ジャガー・ルクルトは、玄人好みで堅実なイメージを持たれがちな時計ブランドだろう。それは、ムーブメント製造において、業界内で最高級の評価を得ているからだ。技術屋として知られるジャガー・ルクルトの特徴や魅力を紹介する。
ジャガー・ルクルトの基礎知識
まずは時計王国スイスの名門として知られるジャガー・ルクルトの概要を押さえておこう。自社一貫生産体制へのこだわりを貫き、業界では機械技術に長けた存在として広く認知されているメーカーだ。
スイス生まれのマニュファクチュールブランド
アントワーヌ・ルクルト(1803〜81年)。スイスのル・サンティエに生まれ、ジャガー・ルクルトを創業した。
ジャガー・ルクルトは、時計師のアントワーヌ・ルクルトが開設した工房を起源とするメーカーである。
創業時から、数多くのムーブメント開発を手掛けている。自社の時計に組み込むだけでなく、パテック フィリップやオーデマ ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンなど、他の高級時計ブランドにもムーブメントの提供も行なってきた。
1844年には、1mmの1/1000単位を測定できる機器「ミリオノメーター」の発明を成し遂げるなど、時計界きっての「技術屋」と称されている。
デザイン面でも、独創的なモデルを製造している。文字盤が反転する「レベルソ」は、ジャガー・ルクルトを代表する名作として、現在も高い人気を誇るモデルである。
真のマニュファクチュールと呼ばれる
スイスの時計産業では、細分化された分業スタイル「エタブリスール」が主流だ。マニュファクチュールを名乗るだけで、差別化を図れるという実情がある。
しかし、マニュファクチュールをうたっているメーカーの中には、一部の高級モデルのみ自社一貫生産体制で作っているケースも多い。
このような状況において、ジャガー・ルクルトは全ての時計のダイアルやケースのみならず、ムーブメントまで自社で製造している。
創業以来、一貫して守り続けてきたこのスタイルから、ジャガー・ルクルトは「真のマニュファクチュール」と呼ばれている。