これまでも大規模なイベントの中止や延期、そして工房の閉鎖など新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが時計業界に与えるニュースを伝えて、読者が状況についての最新情報を得られるようにしてきたアメリカ版クロノスことWatchTime。今回はコロナウイルスが2020年4月1日時点において時計業界にどのような影響をもたらしたのかを、同媒体で数多くの記事を執筆してきたマーク・ベルナルド氏がまとめた。
Text by Mark Bernardo
大規模イベントの中止が軒並み中止の事態に
2020年2月3日(月)
スウォッチ グループがチューリッヒで3月4日から6日に予定していたブレゲ、ブランパン、グラスヒュッテ・オリジナル、ジャケ・ドロー、ハリー・ウィンストンによる2020年新作発表イベント「Time to Move」の中止を表明。
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https://www.webchronos.net/features/41339/
2月4日(火)
バーゼルワールドの運営事務局が新型コロナウイルスによる移動やイベントに対する影響に関して、「状況の分析と観察」を行っていると発表。
2月11日(火)
ブルガリは4月30日から5月5日にかけて開催が予定されていた「バーゼルワールド2020」への参加を、「海外からのビジターの移動に関する不確定要素の増大」に伴い中止表明。
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2月12日(水)
既にバーゼルワールドへの不参加を表明していたグランドセイコーは、グランドセイコー60周年記念モデルの発表を祝う東京でのサミットイベントの中止を表明。当初の開催予定は3月の第1週であった。
2月20日(木)
バーゼルワールドのマネージング・ディレクター、ミッシェル-ルイス・メリコフが「2020年のバーゼルワールドの準備は進んでおり、当初予定通り開催予定」と発表。
2月24日(月)
シチズンは新型コロナウイルスの影響を理由に、バーゼルワールド2020への不参加を表明。これでバーゼルワールドへの不参加を表明した日本のウォッチメーカーはセイコー、カシオに続き3社目となった。
2月27日(木)
Fondation de la Haute Horlogerie(高級時計財団、以下FHH)が4月25日から29日開催予定であった「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ」の中止を発表。FHHはCOVID-19関連で「国をまたがる移動と大規模な集客は潜在的なリスクである」と言及している。このイベントはもともとSalon International de la Haute Horlogerie (SIHH)と呼ばれ、リシュモン グループのメゾンが主に出展し、その30周年を迎える予定であった。ダボスでリテールパートナーとディストリビューターを集めてサミットイベントを行う予定であったモバードグループも、その開催中止を表明している。
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2月28日(金)
スイスの連邦参事会による緊急招集会議で少なくとも3月15日まで国内における1000人以上の集会の禁止が議決される。この措置を受けて、バーゼルワールドの運営事務局は2020年5月から2021年1月への「延期」を表明。
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3月2日(月)
ブルガリを筆頭とした8つのブランドが、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブが中止となった期間中にジュネーブのホテルにおいて小規模のエキシビション、「ジュネーブ ウォッチ デイズ 2020」を開催することを発表。縮小されたイベントには、ブライトリング、ブルガリ、ジェラルド・ジェンタ、ジラール・ペルゴ、MB&F、ユリス・ナルダン、ドゥ・ベトゥーン、その他のブランドが含まれる。
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3月4日(水)
英国人スパイ、ジェームズ・ボンドを主人公とする人気シリーズ「007」の新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」のワールドプレミアが、4月から11月へと延期される。同作にはオメガが主人公仕様の“ボンドウォッチ”を提供していることで有名。
3月12日(木)
多くのラグジュアリーウォッチの新作発表イベントが夏まで延期される中、タグ・ホイヤーは新作コネクテッドウォッチ「タグ・ホイヤー コネクテッド」をアメリカ・ニューヨークで発表。その数日後、ニューヨーク市とニューヨーク州は集会の厳格な取り締まりを適用。
3月16日(月)
ふたつのメジャーなグループがパンデミック対策に動き出す。タグ・ホイヤーやゼニス、ウブロといった時計ブランドと共に、クリスチャン・ディオールやジバンシィといったファッションブランドを所有するLVMH(Louis Vuitton-Moët Hennesey)は、その生産拠点での香水の製造を消毒ジェルへと転換し、COVID-19の拡散防止に貢献すると発表。一方、ロレックスは10日間の工場における生産中止を発表。再開は3月27日予定とした。