19もの機能を搭載したヴァシュロン・コンスタンタンの超絶天体時計

FEATUREWatchTime
2020.06.15

ヴァシュロン・コンスタンタンは同社の唯一無二のミニッツリピーターに、詩的で創造性のある名前“ラ・ミュージック・デュ・タン”(The Music of Timeの意)を授けた。そして4月にウォッチズ&ワンダーズのオンラインプラットフォームで発表された最新作は、今までにない野心的な作品となっている。それもそのはず、「“ラ・ミュージック・デュ・タン” レ・キャビノティエ・アストロノミカル・ストライキング・グランド・コンプリケーション - オード・トゥ・ミュージック」は19もの複雑機構とふたつの文字盤を備えているのだから。

Originally published on watchtime.com
Text by Mark Bernardo

19もの機構をコンパクトに収めた快作

“ラ・ミュージック・デュ・タン” レ・キャビノティエ・アストロノミカル・ストライキング・グランド・コンプリケーション - オード・トゥ・ミュージック

ヴァシュロン・コンスタンタン「“ラ・ミュージック・デュ・タン” レ・キャビノティエ・アストロノミカル・ストライキング・グランド・コンプリケーション - オード・トゥ・ミュージックト」
手巻き(Cal.1731 M820)。36石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KPG(直径45.00mm、厚さ12.54mmmm)。非防水。世界限定1本。時価。

 言うまでもなく、ヴァシュロン・コンスタンタン「“ラ・ミュージック・デュ・タン” レ・キャビノティエ・アストロノミカル・ストライキング・グランド・コンプリケーション - オード・トゥ・ミュージック」は超弩級のコンプリケーションウォッチだ。つまり、ミニッツリピーターや数多くの天体表示など、19もの複雑機構を搭載したユニークピースなのである。

 驚くべきはこれだけの機能を搭載しながら、ムーブメント厚が7.84mmしかないことだ。いくらベースムーブメントの厚みが3.9mmとはいえ、よくこの厚みに抑えたと感心する。

 前述のようにミニッツリピーターに加え、同作にはムーンフェイズ付きのパーペチュアルカレンダー、日の入り・日の出、現在時刻、恒星時間、そのほか天体系の星座、四季、夏至・冬至、春分・秋分表示などが含まれている。

 ケースは18Kローズゴールドを採用し、直径は45mmと常識的なサイズだ。厚さはムーブメント厚からも分かるように、12.54mmと実用レベルに収められている。

文字盤は表側と裏側のふたつ

 文字盤は時分針のある表側と恒星時表示や星座などが描かれる裏側のふたつを有している。前者のオパーリンブルー文字盤には、現在の時刻を示す時分針のほか、真太陽時を示す先端に「太陽」を模した長針がある。もちろん、分針が示す平均太陽時とこの長針の差が均時差だ。

“ラ・ミュージック・デュ・タン” レ・キャビノティエ・アストロノミカル・ストライキング・グランド・コンプリケーション - オード・トゥ・ミュージック

時計にはふたつの文字盤を使って19のコンプリケーションが表示される。

 我々が便宜上使用する1日を24時間とする平均太陽時と、実際に太陽が南中してから次に南中するまでの時間を1日とする真太陽時の1日あたりの誤差は−16〜+14分で、1年のうちどの時期かによって違いが生じる。2本の針が重なるのは、1年のうち4月15日、6月14日、9月1日、12月24日の4回のみである。

 カレンダー表示は3時位置のインダイアルで日付を、12時位置の小窓で曜日、1時位置の小窓で月を表す。なお、同作の日付表示は永久カレンダーのため、2時位置と3時位置の間にはリープイヤー表示も丸い小窓で行われる。

 5時位置と7時位置に配されたポインター式表示はそれぞれ日の出・日の入り表示で、6時位置にはリニア式で昼夜の長さを表すインジケーターも備わる。9時位置の開口部は言うまでもなくムーンフェイズだ。4時半の位置にあるカーブがかったウィンドウでは黄道十二宮星座と四季、至点と分点がディスクによって表示される。

“ラ・ミュージック・デュ・タン” レ・キャビノティエ・アストロノミカル・ストライキング・グランド・コンプリケーション - オード・トゥ・ミュージック

自社製の手巻きムーブメント、Cal.1731 M820の構成パーツ数は600点である。

裏側ダイアルいっぱいに描かれた天空図

 裏側の文字盤には2枚のサファイアクリスタルディスクによって描かれた天空図が鎮座する。このディスクを用いることによって、恒星時を確認することが可能だ(恒星日は地球が360度回転するのに要する時間で、正確には23時間56分4秒である)。

 ディスクの1枚は可動式で、外周に恒星時間のスケールが刻まれており地球の自転と共に回転し、オフセンターされたブルーの楕円部分を備えている。もう1枚のディスクは固定で、銀河のアーチが配されている。その上を稼働ディスク上の天空の赤道を示すホワイトの楕円と、黄道を示す赤い楕円が動いていき、地球の軸の傾きと軌道を表している。稼働ディスクは毎日4分ごとに回転し他のディスクと連動して、地球の定点から見る天空の動きを表している。

 ミニッツリピーターだけではなく、均時差表示や恒星時刻(天空の調整は4時位置のボタンで行う)までを搭載したムーブメントは非常に珍しい。自社製ムーブメント、キャリバー1731 M820は600点ものパーツを使い、一連のアストロノミカルコンプリケーションを司りながら、前述のように非常にスリムな厚さを実現している。

 これだけの機構を備えながらパワーリザーブは約60時間。もちろん質の高い装飾がムーブメントには施されており、プレステージ性のあるジュネーブシールも取得している。

“ラ・ミュージック・デュ・タン” レ・キャビノティエ・アストロノミカル・ストライキング・グランド・コンプリケーション - オード・トゥ・ミュージック

2枚のサファイアクリスタルディスクによって描かれた天空図。

 この特別なタイムピースに合わせられているのは、ローズゴールドのフォールディングクラスプとブルーのミシシッピーアリゲーターのストラップだ。

19の機能一覧

①時、②分、③ミニッツリピーター、④パーペチュアルカレンダー、⑤均時差表示、高精度ムーンフェイズによる⑥月齢と⑦月相、⑧昼夜の長さ、⑨日の出、⑩日没、⑪四季、⑫至点、⑬分点、⑭12宮星座、⑮恒星時の時間、⑯恒星時の分、⑰北半球の天空図、⑱銀河、⑲横道と天の赤道


Contact info: ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755

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