当初には考えられなかったことだが、国際オリンピック委員会は新型コロナウィルスCOVID-19のパンデミックにより、20年7月に予定されていたオリンピックの東京大会を21年へ延期することが発表された。オリンピックスポンサーの1社であり、オフィシャルタイムキーパーを務めるオメガも影響を受けることとなる。オメガファンは20年のオリンピック大会に関連したモデルはどうなるのかと、ブランドからのニュース発信を待っている。そこでこれまでの間、16年のリオデジャネイロ大会、18年の韓国の平昌大会、そして今回延期された東京大会に先立って発表された、オメガにおけるオリンピック関連のリミテッドエディションを見ていきたいと思う。
Text by Mark Bernardo
Edit by Tsuyoshi Hasegawa
2020年年5月掲載記事
シーマスター ブルヘッド リオ リミテッドエディション
自動巻き(Cal.3313)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約52時間。SS(縦43×横43mm)。150m防水。
「シーマスター ブルヘッド リオ リミテッドエディション」は、オリンピックを想起させるスタイルが特徴のモデルだ。五輪カラーを反映したイエロー、グリーン、レッド、ブラックのステッチとブルーのレザーストラップや、回転式インナーベゼルが合わせられている。一風変わったケースデザインは、1969年にオメガが発表したクロノグラフに由来し、上部に配された巻き上げ用リュウズとその両脇のクロノグラフのプッシャーによる形状から“ブルヘッド”というニックネームが与えられている。
オリジナルのブルヘッドウォッチ同様、「シーマスター ブルヘッド リオ リミテッドエディション」はセンターにクロノグラフ秒針が設けられ、30分積算計は12時位置に、スモールセコンドは6時位置、デイト表示は3時位置に配されている。搭載されている自動巻きクロノグラフムーブメントのキャリバー3113は、コラムホイールやコーアクシャル脱進機を搭載している。ケースバックに2016年オリンピック・リオデジャネイロ大会のロゴがあしらわれているのも特徴だ。
スピードマスター マークⅡ リオ 2016 リミテッドエディション
自動巻き(Cal.3330)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約52時間。SS(直径42.4mm)。100m防水。
「スピードマスター マークⅡ リオ 2016 リミテッドエディション」は、他の「スピードマスター マークⅡ」と同様に、レトロ調かつ独特なバレル型のステンレススティール製ケースがひとつのポイントだ。マットブラックの文字盤は、3時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計、9時位置にスモールセコンドが配されている。
このモデルの見どころとして、インダイアルにオリンピックで競技選手に与えられるメダルと同じ、金銀銅のリングを合わせているところが挙げられる。標準的な「スピードマスター マークⅡ」同様に、このモデルも透明なタキメータースケールの下にスーパールミノバを施したアルミニウム製リングが敷かれる仕上げを採用。ムーブメントは、シリコン製ヒゲゼンマイとコーアクシャル脱進機を搭載したキャリバー3330を搭載している。ケースバックには史上初めて南米で開催された、16年のリオデジャネイロオリンピックのロゴがあしらわれている。
シーマスター アクアテラ ピョンチャン 2018 リミテッド エディション
自動巻き(Cal.8500)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS(直径41.5mm)。150m防水。
「シーマスター アクアテラ ピョンチャン 2018 リミテッド エディション」は、ピョンチャンオリンピックの開催に先立ち、16年に発表された世界限定2018本で販売されたモデルだ。なじみ深い「シーマスター アクアテラ」のデザインコードを生かしつつ、“PYEONGCHANG 2018”の文字がミニッツトラック上に五輪カラーで記されている。ユニークなことに“2018”の数字は、「20」がミニッツトラックの20分の位置に、「18」が18分の位置にちょうど重なるようデザインされている。
ステンレススティール製のケースは直径41.5mm、チーク材の船のデッキを思わせるブルーの文字盤は「シーマスター アクアテラ」シリーズでもよく見られるデザインだ。カラフルな“PyeongChang 2018”のロゴで装飾されたサファイアクリスタル製ケースバックからは、搭載されたオメガのコーアクシャルムーブメント、キャリバー8500を見ることができる。付随するボックスケースはオリンピックをテーマとしたスペシャル仕様である。
シーマスター プラネットオーシャン ピョンチャン 2018 リミテッド エディション
自動巻き(Cal.8900)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS(直径43.5mm)。600m防水。
ピョンチャンオリンピック開幕の1年前となる17年12月に発表された「シーマスター プラネットオーシャン ピョンチャン 2018 リミテッド エディション」。2018本のみ販売の限定モデルであり、濃いブルーとレッドのカラーが開催国である韓国の国旗を思わせるデザインだ。直径43.5mmのステンレススティールケースは、逆回転防止ベゼルを備え、ダイビングスケールにはポリッシュ仕上げのブルーセラミックが採用されている。レッドのラバーがスケールの最初の15分部分に配され、外周部分とマーカーに使われているのはリキッドメタル、12時位置には蓄光性のドットが設けられている。文字盤はポリッシュ仕上げのブルーセラミックスであり、ロジウム加工を施し、スーパールミノバを塗布したアプライドインデックスと針も特徴のひとつ。
搭載するムーブメントは、METAS認定のマスタークロノメーターであるキャリバー8900だ。シリコン製ヒゲゼンマイを採用することで、1万5000ガウスの耐磁性能を実現した。ねじ込み式ケースバックにはサファイアクリスタルがはめ込まれ、“PyeongChang 2018”の文字とロゴがあしらわれている。ムーブメントも眺めることができるデザインだ。
シーマスター アクアテラ 東京2020 リミテッド エディション
自動巻き(Cal.8900)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS(直径41mm)。150m防水。
これまでの伝統に則り、オメガは(当初予定していたとおり)2020年オリンピック東京大会のカウントダウンを1年前の19年7月に、オリンピックモデルの発表を機にスタートさせている。「シーマスター アクアテラ 東京2020 リミテッド エディション」には、20年東京大会のロゴを想起させるパターンを配した文字盤が採用されている。直径41㎜のステンレススティールケースには、ブルーのラバーストラップを組み合わせた。なお特別仕様のボックスには、ステンレススティールのブレスレットが付属する。ムーブメントには、METAS認定のマスタークロノメーターであるキャリバー8900が搭載されている。サファイアクリスタルのケースバックには、20年オリンピック東京大会のエンブレムが転写されている。世界限定2020本の特別モデルとなる予定だ。
https://www.webchronos.net/features/34970/
https://www.webchronos.net/features/63178/
https://www.webchronos.net/features/35364/