たまには時計にも目を向けて。決して見逃せない、見本市以外で発表された2020年の新作【後編】

世界的な疾病の広がりと、経済を取り巻く危機的状態、加えてそれらについての報道合戦に隠れて、ともすると愛すべき腕時計のことを忘れがちだ。新作の発表はあったものの、前例がないほど不透明な年であり、時計業界から聞こえてくる知らせも、大きな展示会の延期といったあまり良いものではない。しかしコレクターとしての楽観的な立場から見ると、コンプリケーションに始まり、ヴィンテージの復刻版やスマートウォッチに至るまで、いくつかの注目すべき新作が出たことも事実だ。暗いニュースや、現在のめりこんでいるであろうNetflixの画面からいったん目を離し、新しいタイムピースに目を通してはいかがだろうか？

ダイバーズ&パイロット

ブレモン

　ブレモンはグルカの登山家であるニムマル・プルジャが成し遂げた世界14座最高峰登頂を祝し、「プロジェクト・ポッシブル」のリミテッドエディションを発表。がっしりとしたスーパーマリーン500ダイバーをベースとし、この英国ブランドでは初採用となるブロンズをベゼルリングの外周に使用している。

オメガ

　オメガは自身のスポーツラグジュアリーシリーズである「シーマスター アクアテラ」の文字盤において、カラーパレットを拡張。海を思わせるふたつの新作モデルとして、ネイビーブルーとミリタリーグリーンに染めたチークウッド文字盤を用意し、それぞれにマスタークロノメータームーブメントを搭載させている。

セイコー

　セイコーが新たに発表したのは、同社最初のダイバーズウォッチにおける55周年を記念し、ヴィンテージモデルから着想したエディション5部作。1965年、68年、75年発表の伝説的3本を復刻したモデルに加え、65年モデルを現代的なデザインに改めた新作「1965メカニカルダイバーズ 現代デザイン」も発売した。

ベル＆ロス

ベル&ロスは角形ウォッチの「BR03-92」コレクションを拡張し、飛行場における滑走路の夜間誘導灯からインスピレーションを得た新作「BR03-92 グレイラム」（ラム“Lum”は仏語の光を意味する“Lumière”から）を発表した。モデルコンセプトにふさわしく、夜間での視認性は抜群だ。

スマートウォッチ

タグ・ホイヤー

　ハイエンドスマートウォッチを好む人に、タグ・ホイヤーから「タグ・ホイヤー コネクテッドウォッチ」の最新版をおすすめしたい。非常に汎用性の高いタイムピースであり、日常生活において役に立つ一連の機能を備え、グーグルのWear OS経由となる新しいスポーツアプリから、あらゆるスポーツ体験につながるコネクテッドサービスを受けることができる。当該モデルをスマートフォンにリンクさせ、カスタムデザインされたアプリを通してゴルフ、登山、ウォーキング、フィットネスなどさまざまなアクティビティを楽しむことが可能だ。

モンブラン

　モンブランの新作は、2017年に発表されたラグジュアリー・スマートウォッチ「サミット」の次世代版。新作「サミット2+」はスマートウォッチとしては初めて、アンドロイド系スマートフォン搭載のグーグルWear OSをベースにダイレクトにコネクトできる仕様。つまり、スマートフォンから離れた場合でもコネクトされた状態がキープできるという。アウトドア志向のユーザーや旅慣れた人をターゲットとしており、スピードメーター、高度計、バロメーター、コンパスやGPS追跡機能など過酷なアクティビティに対し、さまざまな一連の機能を“アウトドアツールボックス”を通して提供してくれるのである。

注目のレディースウォッチ

ヴァシュロン・コンスタンタン

　最後にレディースウォッチにも注目しておきたい。ヴァシュロン・コンスタンタンは「エジェリー」コレクションを発表。歴史的なスイスのマニュファクチュールにとってこの新しいレディスコレクションが担う使命は、オートクチュールとオートオルロジュリの世界観を一体化させることにある。

　コレクションには37mm径のムーンフェイズ搭載モデルがホワイトゴールド、ローズゴールド、ステンレススティールケースの3モデルにて用意され、それぞれにダイヤモンドがアクセントとして使用されている。その他には、35mm径の自動巻きモデルが18Kローズゴールドとステンレススティールにてラインナップされており、フルダイヤモンドの文字盤を採用したハイジュエリーモデルも見逃せない仕上がりとなっている。すべてに自社製機械式ムーブメントが採用され、サファイアクリスタル製ケースバックからはムーブメントの鑑賞が可能。ストラップはインターチェンジャブルストラップが合わせられており、取り外しも非常にスムーズだ。