「スカイムーン・トゥールビヨン」は、パテック フィリップの時計の中でも、最も高価な時計のひとつだ。数多くの複雑機構を搭載し、芸術作品とも言える精巧で優雅な彫刻も施されている。そんなスカイムーン・トゥールビヨンの魅力に触れてみよう。
「スカイムーン・トゥールビヨン」とは
12種類の複雑機構を搭載し芸術彫刻とも称される「スカイムーン・トゥールビヨン」とは、どのような時計なのだろうか。その概要と価格を紹介する。
パテック フィリップで最も複雑な作り
スカイムーン・トゥールビヨンは三大複雑機構と言われる、永久カレンダー(パーペチュアルカレンダー)、ミニッツリピーター、トゥールビヨンをはじめ、計12種類の複雑機構を搭載するモデル。パテック フィリップ初のダブルフェイス時計により、天空星座図に切り替えることも可能である。
世界最高の時計ブランドのひとつであるパテック フィリップにおいても最高クラスの複雑さを誇り、まさに芸術作品とも言える至高の超高級時計だ。
価格は億単位
スカイムーン・トゥールビヨンの価格は、リファレンスナンバー6002のホワイトゴールドが約1億6000万円で最も高い。
いくつかの過去のモデルと比べ、最も高額なホワイトゴールド素材のケースには、極小のグレービング装飾が施されている。ベルトとダイアルのカラーは、ブラックとブルーの2種類から選択できる。(現在、ブルーはディスコンとなっている。)
スカイムーン・トゥールビヨンの特徴
億を超える値が付くスカイムーン・トゥールビヨンの魅力は、複雑機構だけではない。ケース全体に精緻なエングレーブが施されるなど、細部に至るまで超一流なのだ。
最高峰の技術
一般的には、三大複雑機構のうちひとつが搭載されるだけでも、時計の価格は数百万~数千万円に達するものだが、スカイムーン・トゥールビヨンには、計12の複雑機構が搭載されている。
パテック フィリップ初の表と裏の両面にダイアルを配したダブルフェイス仕様で、前面には平均太陽時(通常の時刻)、レトログラード日付表示針永久カレンダー、曜日・月・閏年の窓表示、ムーンフェイズ。裏面には恒星時、星座表、月の軌道とムーンフェイズが表示される。
精巧な装飾
スカイムーン・トゥールビヨンに施されている極小の彫刻には、100時間以上の作業時間が費やされている。ミニッツリピーターを動かすスライドピースやふたつのリュウズにも、手作業による芸術的な彫刻が施される。
表面のダイアルには、シャンルヴェ七宝とクロワゾネ七宝が施されている。どちらも西洋の七宝技術で、シャンルヴェ七宝は、土台の金属を彫り込んだくぼみをエナメルで埋める技法。クロワゾネ七宝は、土台となる金属の上に金属線を貼り付け、その枠の中をエナメルで埋める技法だ。ともに熟練の技術を要する手の込んだ技法といえる。
ケースも特別
スカイムーン・トゥールビヨンは、時計が収められている専用の化粧箱も特別仕様だ。トップレベルの職人により、入念な手間を経て作られている。
材質には極めて上質な木材を磨き上げたものが使用され、化粧箱に使われている金具は全て18金の彫金仕上げである。
「Sky Moon Tourbillon」と「Patek Philippe」と手彫りされた銘板も格調高く貼り付けられており、箱の中央に時計が収まった姿は、まさに芸術品とも言える粋に達している。
現行ではひとつのモデルのみ
スカイムーン・トゥールビヨンは、初代モデルと現行モデルを含めて、これまで2種のみの展開だ。それぞれの特徴を解説する。
リファレンスナンバー5002
2001年に発表された、スカイムーン・トゥールビヨンの初代モデル。当時、世界一多くの複雑機構が組み込まれた時計として発売され、部品総数は686個に及ぶ。
また、ミニット・リピーター搭載の腕時計として初めて「カセドラル・ゴング」を用いたことも特筆に値する。従来のゴングの2倍近い長さのため、豊かで力強い響きが特徴だ。
ケース9時位置側面のスライドピースを動かすと、現在時刻の時・クオーター(15分)・端数の分という順で、2つのゴングの組み合わせで知らせてくれる。
リファレンスナンバー6002
初代モデルの改良版として2016年に発表された現行モデル。5002からの大きな変更点は、ケースとダイアルの装飾である。
18Kホワイトゴールド製のケースは手作業で丹念に浮彫りが施され、文字盤はクロワゾネ七宝とシャンルヴェ七宝で仕上げられた黒七宝の装飾が施されている。
デザイン面では、インダイアルの永久カレンダーを小窓での表示に変更している。また、6時位置の表示は月齢からムーンフェイズに変更された。
一度は手にしてみたい超高級モデル
スカイムーン・トゥールビヨンは、価格が億を超える超高級時計だ。合計12の複雑機構が搭載され、パテック フィリップが作る時計の中で最も複雑な構造である。
精巧に施された手彫りの装飾も秀逸であり、まさに「腕に付ける芸術彫刻」と言える1本だ。
https://www.webchronos.net/features/45456/
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