英国のロックバンド「クイーン」のドラマー、ロジャー・テイラーが選んだ腕時計は?/セレブウォッチ・ハンティング

一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は、イギリスが生んだ伝説のロックバンド「クイーン」のドラマー、ロジャー・テイラーが選ぶ腕時計を紹介しよう!

ロジャー・テイラー(写真右)

ロジャー・テイラー

Photograph by Shutterstock /Aflo

 2018年に上映された伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットがまだ記憶に新しい。本企画でも、フレディ・マーキュリー役を務めた主演のラミ・マレック(中央)、音楽総指揮を務めた「クイーン」ギタリストのブライアン・メイ(左)らの腕時計を紹介してきた。彼らに続いて今回はバンドメンバーよりもうひとり、ドラム担当ロジャー・テイラーの腕時計を紹介したい。写真は、ゴールデングローブ賞の授賞式に現れた3人の姿だ。右に写るのがテイラーである、その手元を見てみよう。

クロノマット

 確認できるのは、墨入れ用の刻みがついたベゼルとレザーストラップ、そして縦3つ目のサブダイアルを備えるクロノグラフウォッチだ。これはブライトリングの基幹コレクション「クロノマット」、1984年の復活後早々に作られた初期型モデルだろう。

ブライトリング 「クロノマット」

クロノマット

ロジャー・テイラー着用モデルと近い意匠を備える1994年製の「クロノマット」。同コレクションの誕生10周年を記念して作られた限定モデル。この年からブライトリングはクロノマットのウィングロゴをプリントからアプライドへと変えた。自動巻き(ブライトリング Cal.13/ETA7750ベース)。17石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径40.5mm、厚さ14.7mm)。100m防水。

「クロノグラフ(ストップウォッチ付きの時計)」と「オートマチック(数学)」を組み合わせたモデル名を持つクロノマット。世界初の回転計算尺搭載機としてデビューしたのは1942年、そして機械式時計が復活の夜明けを迎えるとともにリバイバルを果たしたのが、ブライトリング創業100周年にあたる1984年のことである。テイラーの着用モデルが製造されたのは後者の中でも初期の時代だ。その外観的な特徴には、自動巻きのETA7750をベースムーブメントとした縦3つ目のサブダイアル、ジャケットの袖に引っかからぬよう直線状にカットされたラグ、回転ベゼル上の可動式ライダータブなどが挙げられる。
 これらの造形の選択には、クロノマットがイタリア空軍のアクロバットチーム「フレッチェ・トリコローリ」の公式クロノグラフとなるために開発されたことが背景にある。プロフェッショナル向けでありながら、レザーストラップの種類を増やすなどファッション性も追求されたことを特筆しよう。イタリア市場で大成功を収めたクロノマットは、ファッショナブルなクロノグラフウォッチの先駆けとして多くの追随者を生んだ。
 
 これ以降も現在までクロノマットは何度かモデルチェンジを果たしている。その最たるは自社製クロノグラフCal.01を搭載した2009年の「クロノマット44」だろう。クロノマットの変遷は「アイコニックピースの肖像」でお楽しみいただきたい。

【アイコニックピースの肖像】ブライトリング/クロノマット

https://www.webchronos.net/iconic/14549/

 なお、クロノマットが復活した1984年といえば、一時休止していたクイーンが活動を再開した年でもある。その起爆剤となったのが、テイラーが作詞作曲した「レディオ・ガ・ガ」の大ヒットだ。これを機にテイラーはソングライターとしても頭角を現し、ソロ活動の展開も広げていくことになる。現在でもはつらつと明るい表情を見せるテイラー、音楽に夢中な日々をクロノマットとともに送ってきたのである。

2020年7月で71歳になる今でも現役ミュージシャンとして活動を続けるテイラー。日本では1月に、X JAPANのYOSHIKIとのツーショット写真を自身のインスタグラムで紹介して話題になった(ふたりは過去に曲を共作し、奈良東大寺でのライブパフォーマンスを行ったこともある)。


クイーンのギタリスト、ブライアン・メイが選んだ腕時計/セレブウォッチ・ハンティング

ブライアン・メイ
https://www.webchronos.net/features/26005/
フレディ・マーキュリー役、ラミ・マレックが選ぶ時計は?/セレブウォッチ・ハンティング

ラミ・マレック
https://www.webchronos.net/features/27880/


高井智世