独立時計師ローラン・フェリエは2019年に「トゥールビヨン グランスポーツ」を発表した。これはトープカラーの文字盤とそれに合わせたカラーの一体型ラバーストラップが組み合わされた、独創的でスポーティーなスタイルを特徴とした。このたび「ウォッチズ&ワンダーズ」のオンラインサイトで、ローラン・フェリエは2020年の新作として一体型ステンレススティール製ブレスレットを追加投入したことを発表した。
Text by Mark Bernardo
ローラン・フェリエ 「トゥールビヨン グランスポーツ」
「トゥールビヨン グランスポーツ」は、これまでのローラン・フェリエのモデルと一線を画すデザインである。その着想源は1970年代のモータースポーツにあり、ドライバーが着用していたスポーツウォッチに敬意を表すものだ。ローラン・フェリエと、ブランド共同創設者であるフランソワ・セルヴァナンは70年代当時、「ル・マン24時間耐久レース」を共に戦った仲であった。クッション型のベゼルが合わせられたバレル型ステンレススティール製ケースにはサテン仕上げが施され、面取りは鏡面仕上げとなっている。リュウズはブランドの特徴であるタマネギ型をしており、人間工学に則したなめらかなリュウズガードに埋まるように取り付けられている。
キャリバーLF 619.01にはトゥールビヨンが搭載され、互いに向かい合うようにふたつのヒゲゼンマイが設置されている。これは姿勢差で生じる重心移動を相殺させ、高い精度を保つためのものだ。このムーブメントはブサンソン天文台によるクロノメーター認定を受けており、またジュネーブ時計大賞(GPHG)のベスト・メンズ・ウォッチを受賞した2010年の「ローラン・フェリエ ガレ クラシック トゥールビヨン」に搭載されたムーブメントと同じものだ。また手巻き機構には古典的なアコーディオン状のコハゼ(編集部注:フィリップ・デュフォー「シンプリシティー」などが備えている)を組み込んでおり、巻き上げの際に心地よい感触と作動音を味わうことができる。サファイアクリスタル製ケースバックから見ることができる受けには水平に走るサテン仕上げとルテニウム処理が施され、時計にスポーティーな個性を与えている。
前作との相違点は、まず中央から端にかけてブルーからブラックへとグラデーション効果のある文字盤のカラーリングが挙げられる。スネイル仕上げのサブダイアル、アセガイ型の針、オレンジ色のスーパールミノバを塗布したインデックスは前作と共通だ。2点目は、ケースと一体型の3連リンクのステンレススティール製ブレスレットだ。この表面にはサテン仕上げが、外側のリンクの面取りには鏡面仕上げが施されており、フォールディングクラスプが取り付けられている。前作に負けぬ存在感だ。世界でわずか12本のみの限定生産である。
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