ハイジュエラーとして知られるハリー・ウィンストンは、ユニークな時計「オーパス」コレクションの開発により、高級時計ブランドとしても名をはせている。2021年3月時点での最新作である「オーパス 14」について、デザインや機構の特徴に迫る。
ハリー・ウィンストンとは
ハイジュエラーとしての地位を確立したハリー・ウィンストンは、独特のテイストをまとった高級時計を提案し続けている。まずは、ブランドの概要を確認しておこう。
創業者の名を冠すハイジュエラー
ハリー・ウィンストンは、ニューヨークに本店を構える高級宝石商である。1932年、創始者のハリー・ウィンストン(1896~1978年)が、自分の名を冠したブランドを創業したのが始まりだ。
1949年に世界最大のブルーダイヤモンド「ホープ・ダイヤモンド」(45.52カラット)を買い付けたほか、世界中の名だたるダイヤモンドを数多く獲得したことから、「キング・オブ・ダイヤモンド」と称されている。
また、王族やハリウッド女優など、セレブたちの間でも高い支持を集め、44年のアカデミー賞で初めてジュエリーを貸し出したことで「スターたちのジュエラー」の異名を与えられた。
世界五大ジュエラーのひとつにも数えられる、業界屈指の宝石商だ。
時計ブランドとしてはそれほど経ってない
ハリー・ウィンストンが時計製造を開始したのは、1989年のことだ。高級時計には長い歴史を持つブランドが多いなか、ハリー・ウィンストンの時計ブランドとしての歴史は浅い。
しかし、ジュエラーとして培った高いデザイン力を、時計王国スイスの優れた技術力と融合させることで製造される時計は、当初から高い評価を得ていた。
ハリー・ウィンストンの時計が一気に注目を集めるきっかけとなったのは、2001年にファーストモデルが発表された「オーパス」だ。
その後も「プロジェクト Z」(2004年スタート)や、「イストワール・ドゥ・トゥールビヨン」(2009年スタート)といった、革新的な意匠と複雑機構を融合したタイムピースを発表し続け、高級時計ブランドとしての地位を確立している。
独立時計師との共同プロジェクトであるオーパス
ハリー・ウィンストンの名を世に知らしめた「オーパス」は、スイスなどで活動する著名な時計師との共同作業で生み出されたコレクションだ。
既成概念を覆すような、画期的なデザイン・機構を持つ時計製造をテーマに掲げ、独立時計師たちの可能性を十分に引き出したモデルが、2001年から発表されている。
これまで誕生した「オーパス」の全てに、独創的かつユーモラスな要素が含まれている。「高級時計とはこうあるべき」といった常識が、ほとんど存在しない時計とも言えるだろう。