「機械屋」として名をはせるジャガー・ルクルトの魅力を解析

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2020.08.16

ジャガー・ルクルトは、優れた技術から生み出されたクォリティーの高いムーブメントと、端正で美しいデザインが魅力の高級時計ブランドだ。他のメーカーとは異なる特徴や代表モデルなどを解説し、ジャガー・ルクルトの魅力に迫る。


ジャガー・ルクルトの特徴

時計への造詣が深い人ほど、ジャガー・ルクルトに一目置いている。他のブランドとは一線を画す、その特徴を確認しておこう。

真のマニュファクチュール

ジャガー・ルクルトの工房

2019年にファサードを改修した、ジャガー・ルクルトのマニュファクチュール。アンティークウォッチの修理工房とヘリテージギャラリーとが併設されている。

スイスの時計産業では、作業工程を細分化した分業スタイルが主流である。マニュファクチュールをうたっているメーカーも、実際には一部の高額モデルに限っていることもある。

しかし、ジャガー・ルクルトは、ケースや文字盤などの外装デザインだけでなく、ムーブメントまで自社で製作する「真のマニュファクチュール」だ。

1833年の創業以来、卓越した技術で350種類以上ものムーブメントを作り上げてきたジャガー・ルクルトは、「機械屋」と称され、世界中から高い人気を集めている。

時計のデザインからムーブメントまで、自社一貫で生産する体制こそが、ジャガー・ルクルトの時計に希少価値を与える要素の根幹といっても過言ではない。

1000時間コントロール

ジャガー・ルクルトは、製作した全ての時計に対し、「1000時間コントロール」と呼ばれる独自の検査を実施している。

スイス公式クロノメーター検定機関のC.O.S.C.(The Contrôle Officiel Suisse des Chronomètre)の検査期間は15日間という厳格さで知られるが、ジャガー・ルクルトの1000時間コントロールの検査期間はそれを上回り、約6週間にも及ぶ。

また、1000時間コントロールは、ムーブメントの精度だけでなく、防水性や各種耐性も検査対象としている。C.O.S.C.はムーブメントのみだ。

ケースに収められた完成品を対象とし、精密時計としての価値をより高めるために実施される1000時間コントロールは、ジャガー・ルクルトの魅力を際立てる特徴のひとつである。


代表コレクションとその魅力

ジャガー・ルクルトを支える2大シリーズが、「レベルソ」と「マスター」である。それぞれの特徴や魅力を紹介する。

反転する文字盤 レベルソ

レベルソ

1931年に発売された初代「レベルソ」。

ジャガー・ルクルトの代名詞とも言える「レベルソ」は、1931年に登場して以来、マイナーチェンジを繰り返しながら現在も高い人気を誇るモデルだ。

「レベルソ」の最も大きな特徴は、文字盤が反転することである。長方形のケースから文字盤部分を横にスライドさせ、反転させて再度ケースに押し込む。

このギミックは、イギリス軍の将校からの「ポロ競技中にも耐えられる時計が欲しい」という依頼に応えるためのものであった。

当初、ポロ競技中の衝撃から風防を守るために裏面はメタルプレートであったが、現在では裏面にも文字盤のあるデュオシリーズも展開している。

職人気質の結晶 マスター

ジャガー・ルクルト マスター

ミニマルな「マスター」コレクションの中でも、基本となるスモールセコンド。くさび形のバーインデックスに、小ぶりなケース径、8.1mmの薄いケースをもつ、ドレスウォッチの良作。「マスター・ウルトラスリム・スモールセコンド」自動巻き(Cal. 896/1)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約43時間。18KPG(直径39mm、厚さ8.1mm)。5気圧防水。156万8000円。

「レベルソ」と並び、ジャガー・ルクルトの象徴的な存在とされるモデルが「マスター」だ。ラウンドケースとシンプルなデザインの文字盤を特徴としている。

「マスター」は、1992年に実施を開始した1000時間コントロールに、初めて通過した製品である。「マスター1000時間コントロール」と呼ばれている検査名にちなみ、モデル名が付けられている。

業界トップレベルの品質検査をクリアする「マスター」は、まさに職人気質の結晶とも言える精密時計だ。クロノグラフや永久カレンダーなどの複雑機構を搭載した派生モデルも、数多く生産されている。