コロナに対する景気対策として、国が給付金なるものをくれるそうだ。当然、日本全国1億2000万人の時計好きの中には、これで時計を買おうと考える人もいるだろう。金額は10万円。その中で、コレという時計を考えるのは楽しくもあり、案外難しい。というわけで、私たちクロノス編集部は、渾身の力を込めて10万円で買えるウキウキ時計を探し出した。なお、税込みで10万円だと大好きな「フリーガー・ウェールス40」を入れられないので、今回は税抜きで10万円と勝手に決めた。
給付金?全部使うよ?というロマン派に
確かに100万円もぶっ込めば、素晴らしい時計を買えてしまうが、10万円でも十分に楽しい物がある。いずれも、各メーカーの個性が生きているだけでなく、極めて物堅い作りに特徴がある。10万円全部を時計にぶっ込むのはいかがなものか、と言われそうですし、実際そうなんですけども、ロマン派にはきっと10万円全部つぎこんちゃう人もいるでしょう?だからあえて10万円ギリギリの時計を挙げることにします。なお、タイトルはふざけてますが、10万円で買える魅力的な時計を真面目にお勧めしています。
ストーヴァ「フリーガー・ウェールス40」
直径40mのSSケースに、ETA2824-2を搭載したパイロットウォッチがストーヴァ「フリーガー・ウェールス40」だ。兄貴分であるシャウアーや、もう少し金額の高いストーヴァのような筋目バリバリの緻密さはないものの、ブラスト仕上げの外装は良質で、リュウズのガタも全くない。また、夜光塗料をたっぷり盛った針やインデックスは、極めて視認性に優れている。価格を抑えた結果として、往年のパイロットウォッチのようなラフさを得た快作。ガチの時計マニア専科と言いたいけど、それに留めるのはもったいない。ベーシックウォッチの鏡。
ハミルトン「PSR」
ハミルトン世界初のLEDウォッチであるハミルトン「パルサー」。1973年の「P2」をベースに、外装を忠実に再現したのが本作である。実物は未見だが、オリジナルと同じと考えると、間違いなくカッコいいはず。また今のハミルトンらしく外装の質感も良いはずだ。オリジナルと違って、常時点灯なのも◎。時間表示をさせるとすぐに電池の切れたオリジナル パルサーの弱点は、見事に解消されている。また、風防も傷の付きにくいサファイアに変更された。なお、パルサーの名称が使えないのは、現在セイコーが商標を持っているため。ケースにはHAMILTONの文字が刻印されている。オタクにも、そうでない人にも似合うはず。
アイクポッド「クロノポッド」
アイクポッドの名作、「ヘミポッド」へのオマージュモデル。ユニークなケース形状はそのままに、ムーブメントを裏蓋側から出し入れできるように変更。またミヨタのクォーツムーブメントを採用することで、大幅なコストダウンを可能にした。ただし、筋目仕上げが良いのか、実物は価格以上に見える。ダイアルデザインは、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク オフショア」や、ロレックスの「チェリーニ」などをデザインしたエマニュエル・ギュエが担当。厚みがあるので、半袖になる夏にどうぞ。袖口のアイクポッドでオシャレ野郎を撃て!
セイコー「プレザージュ SARW025」
良質かつ手頃な値段を誇るプレザージュ。どのモデルもお買い得だが、最もコスパが高いのは本作だ。9時位置にパワーリザーブ表示、6時位置にポインターデイトを備えるプチコンプリなのに、お値段は9万円(税別)。搭載するCal.6R27は巻き上げ効率が非常に高いので、パワーリザーブ表示のぐるぐるした動きも楽しめる。長いパワーリザーブを載せた新しい6Rを望む声は多いが、巻き上げ効率が高いためパワーリザーブ45時間でも十分だろう。ケースの厚みは13.1mmなので、スーツの袖口も邪魔しにくい。非常に丁寧に作られた時計。コロナ後に真面目をアピールしたいあなたに。
シチズン「プロマスター PMV65-2271」
この時計を取り上げた理由は、筆者が所有し、かつ大好きだから。現行品で、これほど機械っぽい文字盤はないだろう。操作には慣れが必要だが、アラーム、クロノグラフ、サマータイムの修正機能がついたワールドタイム機能、UTCの表示、ローカルとホームタイムの同時表示、それとオタクが驚喜する、ボタンを押すとライトで文字盤を照らす機能も付いている。しかも回転計算尺付き。現行アナデジの最高峰にして、シチズンの隠れたロングセラー。老眼になる前に、一度は使ってみましょう。こんな時計、年を取ったら使えなくなるからさ。機械の身体が欲しいあなたに。