パルミジャーニ・フルリエは、革新的な独立時計師であるミシェル・パルミジャーニによって創業されたオートオルロジュリ(高級時計)のブランドである。ウォッチズ&ワンダーズ2020のデジタルプラットフォームにおいて、今年4月に発表した新作の第2弾が発表された。注目のタイムピースである「トリック トゥールビヨン」は、2017年に復活したトリックコレクションでは唯一となるトゥールビヨンモデルである。今回はそんな同作をWatchTime編集部のマーク・ベルナルドが紹介しよう。
自動巻き(Cal.PF517)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRG(直径42.8mm、厚さ9.45mm)。世界限定25本。1495万円(税別)。
Text by Mark Bernardo
Edit by Tsuyoshi Hasegawa
現行「トリック」唯一のトゥールビヨンモデル
「トリック(Toric)コレクション」の名は、特徴的なケースデザインに由来しており、ミシェル・パルミジャーニがごく初期に作成したモデルがオリジンだ。そのホールマークともなっている円周上に刻みを加えたゴドロン装飾は、古代ギリシャの柱にインスパイアされたもの。2019年に「トリック・クロノメーター」とともにデビューを果しているスレートカラーのギヨシェ文字盤。その工芸的なエングレービングの質感は、ライスグレインを集約させたパターンからなり、自然界に存在する黄金比ともリンクし、同時に科学分野で知られるフィボナッチ数列からなる螺旋を想起させる紋様だ。
文字盤とそこに配されたアプライド式18Kローズゴールド製アワーマーカーの上を滑るのは、部分的にオープンワークが施され、夜光塗料をも塗布されたふたつの槍状針。7時位置の大きな開口部に配され60秒にて1回転を経るフライングトゥールビヨンが、盤面において特に注目を引く要素となっている。一風変わったこの配置だが、ブランド名に名を冠する創業者が生まれた時間に由来するという。実にミシェル・パルミジャーニは、1950年12月2日の午前7時8分に誕生しているのだ。
18Kローズゴールド製の直径42.8mmかつ厚さ9.45mmという、どちらかというスレンダーにしてエレガントな印象を与える「トリック」のケース。そんなモデルに内包されるのは、スリムな自社製ムーブメントであるパルミジャーニのキャリバーPF517。“Grain d’orge(大麦の粒の意)”模様のギヨシェにて装飾されたプラチナ製ローターを擁した自動巻きであり、地板に直接トゥールビヨンを組み込むことで、厚さ3.4mmと抑えた仕上げを実現させている。29石を含む207点のパーツでもって構成され、サーキュラー・コート・ド・ジュネーブ仕上げやブリッジの面取りが施されたムーブメントは、約48時間のパワーリザーブを有する。そしてサファイアクリスタル製ケースバックからその姿が鑑賞可能である。
パルミジャーニの「トリック トゥールビヨン スレート」に合わせられているのは、ローズゴールド製尾錠を付属させたエルメスのハバナカラーのアリゲーターストラップ。25本が限定発売され、価格1495万円だ。
https://www.webchronos.net/features/37951/
https://www.webchronos.net/features/43981/