2015年に「タグ・ホイヤー コネクテッド」でいち早くスマートウォッチ市場に高級時計メーカーとして参入したタグ・ホイヤーは、その後17年にタグ・ホイヤー コネクテッドの第2世代を発表。さらに19年には第2世代タグ・ホイヤー コネクテッドにゴルフ用アプリケーションを搭載した特別モデルを追加するなど、積極的にこの分野にも技術と資金を投入してきた。そして20年3月、ついに第3世代が発売されたのである。この新作はデザインと技術の両面において、ラグジュアリースマートウォッチのカテゴリーにおける、タグ・ホイヤーの地位をさらに確固たるものへと押し上げた。
Edit by Tsuyoshi Hasegawa
タグ・ホイヤーの新しいコネクテッドウォッチ
タグ・ホイヤーの新しい「タグ・ホイヤー コネクテッド」は、日常生活で求められるさまざまな要望を実現する機能を有したスマートウォッチである。グーグルのWear OSが提供する日常的なサービスから、タグ・ホイヤーが自社開発した専用アプリケーションによって与えられる全く新しい体験に至るまでその楽しみ方は多岐にわたる。
タグ・ホイヤーで最高戦略およびデジタル責任者を担当し、この意欲的なプロジェクトを1年半前から手掛けているフレデリック・アルノーは、次のように説明する。「タグ・ホイヤー コネクテッドは、機械式時計と同じ情熱とディティールへのこだわりでデザイン設計されました。実践的なパフォーマンスを何より重要視し、さらにデザインとエモーショナルにも妥協はしません。コネクテッドウォッチは美しい時計というだけでなく、パフォーマンスとスポーツのためにタグ・ホイヤー・デジタルエコシステムが搭載され、多くのエクスペリエンスを堪能できます」。
45㎜径のステンレススティール、またはチタン製のケースがラインナップされたタグ・ホイヤー コネクテッドの外観は、タグ・ホイヤーの伝統的クロノグラフウォッチとほぼ同様といえる仕上がりだ。つまり多面体で構成されるラグやポリッシュとサテン、ふたつの仕上げを使い分けたケース、目盛りのついたセラミックス製ベゼル、そして3時位置にリュウズなどが与えられているのだ。文字盤は強い光源下でも高い視認性を実現するOLED（有機EL）タッチスクリーンがおごられており、傷に強いサファイアクリスタルにて保護されている。スクリーンをカスタマイズすることで、タグ・ホイヤーのウォッチフェイスをベースとした5つのアナログ式表示か、またはデジタル式表示に変更することが可能だ。
クリップをひと押しするだけで直感的にブレスレットやストラップを交換できるインターチェンジ式が採用されているのは先代同様だ。ストラップのオプションとして、ブラックを基調にクラシックな赤色ステッチを合わせた「ラバースケール」ストラップやステンレススティール製ブレスレットなどが取りそろえられている。なお、ブラックラバーは前述のもの以外にも、より存在感を放つレッドやオレンジ、そしてカーキなどのカラーがラインナップされている。
この第3世代タグ・ホイヤー コネクテッドにはグーグルのWear OSが搭載され、「Google Pay」や「Google 翻訳」、メール、SMSの他、iOSまたはAndoroidユーザーがアクセスできるアプリなど、日常使いで欠かせない機能がひと通り用意されているのだ。
タグ・ホイヤー製スマートウォッチの2020年新作において、時計とその特徴以外に注目すべきは、タグ・ホイヤーが独自のスポーツアプリケーションの発表を通じて確立しようとしているエコシステムにある。時計をスマートフォンに連動、またはスマートフォンを時計に連動させる場合にも、新しくカスタマイズされたアプリがゴルフ、ランニング、サイクリング、ウォーキング、フィットネスなど、その他のアクティビティをサポートしてくれる。
それに加え、タグ・ホイヤー黎明期の機械式クロノグラフのクラシカルなマインドを維持するため、プッシャー操作により1000分の1秒単位で計測ができるストップウォッチ機能をも備えている。これはタイマー、アラーム、その他のカスタマイズされたインターフェイスとしての使用が可能だ。
タグ・ホイヤーのブティック及びウェブサイトにて取り扱いを開始した新しいタグ・ホイヤー コネクテッドは、スイスの価値あるウォッチメーカーである同社にとって今年最大といえる新作だ。ブランド側は“コネクトされたライフスタイルをサポートし、パフォーマンスを計測する際の信頼できる機器”としての側面に加え、“情熱を持った時計愛好家達が入手するに相応しいタグ・ホイヤーの真のアイデンティティが吹き込まれたアクセサリー”としての側面を強調。そしてそれらが1本の時計として見事なバランスの上に成立していると胸を張る。
