パテック フィリップの時計の種類とは。魅力や特徴とともに紹介

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2020.09.24

スイスの高級時計ブランド「パテック フィリップ」は、カラトラバやノーチラスなど、多くのコレクションを展開している。パテック フィリップが放つ魅力を掘り下げ、ブランドを代表するコレクションにも詳しくなっておこう。


パテック フィリップの腕時計

時計愛好家で、パテック フィリップの名を知らぬ者はいないだろう。ここでは改めてブランドの歴史や価値をチェックしておこう。

スイスのジュネーブ本店サロンは、かつて本社として使われた建物だった。

誕生からこれまで

パテック フィリップの創立は1839年。今やジュネーブ最古のマニュファクチュールだ。独立した家族企業として高い一貫性を保ちながら、現在まで卓越した哲学を追求してきた。

稀少で独自性の高い世界最高峰の時計の創作を使命とし、創業以来取得してきた技術特許は100を超えている。そのうち約20件は、時計史上に名を残す発明である。

現行コレクションも200を超え、いずれも最大数百個の少量生産だ。そして、すべての時計に完全自社開発製造のムーブメントを搭載している。

パテック フィリップの多くのモデルが、それぞれの時代を象徴するオブジェとしての地位を与えられ、時を経るごとに価値を高めながら現在に至っている。

パテック フィリップの価値

超がつくほどまでに高級な時計ブランドとして、パテック フィリップが顧客として迎え入れた著名人にはヴィクトリア女王、アインシュタイン、昭和天皇などそうそうたる顔ぶれが並ぶ。

パテック フィリップが信頼のおける資産として愛される理由に、リセールバリューの高さが挙げられる。人気モデルともなると、購入価格より高値で売れることも珍しくない。

このような資産価値の高さを生み出しているものは、歴史に裏打ちされた時計自体の価値にほかならないと言えるだろう。

圧倒的な美をまとったデザインや優れた性能、工芸品とも称される自社開発のムーブメントは、他の追随を許さぬ技術力を有するパテック フィリップだからこそ作り出せるものだ。

パテック フィリップの歴史をひもとく。誕生やコレクションの系譜
https://www.webchronos.net/features/44075/


パテック フィリップの魅力や特徴とは

パテック フィリップのエンブレムであるカラトラバ十字。カラトラバとは、12世紀のスペイン騎士団の名称で、当時の騎士の資質である勇気、礼節、独立を象徴してきた。

世界屈指の時計ブランドであるパテック フィリップが持つ魅力や特徴を解説する。高貴なデザインと品質へのこだわりが、魅力を高めている大きな要素だ。

完成度の高いデザイン

パテック フィリップはさまざまなコレクションを展開しており、ほとんどがシンプルで普遍的なデザインだ。主張を抑えながら、気品高い美しさをまとっている。

多くのモデルでゴールドやプラチナなどの高級素材を使用しているが、美しさは素材だけに頼ったものではない。

調和のとれた形状・バランス良く組み合わされたパーツ・カラーの使い方・素材の研磨など、細部に至るまできめ細かい気配りが行き届いた、完成度の高いデザインが施されている。

パテック フィリップ・シールと永久修理

パテック フィリップは現在、すべての機械式の製品に「パテック フィリップ・シール」を刻印している。シールは永続的な品質の保証を意味し、同社の誇りが凝縮されている。

外装からムーブメントに至るまで、品質やアフターサービスを包括的に保証するという厳格な品質管理は、パテック フィリップの地位を確固たるものとしている理由のひとつだ。

『永久修理』を掲げていることも大きな特徴である。製造から数十年経過していたとしても、「パテック フィリップの時計は一生もの」というコンセプトのもと、修理に応じてもらえる。


代表コレクション

パテック フィリップの価値や魅力を支える代表的なコレクションを紹介する。いずれもブランドを知るうえで欠かせない有名なコレクションだ。

技術と芸術の結晶 「グランド・コンプリケーション」

グランド・コンプリケーション

ジュネーブ伝統工芸による、ブルーの本七宝文字盤。コンプリケーションの中でも特に製作が難しいスプリットセコンドクロノグラフは、複数のラップタイムを計測できる。また、立体感豊かなプラチナケース、サファイアクリスタルバックも見どころ。「スプリット秒針クロノグラフ Ref.5370P」。手巻き(Cal.CHR 29-535 PS)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ最小55時間、最大65時間(クロノグラフ非作動時)。Pt(直径41mm)。2866万円。

パテック フィリップの本質は複雑機構だ。「グランド・コンプリケーション」は、数々の複雑機構を集めた最上級のコレクションである。

1839年に同社が産声を上げてから、グランド・コンプリケーションコレクションは、高い技術力と芸術性により、パテック フィリップを代表するモデル群として絶大な評価を得ている。

搭載されている複雑機構の種類もさまざまで、それぞれの複雑機構ごとに、さらにシリーズが細かく分かれている。

ラウンド型時計の古典 「カラトラバ」

カラトラバ

カラトラバのディテールを受け継ぎながら、洗練を高めた現行モデル。ラグとケースをよりなめらかにつなげ、側面を切削でえぐることで、サイドに豊かな表情をもたらした。サファイアクリスタルバックは、ヒンジ付きカバーで覆われている。「カラトラバ Ref.5227」。自動巻き(Cal.342 S C)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KYG(直径39mm)。396万円。

「カラトラバ」は、パテック フィリップを代表するクラシックな丸型時計だ。純粋な造形美と優雅なデザインが織り成す品格が特徴である。

デザインの根底に流れるのは、20世紀初頭のドイツ・バウハウス哲学だとされる。「機能がフォルムを決定する」という思想を、忠実に反映している。

2針もしくは3針モデルを基本とした文字盤は高い視認性を有し、上の写真のように上品なドフィーヌ針やミドルケースと一体化したスレンダーなラグを持つモデルなど、高いデザイン性で人気を博す。

8角形ベゼルが有名 「ノーチラス」

ノーチラス

1976年に登場した、オリジナルのノーチラス。通称「ジャンボ」。自動巻き。SS(径42mm)。1976年初出。当時の定価は2350USドル。

「ノーチラス」は、1976年にステンレススティールケースを持つスポーティーウォッチとして登場した。8角形ベゼルは、潜水艦「ノーチラス号」の舷窓から着想を得ている。

オリジナルでは、ケースの左右に飛び出した“耳”と呼ばれる突起部分は、2ピースケースを結合させる役割を担った。2006年以降に3ピースへと転じても、“耳”はアイコニックなディテールとして残った。

デザインを手掛けたのは、「時計界のピカソ」と称されたジェラルド・ジェンタ。一義的にはスポーティーウォッチのカテゴリーに身を置きながら、ドレスウォッチといっても通用するほど気品ある薄さであることも特徴だ。

ノーチラスが原型 「アクアノート」

アクアノート

1998年に登場したアクアノート Ref.5065A。12気圧防水性能を持たせるために、ベゼルとミドルケースをひとつのブロックにして形成した。自動巻き(Cal.315 S C)。30石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。SS(直径38.8mm)。参考商品。

「アクアノート」はノーチラスから1997年に派生した、「スポーツ・エレガンス」を掲げる比較的新しいコレクションだ。丸みのある8角形のケースデザインと、凹凸のある格子状の文字盤が特徴的である。

高い防水性を備えているほか、暗闇でも視認できる夜光アラビア数字インデックスを採用するなど、実用性の高いモデルだ。薄型で上品なケースと文字盤の独特なデザインが、唯一無二の時計に仕上げている。


時計愛好家の憧れパテック フィリップ

パテック フィリップは、世界中の時計コレクターやセレブを魅了する世界最高峰の時計ブランドだ。機構や美しいデザインなど、他の追随を許さない強みを持っている。

現行コレクションも製造本数はそれほど多くないため、稀少価値が高い。価格は高額だが、相応の資産価値を有しているのだ。

川部憲 Text by Ken Kawabe


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