD加工によるケースの色合いは豊富でラインナップは実に多い。なお、蔡総統はこのゴールドカラーモデルに加え、もう1本、白文字盤のラ グラン クラシック ドゥ ロンジンを着用する姿も確認されている。2本持ちは電池切れなどいざというときに心強いものであるが、いずれも同じシリーズを選ぶというのはよほど使い心地が良いのだろう。多忙な蔡総統が信頼を寄せる実用時計が、ラ グラン クラシック ドゥ ロンジンなのである。